モーリシャス船舶座礁・重油流出事故のその後:現地レポート③

 
事故が発生してから半年近くもの間、重油が漂着した沿岸部では海に入ることが出来なくなってしまいました。​
 
漁業を主な収入源にしていた人々。
そして、新型コロナの流行の影響によって苦しい生活を強いられてきた観光に携わるボート主たち。
この事故は、彼らに大きな試練を与えました。​
PBVの現地パートナーのひとつ「モーリシャス環境保護・保全機構(EPCO: Environmental Protection and Conservation Organization )」は、2021年1月から被害を受けた沿岸部コミュニティの生業支援プロジェクトを開始しました。限られた土地で実施できる持続可能な農業や、養蜂、カニの養殖など、収入源を多様化させることで、収入の確保を目指すというものです。​
EPCOは事故以前から同地域でプロジェクトを続け、人々の信頼関係を育んできました。プロジェクトは感染症対策でたびたび中断するものの、予定していた住民向けワークショップなどの事業を、今年の春に完了。今回の訪問では、モーリシャスで初の試みとなる「食用のノコギリガザミ(カニの一種)の養殖事業」の現場を見学しました。​
 
ノコギリガザミは、地元のホテルやレストランで人気の食材です。重量によって取引の値段が決まり、重いほど高値で売買されます。しかし特に漁獲サイズが制限されていないために、十分に育っていない小さなカニも販売することもできます。
EPCOと地域の人々は、持続的な水産資源の利用と利益の確保の両立を目指し、このパイロット事業に着手しました。訪問した日は地元のテレビ局の取材も入り、地域の人々が寄せる大きな期待を感じられました。​
 
 
​EPCOはこのパイロット事業の成果を見ながら、他地域への事業の展開を予定しています。​