【モザンビーク】先遣レポート サイクロンの被害状況

南東部アフリカに位置するモザンビーク共和国は、日本の約3倍の国土に約3,000万人の人々が暮らす国です。南半球に位置するため、日本とは季節が逆となり、日本では冬から春の季節が、モザンビークでは雨季にあたります。

 

 

 

今年の3月初めから低気圧の影響による長雨で河川の増水が起こっていたモザンビーク中部に、3月14日、非常に強いサイクロン・イダイ(Tropical Cyclone Idai)が上陸しました。モザンビーク第二の都市ベイラに上陸したサイクロンはそのまま西へと移動を続け、ベイラ周辺をはじめとしたモザンビーク中部に壊滅的な被害をもたらした後、モザンビークだけでなく隣国のジンバブエとマラウィにも大きな被害をもたらしました。このサイクロンによってモザンビーク国内だけで600名以上の方々が亡くなり、全壊・半壊・一部損壊家屋の数は20万件以上にのぼり、13万人以上の人々が避難生活を送ることとなり、支援を必要とする人々の数は190万人近くにもなりました。

 

 

 

ピースボート災害ボランティアセンター(PBV)では、ジャパンプラットフォーム(JPF)の「アフリカ南部サイクロン被災者支援2019」の出動NGOとして、4月11日~5月3日まで、スタッフを現地に派遣し、被害状況の把握と人道支援の進捗について調査を行いました。

 

南部アフリカ有数の港湾都市のひとつであるベイラでは特に家屋への被害が大きく、発災後約1か月以上経った後でも、市内の家々の多くが屋根を失ったままでした。また、街を代表する建物のひとつであるベイラ大聖堂でも屋根が飛ばされ、鉄道駅近くの燃料タンクが原形をとどめないまま残されている状態は、サイクロン上陸時の風の強さを改めて実感させるものでした。また、ベイラの位置するソファラ州とその周辺地域には避難キャンプが点在し、多くの人々が30度を超える暑さの中でテント生活を送っており、より安全な避難場所、そして食糧の確保や衛生設備の整備、学校の再開などといった課題に直面していました。

 

 

 

 

サイクロン・イダイは、道路や橋梁などのインフラにも大きな被害をもたらしました。そのため、特に内陸部の農村部への支援が困難な状態が続いています。また、今回サイクロンの通り道となったモザンビーク中部は、モザンビークの食糧生産を支える地域でもあるのですが、3月は主要作物であるメイズ(トウモロコシ)の収穫期にあたっていたため、収穫を間近に控えた作物の多くが失われてしまいました。政府と国連機関が4月に実施した調査では、被災地の87%の地域で全て、あるいは殆どの収穫が失われたことが分かっています。

 

このため、緊急支援としての食糧配布だけでなく、今後の食糧生産への支援も急務となっています。現地政府、国連機関、国内外のNGO等では、支援から取り残される人のいないよう、情報交換・情報共有を繰り返しながら緊急支援を進めています。また、被害の大きさを鑑み、特に現地政府やNGOとの連携を通じた中・長期的な支援への取り組みも始まりつつあります。

 

 

 

こうした現状を踏まえて、PBVでは地元NGOと共同で、食糧保障と農業支援のためのプログラムを開始することとなりました。災害を乗り越えて持続的な農業ができるよう、物資の提供だけにとどまらないプログラムを実施してまいります。活動予定地や詳しい活動内容については、今後の更新でご紹介していきます。

 

日本では、今回のサイクロン被害に関してほとんど報道されておりませんが、被災された皆さんを支える緊急支援募金を開始しています。ぜひ、ご協力お願い致します。

 

 

◆モザンビーク サイクロン・イダイ 緊急支援募金