3月2日,3日の2日間、PBV代表の山本隆とプログラムオフィサーの上島安裕が、静岡で行われた「静岡県内外の災害ボランティアによる救援活動のための図上訓練」に参加してきました。
訓練の実施主体は、静岡県ボランティア協会。そこに、防災や災害支援に関わる専門家・社協(社会福祉協議会)職員・NGO/NPOスタッフ・学者らで構成するワーキンググループが加わって、毎年1回の訓練を準備しています。PBVでも、昨年から、山本が内閣府の防災ボランティア活動検討会に参加するようになり、ワーキンググループのメンバーとして内容を考えてきました。
静岡県が「防災先進県」と称されるひとつの理由は、将来の災害に備えた訓練を“ボランティア”の分野にまで広げていること。日本では、被災地に集まるボランティアは、「来てくれたらありがたいけど、実際来るのかわからない」という不安定な印象で受け止められていることがほとんどです。東日本大震災では、ボランティアを受け入れる「受援力」の弱さが話題になりましたが、「来るか来ないか分からない」存在のために、事前から準備を徹底する人は少ないでしょう。
ただ近年は、地震に限らず、発災後の被災地にはボランティアは必ず集まってきました。社協を中心とした災害VC(ボランティアセンター)のシステム、NGO/NPOが力を付けてきたことも影響しています。課題はたくさんあるにしろ、そういった社会の変化に気付き、災害ボランティアやNGO/NPOを「必ず助けに来てくれる存在」として、9年も前から県レベルで継続してこれだけ大きな想定訓練を行ってきたのはおそらく静岡県だけだと思います。
2日間で集まったのは、196の機関・団体から423名。ワークショップや懇親会もあり、貴重な情報交換の場にもなりました。
静岡県では、東海地震が起こると、各市町村で立ち上げる災害VCのほか、「県災害ボランティア支援センター」と「県災害ボランティア本部・情報センター」が設置され、ボランティアの受け入れをバックアップすることになっています。
実際の市町村災害VCごとに分かれたケーススタディ。この日は、PBVは富士市に支援に入ると仮定して、“支援に入る側”“支援を受ける側”が素早く確認すべき項目などを確認。
「勉強になりました」で終わってしまわないよう、参加者は各自2013年度に実施したいと考えるアクションプランも作成しました。
この図上訓練の開催録には、静岡での訓練が始まったきっかけは、「『東海地震が来たら、静岡は大丈夫?』という一言だった」と書いてあります。おそらく正確には、その言葉を聞いた誰かが言った「手探りでもいいから、とにかく一回訓練してみようよ」という一言がきっかけなんだろうと思います。
巨大地震への不安は誰にでもあるでしょうが、「その時は仕方ない」と考えないようにして過ごすか、まずは自分たちにできることを探ってみるか。どちらが「減災」につながるか、答えは明らかですね。