第一回報告会 ボランティアが被災地に行く意味

4月10日(日)、京都造形芸術大学外苑キャンパスにて、第1回派遣ボランティアの報告会を行いました。

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来訪したのは、東京で後方支援ボランティアをする方、Twitterやホームページを見た方、出演者の友達や家族、これまでにピースボートの地球一周の船旅に講師として参加してくださった水先案内人の方々、そしてメディア関係者など様々です。

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ピースボートの活動と過去の災害支援の紹介、石巻での被害状況、第一回メンバーからの活動報告と感想、今後のボランティア募集についてなどを含む約1時間半はあっという間に過ぎました。

「学生ボランティアに単位を」という文科省からの通知があったこともあり、特に若手の派遣メンバー6人に出演してもらいました。今回の記事は、6人の報告を中心に紹介します。

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みんなから「ジュンコ」と呼ばれて慕われる河岸純子さん。今回、被災地ボランティアとして東京新聞でも紹介されたダンサーです。彼女は普段、ピースボートセンターとうきょうすぐ近くにあるダンススクールでインストラクターをしています。

ニュースを見て何かやりたいと思っていた時に、Twitterで知ったのがピースボートの派遣ボランティアでした。余震への不安も感じていましたが「勇気を振り絞って」参加したと言います。

現地では、在宅避難者のための炊き出しのデリバリーを中心に活動。持ち前の明るさで、デリバリー先の永願寺の方々ともすぐにうち解けました(※一緒にボランティアに参加していたメンバーからは「アイドル的存在だった」という声も)。

「ボランティアが最後まで元気じゃなきゃ、被災者に申し訳ない。」と、テントの拠点となる石巻専修大学では、毎朝のストレッチも自発的に担当しました。

帰ってきてからも、ダンス雑誌で取材を受け、ボランティアに行く若者たちへのメッセージを発信し続けています。

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田中佑樹さんは、日本テレビ『NEWS ZERO』でも密着取材された料理人見習い。赤坂の老舗料理屋で修行中です。お店の大将には「ちゃんと上手いもの作ってこいよ。まずいって言われたら帰ってくんな。」と言われ、ちょっとビクビクしながら参加したそう。

泥出しなど必要とされることはなんでも行いましたが、やはり料理人の田中さん、メインの活動は炊き出しです。屋外で、水も道具も不足する中での料理。一度に500人分を作るのも、初めての経験でした。

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別れ間際、石巻で仲良くなった地元の子から、「やさしい気持ちをありがとう」のメッセージと、ウサギのシールが付いた画用紙をプレゼントしてもらったそう。東京に戻り、すぐに額縁を買って飾った、と報告会でも見せてくれました。

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「サザン」こと左座進介さんは、学生。やはりTwitterで、ピースボートの派遣ボランティアを知りました。

炊き出し、泥出し、デリバリー、1週間の中でさまざまな活動に携わりました。このブログにもアップした湊小学校・図工室の卒業式では、隣の理科室で、子どもたちへのサプライズの贈り物のオムライスとクレープを作っていました。

地震と津波のため、卒業生全員は揃わず、時期もずれてしまったけれど、手作りで行われた卒業式。「8年後、君たちが20歳になった年の3月11日午後2時 46分(地震発生時刻)に、もう一度この場所で会おう。この災害にめげず前向きに人生を生き抜いたそれぞれの8年の報告を楽しみにしているから。」という 先生の声と、生徒たちの泣く声は、左座さんが料理をしていた理科室にも聞こえていた、と語ります。

佐座さんは、今月23日からの第5回目の派遣で、再び石巻へ行く予定です。

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フクちゃんこと福士恵理さんは、第33回ピースボート「地球一周の船旅」の参加者。現在は日本語教師として活躍していますが、震災の影響で仕事の開始が遅れ、その間をボランティアにと思い、ピースボートのホームページをチェックしていたと言います。

作業は、ほぼ毎日、石巻専修大学での倉庫番。人と接する機会も少ない、地味でかつ体力を必要とする物資管理を担いました。現場のあだ名は「倉庫先輩」。外 の様子を見なくても、毎日繰り返し作業する中、日々刻々と変わる支援物資の内容から、被災地の状況の変化を感じていた、と語ります。

自分自身もお風呂にも入れない日々。「支援物資」を前にした際、古着と新品があれば、被災者に渡したいのはやはり新品のキレイな服。非常時とはいえ、送る べき物資とは何なのか、どんな状態のものがいいのか――「被災者の気持ちになって考えられるようになったと思う」と話していました。

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小山大志さん。学生であると共に、ライフセーバーであり、介護のアルバイトもしています。

「絶対に、自分でも役に立てることがある」とボランティア説明会に参加しました。

現地ボランティアには「テント持参」が条件となっていますが、説明会参加時にはテントは持っていなかったそう。テントのことは後で考えよう、とまず説明会 に足を運びました。結果、運良く大きなテントを持っているメンバーと同じチームになり、第1期ボランティアとして石巻での活動に参加することになりまし た。

在宅避難者のために物資の配布をするなど、外へ出る機会が比較的多かった毎日。下水が吹き出し、魚が打ち上げられ、ヘドロが覆う被災地の臭いを感じ、「現場に行くことで初めて知ることがたくさんありました」と語りました。

震災前の状態に復興するだけでなく、より人にやさしい社会のために「次は世界を知りたい」と話す小山さん。「次はピースボートの地球一周の船旅に向けたボランティアスタッフ説明会に参加します」と話してくれました。

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「カモシー」こと鴨志田純さんも、福士さん同様、ピースボートの「地球一周の船旅」経験者。地球一周の際には、ピースボート・クルーズに向けたボランティアスタッフとして活動し、スタッフ割引を使って船旅に参加しました。
(※ピースボートには、ボランティアスタッフとして活動すると、その活動内容に応じて船賃割引を受けられる制度があります。)

船旅を終え、現在は高校の数学教師に。
震災後、自身が参加した地球一周の船旅にスタッフとして乗船していた上野祥法が、石巻から発信するTwitterを見て「応募を決意した」と言います。

石巻での作業は主に、家屋などに入り込んでしまった泥のかき出し作業。3軒ほどの家をまわりました。大変だったのは畳の運び出し作業。泥と水を含んだ畳は「体感で100kgくらい」と言うほどの重さになります。
ある家では、18枚の畳を運び出すことに。ようやく14枚目まで終えたところで、隣りの家の人に「ここに置かないで」と言われ、やり直すことになってしまい「本当にキツかった」と語ります。

次に向かったのは若いご夫婦のお宅。ドロ出しや掃除の中で出てきたのは、子どものオモチャや絵本でした。でも、ご夫婦の横にその子どもの姿はありません。

「家に着いたときに、お父さんとお母さんがすごく大切なものをなくした顔をしていたけれど、最初はそれが何なのかわかりませんでした。片づけをはじめて、 子ども用のおもちゃやマンガが出てきてはじめてその理由がわかりました。ありったけの親の愛情がつぎつぎと出てきて、どうしていいかわかりませんでした。 気持ちの整理もつかないまま、次の家に向かってまたドロ掻き作業を続けました」と言います。

「戻ってきた今も気持ちの整理はできていません。でも、行って良かった」

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「今回の震災でこの緊急支援に関わる中で、自然災害を前にした人間の無力さを知りました。でも同時に、生き残った生命を救えないほど僕らは無力ではないことも知りました。

若く、体力のある人が現地でできることがたくさんあります。泥のかきだしも、瓦礫の撤去も、今後数カ月は続く作業です。まだまだ人が足りていません」

と語るのは、東京で緊急支援のコーディネートをつとめるスタッフ、合田茂広。

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最後にマイクを持ったのは、報告会の直前に石巻から戻ったばかりのピースボート共同代表・吉岡達也。

「政府や支援のプロ集団、大手NGOだけでなく、民間のボランティアが現地に行く意味を、改めて考えたいと思います。

先週まで石巻で活動していたあるグループのリーダーの話を紹介します。
彼らのグループの仕事は、泥かきでした。その日担当した家にいたのは、お母さん一人。その旦那さんも、子どもたちも震災と津波で亡くなりました。

泥をかき出しながら、泥まみれの瓦礫の運び出しも行っていたチームメンバーが『これはどうしますか?』と聞くと、お母さんは『全部捨ててください』と言い ます。指示どおりに作業を進めていく中、アルバムをみつけた。さすがにこれはとっておこうとお母さんに渡すと、お母さんはやはり『全部捨ててください』と 言いました。

その夜、グループリーダーからこの相談を受けたわけです。

そういうとき、どうするべきでしょうか?

僕にもわからないです。答えはありません。

ボランティアが現地に行く意味をもう一度考えたいと思います。

被災地に大きな重機を入れて、瓦礫を一斉撤去すれば効率的かもしれない。でも、本当は、泥をかぶった家具のひとつひとつが、瓦礫の山も、そこで暮らしてい た人の毎日なのです。人であるからこそ、そこで一緒に悩むことができる。人が行く意味は、そういうところにあるのではないでしょうか」

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ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。

今後このブログにも、今回の記事では紹介できなかった現地活動風景をできる限り頻度を上げて掲載していきたいと思います。