都立高校の宿泊防災訓練

 

学校で行った避難訓練を懐かしく思い出す人もいるかもしれませんが、先日参加した都立高校の訓練は、学校での宿泊を伴う内容。今年度から約180ある全都立高校で実施されている新しい「宿泊防災訓練」の取り組みです。

 

東日本大震災の影響もあったと想像できますが、東京都教育委員会は、「災害発生時、自分の命を守り、身近な人を助け、さらに避難所の運営など地域に貢献できる人間を育てるため」と、一泊ニ日の宿泊防災訓練の狙いを発表しています。

この日参加したのは、都立紅葉川高校の訓練。「東日本大震災の現場で経験したボランティア活動について」講話を依頼されたのがきっかけです。今年度に入って、すでに三校目となる依頼でした。

 

全体の流れは、訓練用の緊急地震速報を受けて、生徒(この日は1年生約240名が対象)と教職員の方々が体育館に避難するところから。点呼と全体説明が終わると、地区の消防署の方から緊急時の身の守り方についての講話がありました。

 

続いて、PBV理事の合田茂広から、30分ほど宮城県石巻市での活動紹介。派遣任務を受けて活動する消防や警察、自衛隊といった機関との違いや、避難所の様子、ボランティアだからできた被災者支援などについて具体例を出しながら話しました。

 

生徒たちは、そこからPTAの皆さんの協力も得ながら、飲料水を受け取り、備蓄非常食などで夕食を準備。教室ごとにさらに学習したあと、毛布を受け取り就寝。もちろん、教職員の方々も一緒です。翌朝は、毛布などを片付け、乾パンやクラッカーの朝食をとり、全体集合してようやく解散とのことです。

 

授業やテストが終わった夕方からの訓練なので、生徒にとってはなかなか大変だったと思いますが、学校ごとに講話を取り入れたり、体験型の応急救護を実践してみたりと、色々と工夫されているようです。

もちろん、首都直下型の大地震の場合、停電があったり、指定避難所として生徒だけでない避難者受け入れが必要になったり、1泊どころか数ヶ月に渡って生活を続けることになる可能性もあります。すべてが訓練通りにはいかないでしょうが、こういった体験がいざという時に「あの時、こんなことを言ってたな」と思い出すだけでも、大きな一歩なんだろうと思います。

 

ボランティアで人の役に立とうと思えば、それは自分が無事に生き延びてからの話です。自宅や学校、職場などでの防災についても、定期的に見直しておくことが必要ですね。