PBVでは、九州北部豪雨への対応として7月15日に現地入り、8月10日までの約1ヶ月間、大分県竹田市、熊本県阿蘇市での緊急支援を実施。参加してくれたボランティアは計41人(日別のべ活動人数212人)は、現地災害ボランティアセンター(社会福祉協議会が運営)に訪れた個人ボランティアの皆さんと一緒に、家屋や施設の泥だしや道路・側溝の清掃などを行いました。
活動終了にあたって、現地コーディネーターを務めたPBVスタッフの鈴木省一が、竹田市のボランティア受け入れでご協力くださった現地社会福祉協議会(以下、社協)久住支所長の水野匡也さんにお話を伺いました。
竹田市社会福祉協議会の水野さん(左)と、現地PBVボランティア・コーディネーターと務めた鈴木省一。
Q(鈴木省一):
竹田市では、災害ボランティアセンターでの個人ボランティアの募集も終了。ひとまず緊急支援を終え、これから時間をかけて復旧・復興のステージに入るところだと思います。いまの心境を教えてください。
A(水野匡也さん):
私たち竹田市社協がボランティアの受け入れを担当したのですが、初めての経験で正直、右往左往した部分もありましたが、全国から色んな人が集まってくれたこと、そして地元の人たちが自分たちで頑張ろうという底力も見た気がします。人の支援のありがたみを実感しました。
Q:
水野さんは、新潟や福島での災害支援経験もお持ちと聞いていますが。
A:
支援P(災害ボランティア活動支援プロジェクト会議)の派遣で。ボランティア・コーディネーターまたは災害ボランティアセンターの運営支援者としていくつかの災害現場の社協に応援に入ったことがあります。その時は、自分はよそ者なので、できる限りその土地に元々あった文化などを壊さないように心がけながら活動してきました。
そこで、「ありがとう」と言われても、「本当に役に立ったのかな?もっとできたんじゃないか?」と感じることもありました。今回、逆に受け入れる 側の立場になって、「人が応援に来てくれるだけでも本当に嬉しいんだ」と気付きました。
Q:
復旧・復興の主体となるのは地元住民の皆さんなので、まずは地元でのボランティア参加が多かったと思いますが、ピースボートのように県外からのボランティアも一部受け入れてくださいました。宿泊場所の確保などにもご協力いただき、イレギュラーで対応していただいたところもあるんだろうと思っていますが、実際どうだったのでしょう?
A:
県外からの応援は、初めは支援Pのメンバーなど、顔見知りが来てくれたことで、安心して準備を進めることができました。ボランティアの受け入れ体制が見えてきたところで、ピースボートさんが来てくれて。初めに来た上島さんも丁寧に相談してくれたおかげで、特に不安はありませんでした。
災害の現場なので、多少のバタつきはありましたが、いくつか想定していた仕組みが噛み合ったことでスムーズに進んだ部分も多かったと思っていま す。
竹田市社協が運営した災害ボランティアセンター。個人ボランティアの受け入れを担った。
Q:
途中から個人ボランティアの数も増えて、土日は100人以上が集まっていました。ピースボートは、団体としては終了日まで継続して活動しようと決めていたこともあって、その日その日にやってくる個人ボランティアの皆さんとチームを作って活動することがほとんどでした。
A:
ピースボートの皆さんは、経験者中心に構成されているメンバーが多かったので、社協に来るニーズや作業の進み具合も一緒に把握してもらった上で、 初めて参加する個人ボランティアのチームリーダーになって現場に出てほしいと提案しました。
私たち自身は、現場のリスクマネジメントまで手が届きませんし、特に暑い中での作業だったので、ボランティア自身の安全面を考慮しながら、まとめてくれたことは特に助かりました。
Q:
昨年、東日本大震災の初期の緊急支援は、かなり危険な現場もありました。セーフティーオフィサーをまず派遣したり、ボランティアにも安全チェックマニュアルを渡したりと、かなり気を遣いながら活動するようにしています。
現場の作業は、こういった半壊した建物の周辺で行うことも。専門家の危険度判定が間に合わないことも多く、PBVでは研修を受けた現場のリーダーが安全管理を行うようにしている。
Q:
ただ、僕たち自身も今回見えた課題がたくさんあります。被害が広域だったことも影響していますが、活動場所の決定をもう早くしたかった。それから、東京や石巻から、最初の資材やスタッフを運んだので、物理的に時間がかかったこともあります。
自然災害は場所やタイミングを選ばないので、どうやって広域で緊急支援に動けるようになるのか、しっかり考えて実行していきたいと思います。
A:
私自身も、社協や支援Pという災害ボランティアと関わる立場にいますが、「どう人の力を借りて一緒にやっていくか?」「どう人とつながっていくか?」をずっと大事にしてきました。
ピースボートさんとも、「一度築いた関係は、簡単には壊れない」そういった顔の見える信頼関係で、これからもお互い協力していければと思っています。
Q:
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。今日は貴重なお時間を割いていただいて、本当にありがとうございました。
※九州北部豪雨への緊急支援には、皆様から計999,825円の募金を寄せていただきました。この募金が中心となって、今回の支援活動を実施することができました。改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
photo: Shoichi Suzuki