スタッフインタビュー 松村真澄(後半)

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インタビュー後半。写真は、昨年5月石巻市にて。

 

 

Q:
話を少し進めて、この夏の福島子どもプロジェクト「福島×ベネズエラ×ロサンゼルス音楽交流プログラム」のことも聞いていきたいと思います。計画を思い立ったいきさつを教えてください。

A:
福島の原発事故について怖かったのは、放射能による健康被害そのものもそうですが、そこから差別が生まれたり、ストレスや不安から人や自分を傷付けてしまうといった子ども達が生まれてしまうんじゃないかということ。

「僕らは、この国のお荷物なんだ」とか「実験台になったってことでしょ?」など、雑誌などで福島の子ども達が書いた手紙を目にしたとき、本当に身体が震えました。やっぱり「なんとかしなきゃ!」って。

 

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南相馬市小高区の小学校。現在は使われておらず、除染作業もこれから。

 

Q:
線量が何シーベルトまで大丈夫かといった議論も大切なんだろうとは思いますが、実際の生活や心の中の問題は、その議論で出た答えでは解決されないですよね。

A:
それで思い出したのが、ベネズエラで出会った「エル・システマ」の子たちのことでした。たった11人から始まった青少年オーケストラですが、今では国家的プロジェクトで、約35万人がメンバーという無料の音楽教育プログラムです。

2007年からだったと思いますが、現地でこのオーケストラと出会い、これまで彼らとのプログラムの担当を続けています。ピースボートの船は、バルガス州のラグアイラという港に寄港することが多いのですが、ここは1999年に南米史上最悪とも言われる大洪水で3万人もの人が犠牲になったと言われています。

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1999年のベネズエラ大洪水「ラグアイラの悲劇」。

 

「エル・システマ」のラグライラ支部の子たちが、この時のことを語ってくれたことがあります。「なんとか洪水の流れより高い岩に上って、気付いたらバイオリン1本握り締めていたんだ」とか「家族は流されちゃったけど、仲間がいるから」と。もちろん、強がってたりの部分はあるのかもしれないけど、「彼らは仲間がいて、音楽があるから、それでも前を向けるんだな。福島の子たちと彼らをなんとか会わせてあげられないかな」と。

 

Q:
「エル・システマ」は、踊りながら演奏したり、とにかく「音楽は楽しいんだ!」っていうことを身体中で表現しますよね。それに、ソロじゃなくてオーケストラだから、自分の役割もチームワークも大事。スラムや刑務所に出かけていって無料のコンサートを開いてメンバーを勧誘していくっていう、貧困や犯罪と向き合ってもいる。音楽に生きる力を感じます。

A:
踊りながらできるのは、一番上手な選抜グループなんですけど。それでも2歳ぐらいの子が音に合わせて段ボールで作ったバイオリンを手に、一所懸命練習している姿なんか見ちゃうと、もう堪りませんね(笑)

Q:
魅了されちゃった?

A:
されちゃいました(笑)

Q:
ですよね(笑)

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「エル・システマ」出身の指揮者グスターボ・ドゥダメル。ベネズエラ・カラカスにて

 

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「エル・システマ」は2歳ぐらい~20代、35万人が所属する楽団。

 

 

Q:

その「エル・システマ」の若者たちと交流する福島の子たちはもう決まっているんですか?

A:
日本や海外でコンサートしたいと思っていたので、バラバラの地域からではなく、普段も練習を一緒にしているメンバーがいいかなとは思っていて、多くの保養プロジェクトを手がける「子どもを放射能から守る福島ネットワーク」の吉野裕之さんにまずご相談したんです。

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そこで、紹介していただいたのが「FTVジュニアオーケストラ」。小学生から高校生まで参加していますが、ベネズエラ側も高校生とか20歳ぐらいの子も交じっているので、ある程度同世代で提案しました。もちろんベネズエラ側も全員が参加して、予定しているプログラムも実施するにはお金もかかるので、これから募金も「なんとかしなきゃ!」なんですけど(笑)

 

Q:
聞きたいことはまだありますが、そろそろ・・・

A:
話したいこと、まだまだあるんですけど(笑)でも、これからまたベネズエラやロサンゼルスに行って準備する中で新しいアイデアも出るだろうし。本番に楽しみを取っておかなくちゃ、ということで。

Q:
最後までまとめていただいて・・・。日本での準備は、東京のスタッフやボランティアに任せて、気を付けて現地でのプログラムを作って来てください。今日は、ありがとうございました。

 

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2011年、ベネズエラ・ラグアイラの「エル・システマ」の子どもたちと。

 

 

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photo by Yoshinori Ueno, Mitsutoshi Nakamura