12月17日、「東日本大震災とボランティア」と題して、災害ボランティア・リーダートレーニングの説明会&報告会を行いました。イベントには約60名が参加、石巻市内で行った7日間の研修成果を発表しました。
※当日のUstream映像は、以下のチャンネルからアーカイブでご覧いただけます。http://www.ustream.tv/channel/peaceboat-live
第1部は、ドキュメンタリー『復興への一歩 ~被災者とボランティアの絆~』を上映した後、この日進行を務めた合田茂広と、石巻から参加した鈴木省一(元デリバリー活動AD/現リーダートレーニングトレーナー)から、これまでの活動について報告しました。
特に、行政による支援の手が届かない在宅避難者に向けた炊き出しデリバリー、現在も続く仮設住宅支援や工場支援など、民間ボランティアの活動意義について紹介しました。
第2部は、ゲストとしてお越しいただいた関西大学の菅磨志保さんに、1995年の阪神淡路大震災以降の災害ボランティアの動きについてお話いただきました。
当時、菅さんも現地入りした神戸には、今回と同じように若いボランティアが全国から集まり、テントを張って災害支援に当たりました。「ボランティア元年」の神戸は、大きな注目を集めました。また、一方で、被災者からのニーズとボランティアをつなぐ機能がなく混乱もありました。
そこから約10年間、日本では数々の自然災害が発生し、このマッチング機能を社会福祉協議会が運営する災害ボランティアセンターで行うことが定着してきました。その間、日本ではNGO/NPOなど、独自にコーディネートして動ける市民団体も増え、そういったタイミングで起こった災害が東日本大震災です。
個人ボランティア=社会福祉協議会、団体ボランティア=石巻災害復興支援協議会という、石巻のボランティア受け入れモデルは、こういった歴史背景とともに、普段から人を育て、連携を図ろうとする努力があってこそ生まれたものでもありました。
第3部では、第1・2期、また3期からのメンバーも加わり、計12名のリーダートレーニング受講生が集まり、7日間のプログラムを振り返りました。
「ご年配の方や子どものことを考えて、炊き出しの食材は小さく刻むことを知った」
「自分のテントだけでなく、簡易トイレの準備など全体のことを考える必要があった」
「実際の現地リーダーがどう地元の方と関係を築いているか、間近で体験できた」
過去、ボランティアとして作業に集中していた時には分からなかった視点に気付くことができた、という意見が多数ありました。
また、7日目に行っているケーススタディーはダイジェスト版で実演。これは、複数の大学教授や学生の方々にもご協力いただき、共同開発してきたワークショップです。現場で実際に起こったトラブルなどをこれまでのリーダーたちから聞き取り、その失敗・成功例を共有することが目的。「自分がその場のリーダーだったらどうするか?」マニュアル通りの答えがあるわけではなく、自分なりの判断力を養うトレーニングです。
イベントの最後には、東京で別の講演を終えた伊藤秀樹・石巻災害復興支援協議会会長が、わざわざ駆け付けてくれました。数々の災害支援現場を経験してきた伊藤会長からいただいた言葉は、ピースボートもまったく同じ想いです。このイベント報告も、その言葉をお借りして、結びとさせていただきます。
「これまで経験した災害では、自分なりに試行錯誤しながら災害支援のノウハウを覚えてきたけれど、今後のためにもこういった体系だったプログラムが必要だと思う。ボランティアであれ研修であれ、石巻にはまだ皆さんの力が必要です。石巻をよろしくお願いします。」
photo:Shoichi Suzuki