津波で流され、泥で汚れたパレットを洗うボランティアメンバー。
石巻湾を臨む石巻港周辺は、もっとも津波被害が大きかった場所の一つです。一帯に立ち並ぶ水産関係の工場も軒並み甚大なダメージを受けてしまいました。
今日は漁業の復興支援にも繋がる、港周辺の工場での支援活動の様子をレポートします。
今回訪れたのは、水産加工や関係工場が並ぶ魚町のミツワ製氷さん。漁から水揚げまでの漁船内や、各地へ出荷される際にも欠かせない、魚介類の鮮度を保つための氷を製造している製氷工場です。 幸い製氷機は動き出したものの、出来上がった氷の運搬や保管に欠かせないパレットが津波で流され、回収できたものも破損や汚れが酷いものが多いというのが当初の状態でした。そんな中、何とか使用可能なパレットを洗ってほしいという依頼があったのです。
清掃前のパレットは、写真のように乾いた泥が付着している状態です。
まずは高圧洗浄機で泥汚れを一気に洗い飛ばします。
続いてデッキブラシでひたすら擦り洗い。
そして大量の水で洗い流し、あとは磨き残しを再度擦って終わります。
このパレット、一枚100kg近く(!)もあるため、運んで裏返してまた運んで・・・という作業が何より大変とのこと。背景に山積みされているパレットは数百枚。一日平均30枚ぐらいのペースで作業をおこなっています。実は工場の方のお話によると、再開にあたって当面の不足分としてパレット1,000枚を和歌山県の業者に発注したものの、その業者が台風12号で被災したため納品の目処が立たなくなっていたという事情があったんだそうです。そのため、このパレット洗浄が本当に助かっているとのことでした。
こちらが工場で作られた氷の塊(写真は7ブロック)です。工場内からパレットに載せられた氷がフォークリフトで次々と運ばれ・・・
ひとつひとつリフトで砕氷機に上げられると・・・
数秒後にはこのような状態で待ち構えるトラックや船に積まれていきます。
杜の都・仙台、水の都・石巻と呼ばれるほど水産資源に恵まれ、漁業や水産加工業が盛んな石巻市。たとえ浜で漁師さんが漁を再開したとしても、それを保存・加工・運搬する手段がなければ売り物にできません。漁業支援をおこなっている浜で獲れた魚介類が、工場支援をおこなっている製氷工場で作られた氷によって新鮮な状態で食卓へ届く。そんな光景が脳裏に浮かび、また新たに復興への想いを強くした一日となりました。
All photos by Mitsutoshi Nakamura