ADの1日 ボランティア宿泊所管理人編 (後半)

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Q:
長期で石巻に滞在し始めたのはいつからですか?管理人になったきっかけは?

松村:
5月26日からです。そのままカスカファッションに滞在することになるんですが、当時管理人をやっていた馬さん(馬野誠:現環境向上担当スタッフ)がいったん東京に帰ることになっていて、2日間の引き継ぎの後いきなり管理人になりました(笑)。ちょうどその時期ぐらいから短期ボランティアの派遣がスタートして、受け入れや準備でバタバタの日々でしたね。

 

Q:
受け入れる人数も一気に増えたと思うんですが、当時のカスカファッションはどのような状況でしたか?

松村:
当初は男女比が7:3ぐらいだったんですが、徐々に女性の数が増えていったのでスペースの配分を考えたり仕切りをよりしっかりさせたりもしました。電源が元工場ということで200Vしかなく、津波で変圧器もやられていたのでしばらくは発電機頼りでした。室内はハロゲン3灯、キッチンとして使っている場所も豆電球でしたからね。オーナーさんの許可をもらって工事を進めて、ようやく7月中旬頃に通電したのが大きかったです。

 

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左側が男性用スペース、緑色のシートの奥が女性用スペース。入口には蚊帳が付いています。

 

Q:
夏場は特に大変だったと思います。生活環境に関してボランティアの方から意見や要望も出ましたか?

松村:
もちろんみんなある程度覚悟をもって来てくれていますが、やはり生活していく中で「もっとこうだったら嬉しい」というような話は出てきました。一番苦労したのは暑くなり始めた時期から一気に増えたハエ対策です。被災地全土の問題でもありましたが、カスカでもみんな寝不足だという話になりました。室内への侵入は完全には防げないので、窓に木枠の網戸を付けたり蚊帳を付けたりしたことで改善され、トイレでも通電したことで換気扇を回せるようになってハエが減りました。暑さ対策に関しては、過去に参加した人も含めたたくさんのボランティアメンバーに呼び掛けて扇風機を10台以上集めました。そしてついに8月頭に待望の仮設シャワーが完成して、これは本当に「カスカの奇跡」と言ってもいいぐらいの出来事です(笑)。毎日の汗や汚れを洗い流せるのはもちろん、次の日に向けて気分をリフレッシュできるというのが何より大きかったと思います。

 

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カスカのシャワールーム(男性用4、女性用6)。設置工事は元管理人の馬野を中心に進められました。

 

Q:
管理人を務めていく上で何を一番大事にしていたか、そして最後に今後の自分の関わり方について教えてください。

松村:
5月末というのは、ゴールデンウィークが終わって一気にボランティアの数が減っていた時期でした。そう簡単に増やすのは難しいと思っていたので、参加してくれた人たちにまた来てもらえるようにしようと意識していました。他の作業チームの様子やリーダーの話を参考にしていいところを取り入れることから始めたんですけど、それがきっかけになってみんなで想いや意見を言い合えるお話会が始まりました。ボランティアを”やってきた”だけではなく”また来たい”と思ってもらうには「楽しい」と思ってもらえる時間も必要だし、短い期間なのでそれぞれの地元に帰ったあとの繋がりも大事にしようと考えていました。たくさんのボランティアを受け入れてきましたけど、来た時と帰る時の顔の変化、そして、その人たちがまた来てくれた時のいい表情を見ることがやりがいになっていました。
今は仮設新聞チームの一員として活動していますが、対ボランティアから対仮設住民になっただけで、人と人との繋がりや関わりを大事にする役割であるのは変わりません。僕はきっとそういう運命なんだと思っています。年末、年度末でそれぞれ区切りにするタイミングを考えながら、その日まで自分なりに頑張るつもりです。

 

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6月某日、まっつん(松村)が送り出すバスでいったん東京に帰ることになった時のこと。彼は運転手さんからマイクを借り、「僕は石巻にいるスタッフの中でバスを送り出すのが一番遅いんですよ。」と言うと、数十人乗車しているボランティア一人一人にお礼を伝えながら握手をしていったんです。僕ももちろん、ガッチリと手を握りました。
もしかしたら、その握手から伝わる彼のあたたかな想いで「また来よう」と意を決めた人もいたのかも知れません。今日もカスカファッションの一角には、ボランティアメンバーを優しく見守るまっつんの笑顔がありました。

 

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All photos by Mitsutoshi Nakamura