2026年4月14日。2016年の熊本地震発生から10年を迎えました。
10年前の4月14日21時26分、熊本県益城町付近を震源とする震度7の地震(前震)が発生。そのわずか2日後の4月16日未明、再び震度7の激震(本震)が同地域を襲いました。2度にわたる未曾有の揺れは、住宅被害19万棟、避難者20万人という甚大な爪痕を残しました。
特に、直接死50名を大幅に上回る221名もの方が「災害関連死」で亡くなられた事実は、今なお私たちに重い課題を突きつけています。この10年という月日を経て、当時の活動を問い直し、あの日見えた課題が現在の防災対策にどう活かされているのか、改めて目を向けたいと思います。

「見えないニーズ」を形に。子どもの遊び場と、安らぎのカフェ
PBVは本震直後からスタッフを派遣し、特に被害の大きかった益城町を中心に活動を展開。当時は避難所の過密状態や衛生環境の悪化が深刻で、最大約6,000人が車中泊を続けていた「グランメッセ熊本」や、廊下まで避難者で溢れた「広安小学校」などの運営サポートに入りました。

活動で大切にしたのは、数値化できない「心のニーズ」です。屋根がある場所を怖がる子どもたちのための「子どもひろば」や、母親たちが一息つけるカフェスペースの設置。支援者と被災者の垣根を超え、家族のように意見を交わしながら「全員でこの困難を乗り切る」という一体感の中で歩みを進めました。

「食」と「自立」が支える避難生活の質
インフラが途絶えた現場では、食事の確保も急務でした。おにぎりやパンに偏りがちな配布食による栄養不足を防ぐため、PBVは調理師や栄養士を派遣。野菜を中心とした温かい炊き出しを継続しました。地元のスーパーや県産食材を活用することで、地域経済の復興も意識しました。

また、長期化する避難生活で不可欠だったのが「住民主体の運営」です。広安小学校では、住民同士がルールを話し合う場を「ボランチタイム」と名付け、避難所新聞の発行など、住民自らが前向きに生活を彩る仕組み作りをサポートしました。

医療的ケアが必要な子どもと家族を支える「居場所」の創出
震災直後、人工呼吸器や胃ろうなどの医療的ケアが必要な子どもたちは、停電や衛生環境の悪化により命の危険に直結する過酷な状況に置かれていました。電源確保のため2週間の車中泊を余儀なくされるなど、ご家族の負担も限界に達していました。
こうした「命の危機に直結する状況」を解決するべく、震災から2ヶ月後、熊本市内にある医療施設である「おがた小児科・内科」内に、児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所「ぱんぷきんクラブ」が開設されました。PBVは専門団体と連携し、施設の立ち上げ支援や有資格ボランティアの派遣を約3ヶ月間継続。「安心して預けられる場所ができたことで、子どもに成長が見られ、親も休息を取れるようになった」という声が寄せられ、地域の大切な支えとなりました。

「助かったはずの命」を守るための教訓を全国へ
熊本地震で突きつけられた「災害関連死」という課題。この教訓は、その後の日本の防災を大きく動かしました。
2024年の能登半島地震においても、過酷な避難環境により関連死が直接死を上回る事態となりました。一概に比較はできませんが、能登半島地震の現場では、熊本で培われた「避難生活の質を上げる」という教訓を胸に、現在も日々活動を続けております。


現在、こうした民間支援の知見は国の制度としても結実しています。内閣府が主導する『避難生活支援リーダー/サポーター』研修がその一つです。避難所の環境改善や心のケアを平時から学ぶこの制度には、PBVが熊本で行ってきたノウハウが土台として活かされています。
次の10年へー孤独死を防ぐコミュニティの再生
熊本での活動の終盤、私たちは益城町内の全仮設住宅の集会所へ、テーブルやテレビなどの備品を搬入しました。それは「孤独死を防ぐためには、住民が自然に集まれる場が不可欠だ」という過去の震災からの確信があったからです。
住まいを整え、生活用品を揃えることは、復興の最低条件に過ぎません。本当に重要なのは、その先にある「人と人の繋がり」を再生する場づくりです。椅子があれば誰かが腰を下ろし、お茶があれば会話が生まれます。こうした何気ない「場」があることで、住民同士が自然に集い、何気ない触れ合いの中から、また明日も前を向く希望が生まれていきます。


10年という月日が経ち、街の景色は変わっても、あの日見つけた「命を守るための課題」を忘れることはありません。私たちはこれからも、被災された方々の「声にならない声」を拾い続け、誰もが安心して明日を迎えられる社会を目指して歩み続けます。
ご支援くださったみなさまに心より感謝申し上げますとともに、これからも是非、関心を寄せ続けていただけますと幸いです。
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