【発災から1年6ヶ月】2024年石川県能登半島地震、そして奥能登豪雨

2024年1月1日に発生した石川県能登半島地震から1年6ヶ月。
追い打ちをかけるように能登を襲った同年9月21日の奥能登豪雨被害からまもなく10ヶ月が経とうとしています。
 
ピースボート災害支援センター(PBV)は、地震発災翌日の2024年1月2日から現地入りし、引き続き現在も、輪島市と珠洲市に常駐して支援活動を行っています。直近1ヶ月の出来事についてまとめました。

 

【お知らせ】
「能登半島から1年 活動報告レポート」完成

2024年1月1日の発災より約1年にわたる活動報告のレポートを作成しました。下記よりPDFをご覧いただけます。
 
 
また、近日の被災地の様子についてはこちらからご覧いただけます。
⇒ 動画
 
 

支援活動のようす

優しい音色と心地よいひと時を(珠洲市)

連携団体チームふじさんと共に、箏演奏者の元井美智子さん(沢井箏曲院師範、日本三曲協会会員、(一社)楽音会教授)をお招きし、珠洲市内の仮設集会所や商店の一角をお借りして、お箏の演奏会をしていただきました。

元井さんは、2歳の時からお箏に触れ、古典から現代曲、邦楽器や洋楽器とのコラボなど、多ジャンルで活躍されています。「少人数の中で、箏を近くに感じ、音色を楽しんでもらえたら」という元井さんの思いから、今回珠洲市内5カ所で、演奏をしていただきました。

「お箏の演奏を聞くのは初めて!」という方もおられ、「どうやったら音が出るの」「左手で糸を押したりしているのは、どんな役割があるの?」などの質問も出て、目の前での演奏に興味を持って楽しまれていました。また、「震災前はお箏習っていたんだけどね。今はできなくなってしまった」という方も。「この曲を演奏してほしい」とリクエストをし、箏の音色を楽しまれていました。

聴くだけではなく、箏の伴奏で一緒に歌えたらということで、『川の流れのように』や『能登半島』『ふるさと』など皆さんが知っている曲を数曲、箏の演奏で歌いました。

「箏の演奏で歌えるなんて、贅沢!」「箏の曲以外のものも弾けるのね」と、住民さんたちもとても喜ばれていました。「家の中にいるばかりになってしまうけど、こうやって出てきてみんなで会えるのは、元気になるね」と、終始、皆さんやわらかな笑顔。心地よいひと時を過ごすことができました。

 
 

交流拠点「まちのの間」~コミュニティ支援 “よっていかん家”~(輪島)

輪島市町野町のコミュニティスペース「まちのの間」は、5月13日のオープン以来、延べ707人の住民の皆さまにご利用いただいています。

「まちのの間」とは…
⇒ 動画でご紹介
​町野町第二団地(輪島市応急仮設住宅)のすぐそばという場所柄、特に第二団地の皆さまに多く足を運んでいただいていますが、最近では第一団地やご自宅で暮らす方々の姿も少しずつ増えてきました。最近は1日あたり50人近くの方々が訪れてくださっています。
 
ゆったりと時間が流れる午後。「なんとなく、みんなでこうして風に吹かれてる時間が、好きなんや」。そんなふうに話してくれる住民さんもいらっしゃいます。スタッフも、皆さんと並んで腰かけるこのひとときが何より好きです。

少し照れながらも、勢いよく扉を開けて「コーヒー、飲みに来たわ!」と入ってくる男性たち。開設当初は「男性の利用は少ないのでは」と心配していたけれど、気がつけば男性の利用者は15%を超えました。
畑で採れたレタスを「みんなで分けて」と持ってきてくれる方がいたり、相変わらず、季節の花を手に訪ねてくださる方もいます。
 
 
 
5月の最終日には石川家七尾市出身の落語家・月亭方気さんが来てくださり、いつもより少しにぎやかに、笑顔の輪が広がるひとときとなりました。
 
 
また6月には、ナリス化粧品 (心人)と日本介護美容セラピスト協会の皆さんがやってきて、やさしいハンドマッサージの時間を届けてくださいました。
 

「気持ちよかった」
「手って、こんなにあったかかったんやね」
そんな声が、あちこちにぽつぽつと広がっていました。

そんなふうに、一人ひとりがふっと心をほどいていけるこの場所には、震災前の町野の風景が顔をのぞかせる瞬間があります。

なんでもないけど、かけがえのない「まちのの時間」。
これからもそんな時間を、みなさんと一緒に紡いでいけたらと思います。また、まちのの間まで足を運ぶのが難しい方々にも、この場所で生まれるあたたかな空気をお届けできたらと願い、「移動サロン」の準備も少しずつ進めています。

 
 
 

『衣類のリサイクル市』~好みのものを選べる楽しさと幸せ~(珠洲)

PBVでは、珠洲市ささえ愛センターと連携し、大谷町仮設住宅集会所でのお茶会を毎週実施しています。そのお茶会で、グリーンコープさんによる『衣類のリサイクル市』を隔週で開催いただいています。

珠洲市内では震災により洋服を購入できる店舗がないため「手軽に洋服を選んで購入できるのはとても嬉しい!」と住民さんたちから大好評です。

「好きなデザインを探して、こうやって一枚ずつ見ていくのが楽しい!」
「明るい色の洋服を着ていると元気が出るから、こういう洋服も着てみようかな」
「お父さんは、いつも同じ洋服を洗濯しては着てを繰り返してたから。これで洗い替えが増える!!」

冬物、春物、夏物と季節に合わせた洋服を揃えてくださるので、皆さん毎回選ぶことをとても楽しみにされており、お茶会のひとつの楽しみになっています。

売り上げはパキスタンの子どもたちの支援へつながるとのこと。支援がさらなる支援に繋がっていくことも素敵ですね。

グリーンコープさんからは昨年より継続的に様々な支援のご協力をいただいており、いつもありがとうございます。

 

*『衣類のリサイクル市』とは……
社会福祉法人グリーンコープさんによる”衣類で広がるファイバーリサイクル運動”のこと。「国境を越えた子育て支援」「衣類のリユース・リサイクル」「生活困窮者の就労支援」の3つの大きな目的で取り組まれています。

自宅で眠っている衣類からご寄付いただいたうちの約8割を、パキスタンのアル・カイールアカデミー事業部に届け、現地で販売。売上金を学校の運営資金として、パキスタンの子どもたちが学校に行けるように支援活動を実施されています。

「集まった衣類が、被災地域でも活かされるのでは」ということで、能登半島災害の現地でも『衣類のリサイクル市』を継続いただいています。

 

今後の活動予定

これまでの活動のようすを50以上のメディア(新聞・ラジオ・ネットニュース・配信番組など)取り上げていただいています。
 ⇒ メディア掲載情報一覧はこちらよりご覧ください

今後も引き続き関連団体と協力しながら、中期的な支援のために、被災者の生活再建に関わる「コミュニティ形成(サロン実施ほか)」などに力を入れていきます。そのほか状況に応じて、「被災家屋の応急対応・保全」「災害支援のノウハウ提供や支援調整」など、地元の団体や関係機関、支援団体と連携し、現地のニーズに合わせた支援活動を実施していきます。
 

これまでの能登半島災害での支援活動レポート
こちらよりご覧ください

 

長期的なご支援をお願いいたします

能登半島地震の支援のために珠洲市と輪島市に常駐し、さまざまな支援を行っていた体制をベースとし、9月21日の豪雨直後からすぐに行政、社協、支援者による三者会議を開催しました。それまでにも連携をしてきた現場の関係団体らは、チームに分かれて被害情報の把握と共有、断水地区への水や簡易トイレなどの物資支援など、協力して支援活動を進めています。
しかし、2度にわたる災害による被害は大きく、復旧は長期に渡る見通しです。

 

「2024年石川県能登半島地震・奥能登豪雨 緊急支援募金」ご寄付はこちらから

 

「災害支援サポーター」はこちらから

今後の長期にわたる支援は、継続的に支えてくださる「災害支援サポーター(マンスリーサポーター)」のお力が大きな助けとなります。ぜひ、長期的なサポートにご協力お願いします!

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