チリ大規模火災から1年 活動レポート

チリ中部で起きた大規模火災から1年

 

2024年2月2日に南米のチリ中部で起きた大規模森林火災から約1年。

この森林火事はピースボートクルーズでよく訪れる港湾都市バルパライソやビニャ・デル・マール周辺の住宅街にまで燃え広がった結果、137人が亡くなり、計1万6千人が避難、約1万棟の建物が被害を受けるという大惨事となりました。

 

ピースボート災害支援センター(PBV)は、発災直後から募金活動を開始し、支援を行ってまいりました。

 

昨年11月には、PBVスタッフがこの火災で大きな被害を受けたビニャ・デル・マールの国立植物園(Jardín Botanico Nacional)や被災した住宅地を視察しました。国立植物園は、日本から送られ、平和や交流の象徴であった被爆樹木を育てていたことでも知られています。

 

敷地の9割の森林や植物が影響を受けたこの植物園では長い年月をかけて育った貴重な樹木があちこちで焼け焦げて横たわっている様子がまだ痛々しく残っていました。毎年春に美しい花を咲かせお花見イベントで多くの人びとを楽しませていた桜の木も、焼けた部分がばっさりと切られていました。

 

被災した方のお話では、強風により植物園の方向から飛んできた火の粉によって、あっという間に家が燃えてしまい、最小限の貴重品しか持ち出せず着の身着のまま命からがら避難したということでした。近くで火事が起きていたのはわかっていたものの、まさか自分の家に空から火が飛んできてものすごいスピードで燃えてしまうとは思いもしなかったそうです。

黒く焦げてしまったチリ特有のヤシ

 

 

桜並木を絶やさないために

PBVは発災以降、多くの皆さまにご協力をいただき、バルパライソ日系人協会の協力を通じて、被災家屋の修繕とビニャ・デル・マールの国立植物園に新しく桜の苗木40本を購入するための寄付金を届けることができました。

皆さまからの募金は、7月に国立植物園で行われたバルパライソ日系人協会の七夕イベントで、ハルコ・サンチェス・スズキ会長からアレハンドロ・ペイラノ園長に手渡されました。購入した苗は焼け残った桜の木の間に丁寧に植えられ、大事に育てられています。一時期は、すべての桜が枯れてしまったと思われており、ペイラノ園長も「今回の花見の時期には花は咲かないかもしれない」と話していましたが、生命力があった桜は生き残り、焼け残った枝には奇跡的に花が咲きました。

新しい苗が植樹された桜並木
桜の植樹

 

10月に行われたバルパライソ日系人協会主催のお花見は、当初は開催が危ぶまれていましたが、被災地を励まし復興を祈念するイベントとして盛大に開催されました。焼けた桜の枝をより賑やかにするために、折り紙で作った花も飾られ、駐チリ日本国大使をはじめ多くの方々が集い、日本とチリの友好と交流の場となりました。

 

お花見イベント

 

ペイラノ園長より、ご支援くださった日本の皆さまへと感謝の言葉が届きました。

「私たちの施設が焼失し資源が非常に不足していた時期において、皆様からの援助は極めて重要なものでした。その援助のおかげで、私たちは植物園の日本エリアに新たに桜を植えて回復させることができました。私たちがこれまで日本の人々と共にしてきた習慣を取り戻すことができたのです。

今回のご寄付にとても感謝しています。皆様が植物園に来られることを心よりお待ちしております」

 

今後、この桜並木のある場所は日本エリアとして整備していく計画があるそうです。これからの桜の成長が楽しみです。

皆さまのあたたかいご支援に、この場をお借りして心よりお礼申し上げます。