ラテンアメリカ・カリブ海諸国の駐日大使ら16名、能登被災地を訪問

3月19日、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の駐日大使グループ(以下、GRULAC/グルーラック)16名が、石川県能登半島の被災地を訪問しピースボート災害支援センター(以下、PBV)が視察の受け入れをおこないました。

 

 

 

 

世界各地を巡る船旅を企画する国際NGOピースボートは、かねてから各大使館との友好関係を築いてきました。PBVとしては、2011年4月、アラブ諸国ならびにラテンアメリカの駐日大使らによる、東日本大震災の被災地である石巻の訪問をサポートした経験があります。

 

今回は、1月1日に発災した能登半島地震の被災者を見舞い、支援物資とともに連帯のメッセージを届けたいという大使らの強い希望から、訪問が実現されました。
一行には、アルゼンチン、ボリビア、チリ、コスタリカ、キューバ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、メキシコ、ニカラグア、ペルー、ウルグアイ、ベネズエラの大使らが参加しました。

 

 

 

 

朝、まず輪島市に到着し、火災の被害を受けた輪島朝市や、1〜2m隆起したという港を視察しました。その後、輪島市役所にて坂口茂市長を表敬訪問。団長をつとめたジャマイカのリチャーズ大使は、「復興には長い時間がかかると感じた。長い年月に渡る復興に私たちも寄り添って、支援して行きたい」と伝えました。坂口市長は、「みなさんからのお気持ちを受け止め、朝市も輪島塗も必ず復興させる」と力強く約束し、「復興が落ち着いたら、みなさんの国を訪ねていきたい」と希望の気持ちを語りました。輪島市長訪問の様子はNHKでも取り上げられました。(NHKニュースはこちら)

 

 

 

 

輪島市役所をあとにし、避難所となっている大屋小学校を訪ねました。受け入れてくださった避難所のリーダーの方は、地元の方々と試行錯誤しながら生き抜いてきた3か月を語ってくれました。大使らは強く感銘を受け、そのリーダーシップを讃えました。また、避難所で暖を取るご年配の方々に励ましの言葉をかけ、お話を伺いました。

 

 

車を進ませ珠洲市へ移動しました。そこで大使らを待っていたのは、直小学校の子どもたち約60名と先生方の明るい笑顔でした。学校給食は調理施設の給排水機能が回復せず、PBVによる炊き出し支援で賄われています。遠く離れた国から来た大使らに、子どもたちは興味津々。「ボナ・ペティ!」「プロベッチョ!」など、大使の国の言葉で「いただきます!」と声をあげ、元気に給食が始まりました。ベネズエラ大使からプレゼントされたチョコレート、チリ大使からのプルーン、ジャマイカ大使からのバナナチップスなどを手に、「グラシアス!(ありがとう)」と言って大使らを見送ってくれました。

 

 

続いてPBVの拠点を訪問。一息つき、現場のPBVスタッフから支援活動について情報共有しました。地震、ハリケーンや森林火災など、自然災害の多いラテンアメリカ。インフラ整備からボランティアコーディネート、自治体との協力の必要性と支援のマッチングなど、自国のケースと重ね、参考にしているようでした。拠点近くの寺家地区を訪ね、津波被害の凄まじさに絶句し、被災者に想いを寄せました。

 

 

 

 

最後は、珠洲市の泉谷満寿裕市長との面会でした。奥能登の地図を広げ、地震に伴う地形変動やその影響、避難状況や人口の流出など、多くの課題を背負った珠洲市。観光産業の魅力であった美しい景色も失ってしまったことを悔み、「でも、壊れたものは、直せばいい」と言ったところで言葉を詰まらせました。大使たちは強くも複雑な市長の気持ちに共感し、大きな連帯の拍手を送りました。リチャーズ大使はそれに加え、「ラテンアメリカやカリブ海で起こった自然災害で日本が支援の手を差し伸べてくれたのと同じように、私たちも長期的に支援していくことを約束します」「Somos amigos(私たちは友人なのだから)」と締めくくりました。

 

 

 

地震発生当初に比べ、報道の数も減少傾向にある能登半島被災地ですが、残された被災家屋や続く断水状態を見ると、復興には長い道のりとなります。今回の大使らによる訪問が、国際協力の力強いメッセージとして伝わるとともに、新たな協力の道を探るきっかけになることを心から願います。

 

 

 

 


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