現場レポートー守谷フルーツ再開から1ヵ月半の今

本日取り上げるのは、以前もこのブログで紹介したことのある守谷フルーツさんです。震災からおよそ一ヵ月後の4月13日に、石巻市市役所大通り商店街で一番初めに商品とお客さんが並んだお店です。営業再開から約1ヶ月半がたった今、その後のお店の様子を伺いに行きました。

「これから網地島あじしまに配達に行かなくちゃいけないから、夕方頃にまた来て もらえるかね」

お昼どきに伺った守谷フルーツの専務さんにそう言われて、夕方に再度訪れることになりました。網地島は、石巻市の沖合いに浮かぶ島で、ここから1時間ほどかかります。店頭は活気であふれています。何より、専務さんが配達に向けて忙しそうに準備をしている様子を見ると、何だか嬉しくなってしまいます。

17時ごろに再度お店を訪ねると、「いやぁ、さっきは申し訳なかったねぇ、二度手間をかけちゃって」と、さっきと変わらない素敵な笑顔で、専務さんが出てきてくれました。

守谷フルーツの商品の種類は再開時の倍ほどに増えました。今では一日約100人ほどのお客さんが訪れるようになりました。商品が少なかった営業開始時と比べて、見た目も中身も、もう立派な「街の八百屋さん」に戻っています。置いている商品はフルーツや野菜、加工食品ですが、それ以外にも店頭や電話で要望があった商品は、できるだけ仕入れるようにしています。営業を再開した当初、一番喜んでくれたのは、高齢者の方でした。近くにお店が全くなく、遠くのお店には車で買い物に行くことができなかったからです。専務さんは言います。

「本当は買ってくれてありがとうと言うところなのに、売ってくれてありがとうって言われちゃったよ」

守谷フルーツの倉庫や冷蔵庫は津波にやられてしまったので、在庫を置くことはできません。そのため今はその日と翌日の分だけを仕入れています。しかし、今まで個人向けの注文ばかりだった網地島への配達も、最近になっていくつかのお店が再開し、卸しの注文を頼まれるようにもなってきました。ゆっくりではあっても、確実に「復興」に向けて動き出しているようです。

もちろん、今後については心配事は尽きません。一つは、台風や大潮の影響による増水です。実際、お店の脇を流れる小さな水路の水は、あと15cmほどで溢れそうになっていました。

また長期的な懸念としては、この地区が計画整備の対象になっていることも挙げました。計画整備地区では、店舗を建て直すのに許可が必要です。そのため、壊れたお店を再建して営業を再開しようと思っている人がいても、時間がかかってしまうのです。限られた店舗しか再開していない今の状態では、行政の決断を待っているだけでは経済的にますます厳しくなることが目に見えています。これは地区全体の問題として何とかしなくてはいけないと、商工会でも話し合われているとのことでした。

短い取材の時間中も、電話での注文があったり、10人近くのお客さんが訪れたりと、このお店が近隣に住んでいる方にとって拠り所となっている様子がよくわかりました。引き続き厳しい状況であることに変わりはありませんが、こうしてお店の営業を続けられているということが人々の希望になっています。こうしたお店が、各地に増えていくことを願います。