【実施レポート】福島子どもプロジェクト2022夏休み@広島

「福島子どもプロジェクト2022」を実施しました

PBVが国際NGO ピースボート/Peace Boat と共同で2011年より実施している、震災と原発事故で被災した福島の子どもたちを対象とした「福島子どもプロジェクト」。これまで100人をこえる中高生がピースボートが企画するクルーズやスタディツアーに参加し世界を旅してきました。
残念ながら、2020年以降は新型コロナウイルスの拡大を受けプロジェクトの実施を見合わせてきましたが、今夏、パートナー団体「南相馬こどものつばさ」からの希望があり、ついに再開することができました。

今回は8月の広島にて、南相馬市の中学生2名と戦争・平和・歴史について考える4泊5日のピーススタディツアーが実現しました。

※このレポートは、NGOピースボートの公式Facebookにて随時報告された内容を、抜粋してお届けしています。

 

1日目:8/3「広島へ!」

初日は「広島に来た!」と感じてもらうべく、お好み焼きからスタート。飛行機が初めてという参加者もいたので緊張しているかなと心配しましたが、食欲も旺盛で何より。午後は暑さに負けず、市内を散策。広島城も訪れました。おりづるタワーでは、ちょっぴり気恥ずかしい感じがしながらも「すべり台“くるくるくーる”」を滑ったり、自分たちが折った折り鶴を「おりづるの壁」に投げ入れたり。

夕方になると暑さ以上に空腹でちょっぴり疲れもみえましたが、夕食の焼肉でエネルギーチャージ。夜のミーティングではしっかりと明日の予定も確認して、1日を終えました。滞在中のホステルは国際色豊かでプチ国際交流も楽しみました。

 

2日目:8/4「原爆について知る」

朝食を済ませたのち、まずは袋町小学校平和資料館と爆心直下とされる島病院へ。平和公園内の原爆の子の像では千羽鶴を寄贈。その後はヒロシマピースボランティアの方に公園をぐるっとガイドしてもらいました。今日の広島、最高気温は35℃!熱中症気味かな~と思ったら休みながら、でも精力的に慰霊碑や被爆遺構をめぐり、たくさんメモをとりました。

お昼を挟んで午後は平和記念資料館へ。展示されている服などの遺品を見て、「原爆投下は現実に起こったことだったんだな」と感じたそうです。教科書の写真では思わなかったのに、と。現地に来てみたからこそ感じることがありました。記念にメダルもつくってみたり。

最後はソーシャルブックカフェ・ハチドリ舎で伊藤正雄さんの被爆証言を聞きました。木のぬくもりあふれる居心地のいい空間で、伊藤さんは被爆体験だけでなく、第二次世界大戦がはじまった理由や今の日本とアメリカの関係などについてもわかりやすく話してくれました。

夕食はアツアツの窯焼きピザ。明日は朝が早いので、今晩のうちに朝食の調達をということで、みんなでスーパーへ。ホステルに戻ったら、恒例の「夜ミーティング」を経て、一日を終えました。

 

3日目:8/5「遠出~大久野島、尾道へ~」

バスとフェリーを乗り継いでたどり着いた大久野島では、山内正之さんが待っていてくれました。高校の社会科の先生をしていた山内さんは、島がだとった戦争の歴史を丁寧に教えてくれました。島内の毒ガス資料館の展示を説明しながら、また、島に残る様々な遺跡をめぐりながら、写真や地図などを交えて、戦争をすれば被害を受けるだけでなく加害をする側にもなるということを話してくれました。「毒ガスの矛先が向いた人々だけでなく、製造していた大久野島の住民自体も毒ガスの被害を受けていたという話が印象に残った」と、中学生。大久野島からも原爆が見えたという話には、こんな遠くでも見えたのかと驚きました。

大久野島は今はウサギが多くいる島としても有名。学びの合間、そして港での自由時間は、うさぎと戯れたり、うさぎのデザインのプリクラを撮ったり、うさぎスタンプを記念に押したりも。

その後は尾道へ。小一時間商店街を散策して、夕食はもちろん尾道ラーメン!

途中、バスやフェリーが遅れて慌てる場面もありましたが、みんなで協力し、ところどころ息抜きしながら、今日も濃密な行程を無事に終了することができました。

 

4日目:8/6「広島、原爆の日」

8月6日は、広島に原爆が投下された日です。みんなで早起きをして、式典が行われる平和記念公園へ向かいました。公園に集まる人の多さ、公園内のあちこちで行われている中継や読経、デモなど、この日ならではの雰囲気を感じることができました。公園には昨日も一昨日も来ていますが、これまでとはあまりにも違う人の多さに「8月6日ってみんなが大切にしているんだとわかった」とのこと。

その後は路面電車(広電)とフェリーを乗り継ぎ宮島へ。あいにく大鳥居は修理工事中でしたが、自由時間もたっぷりとることができ、シカとのんびりしたり、名物の炭火焼きあなごめしを食べたり、またひとつ思い出が増えました。

広島市内に戻って夕方は灯篭流しをみに再び平和公園へ。コロナの感染拡大を防ぐために自分たちでは流せずスタッフが流すのを見るだけでしたが、少しずつ暗くなる中、徐々に浮かび上がるようにくっきりと見えてくる灯篭の明かりを、何度も写真に収めました。

その後、公園内のレストハウスを訪れ、原爆を生き延びた「明子さんのピアノ」のコンサートイベントの準備をしていたピースボートスタッフともちょっとだけ合流。国内外に向けて本当にたくさんのイベントが配信されていることを実感する機会になりました。

夕食はもちろんお好み焼き!お店の方にちょっぴりサービスもしてもらい、とっても満足な最後の夕食となりました。

夜のミーティングもこれが最後と思うと少し寂しいけれど、明日の朝ごはんのためにおにぎりも仕入れたし、あとは元気に南相馬まで戻るのみです。

 

5日目:8/7「最終日」

「福島子どもプロジェクト2022夏休み」、ついに終わってしまいました。長かったようであっという間だった4泊5日。先ほど参加者全員、無事に南相馬まで帰り着きました。

昨日に引き続き今朝も早起き。部屋を片付け、荷物を整え、朝ごはんには知る人ぞ知る広島のソウルフード、「むさし」のおむすびを。

バスセンターでバスを待ちながら、ピースボートの担当スタッフ橋本より、参加者ひとりずつに修了証を渡しました。修了証にある「今回のプログラムの中で感じ、経験したことが、人や世界と繋がる楽しさ、学ぶことの大切さを知るきっかけになっていれば嬉しいです」という一言には、橋本の今回のプロジェクトへの思いが詰まっています。修了証に書ききれなかったたくさんの思いは、手書きのお手紙でふたりに渡しました。

バスセンターからは南相馬こどものつばさのスタッフに引率をバトンタッチ。バスと飛行機、最後は車で南相馬まで戻ってきました。広島空港ではフライトシュミレーターを体験したり、仙台に着いてからはお昼に牛タンを食べたり、最後の最後まで旅を楽しみました。

南相馬の男山八幡神社に着いたら…保護者のみなさんが待っていました!平和学習も含めたとっても内容の濃い4泊5日の旅。この暑い中、体調も崩さずしっかり学び楽しんだふたり。渡したいもの、話したいこと、たくさんあります。きっと今日はおうちで土産話に花が咲いたことでしょう。

   *

今年は船が出ず、国外にもまだまだ行きづらい中で、形を変えての「福島子どもプロジェクト」の開催となりました。それでも南相馬の中学生とともに、たくさんのことを考え、学び、楽しんだ旅でした。

様々な形でご協力・ご支援いただいたみなさまに感謝いたします。これからも、ピースボートと南相馬の子どもたちとの継続した取り組みを応援していただければ幸いです。