【炊き出し事例集発表会】ご質問・コメントへの回答

いただいた質問やコメントにお応えします!

「炊き出し事例集発表会」にていただきましたご質問やコメントに対して、PBVの炊き出しで行っている事例を紹介いたします。参考にしていただければと思います。

 

作業者、被災者の衛生関係はどの様にしていますか? 食器などもどの様に気を使っているのでしょうか?

 

調理や配膳を行うスタッフの衛生面(事例集P19上段参照)はもちろんですが、炊き出しを取りに来る被災者の方々にも、食事を受け取る前に、手指消毒の協力をお願いしています。
また、野外での炊き出しでは、砂埃や粉塵等の影響も予想されるため、配膳場所にはタープなどを設置し、屋根のある場所で配膳を行います。容器は衛生面を考え、使い捨ての容器を用意し、使用する分だけこまめに袋から開封し使用しています。大鍋から料理をよそう場合は、こまめにふたを閉めるなどの対応をしています。

 

 

いつ、どこで、どれくらいやればいいかわからない。また、数量の不足・過剰の対応についてはどうしていますか?


支援の窓口となる機関(自治体、中間支援組織、災害ボランティアセンター、NPOなどが想定されますが、市町村ごとに窓口となる組織は異なります。また設置されない場合もあります)に問い合わせをし、いつ、どこで、どのくらいの食数、どんなメニューにするのかを確認します。実施後は他団体が今後実施する参考にもなるため、配膳した食数やメニューを支援の窓口となる機関に報告するようにしています。

 

 

私は支援要請をする側の社協職員です。支援者がアレルギー対応食が可能かどうか、メニューが偏らないかなどが心配です。

 

「炊き出し支援団体が、アレルギー対応食が可能かどうか」「メニューが偏らないか」は、支援者と支援の窓口との話し合いが大切です。

必要食数やメニュー内容、要配慮者の食事対応が可能なのかなど、こまめに連絡を取り合うことで、スムーズな支援に繋げることができます。

そのためには、支援を受け入れる側(自治体、中間支援組織、社会福祉協議会、NPOなど)は、炊き出し支援者が、どこに支援の相談をすればよいのか、どのような手順で炊き出し支援をすればいいのかなど、支援者を受け入れる体制を事前に作っておくことが大事です。

ただ、炊き出しの大量調理とアレルギー食対応の食事を作るには、人員体制や食材確保などで支援者にかかる負担が大きくなります。炊き出し団体によっては、アレルギー食まで対応ができません。支援者に頼るだけでなく、アレルギーを持つ住民はもちろん、自治体や避難所でもアレルギー食の備えをしておくことが大切です。
(事例集P14上段、P18上段参照)

 

 

 

地域の方や避難者の中にも、個人でできる事で支援に参加したいという方もいるのではないかと思います。支援する側での情報発信、共有をどのようにしているか知りたいです。

 

災害時は、自治体、中間支援組織、社会福祉協議会、NPOなどの支援者が連携して支援を行うことが重要です。近年はこれらの組織が集まり、定期的に情報共有会議を開き、被災状況や支援状況の共有を行う取り組みが広がっています。

こういった枠組みは、民間支援の全国的なネットワーク組織である、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)が、各都道府県域の中間支援組織と協力して実施しています。災害時にはそれぞれの団体のHPやFacebookなどのSNSにて支援情報が掲載されるので、そちらをご確認ください。
支援には、地域の団体、個人の方の参加も重要です。個人で参加したい場合も、支援の窓口に相談することで、必要な支援を行うことができます。

 

 

自分が被災した時、どのようにすると炊き出しの場面に遭遇できるのでしょうか?

 

災害時にどのように支援の情報が発信されるのかは、自治体や中間支援組織、災害ボランティアセンターなどの情報をご確認ください。また行政や民間の支援情報は、地域の支援拠点となる場所(指定避難所や公民館など)や区長など地域リーダーに情報が集まりやすいです。

そのほか、地方ラジオや支援団体のSNS(TwitterやFacebook)で配信されることもあるので、災害時の情報収集方法を検討しておくことが大切です。また支援者側も、事前に住民への情報発信の方法を決めて、それを住民に伝えておくことも大切です。

 

 

断水などで十分に水を使えない場合はどのようにしたらいいですか?

 

断水時は、水の使用を最小限に抑える必要があります。調理器具の洗浄ができないため、レトルト食品を温めて提供したり、備蓄食を提供するなどの対応が考えられます。そのため、お住まいの地域の災害想定に併せて、3〜7日間分の食料、飲料を備えておくことが必要です。

 

 

「メニュー集」や「準備物の一覧」のような、具体的な資機材を羅列したものがあると便利だと思いました。

 

「事例集P22参考資料の欄」で紹介している「特定非営利活動法人キャンパー」さんや、「一般社団法人日本家政学会」さんが出している冊子に、炊き出しのメニュー集が掲載されています。ぜひ参考にしてください。

 

 

支援を受ける側(行政、社会福祉協議会)として、どこに食事の支援を求めればよいのでしょうか?

 

被災者へ対する災害時の食事は、災害救助法によって行政がその予算を負担することになっています。よってお住まいになっている市区町村が窓口です。ただ発災直後は自治体も混乱するため、その対応が十分でないことが想定されます。自治体はあらかじめ地域防災計画のなかで、お弁当業者や民間企業などと協定を締結していることが多く、避難所などへはそういった企業・団体から提供されます。

一方で、温かい食事、栄養価、アレルギー対応などが難しい場合が多いです。そこで近年増えているのが官民連携の取り組みです。災害支援を専門とするNPO、婦人会、子ども食堂などを運営するNPO、企業などと事前に災害時の備えや連携体制をとっておくと安心です。

また、支援を受ける側となる(自治体、中間支援組織、社会福祉協議会、NPOなど)は、炊き出し支援に関わらず、事前に支援団体を受け入れる体制作り(市町村として外部支援者に支援要請をするのか、どのような支援団体がいるのか、どのような事前準備が必要なのかなど)をしておくと、緊急時にスムーズに支援に繋げられます。

佐賀県にて発生した「令和3年8月豪雨」では、佐賀県の中間支援組織「佐賀災害支援プラットフォーム(SPF)」が中心となり、コロナ禍でのNPOの受け入れガイドライン策定や支援調整などを実施していました。