【2021年8月豪雨・佐賀支援 現地レポート】技術ボランティアがつくる住民さんの安心

現在、地域の支援交流拠点になっている下潟公民分館、中島公民分館、Peri.(ペリドット)に、浸水してしまった家屋の復旧のために痛んでしまった壁や床板を剥がすなどの技術系支援を専門とするボランティアスタッフが入れ替わりで常駐しています。

 
〔写真1〕2021年9月22日撮影:PBV
〔写真2〕2021年9月21日撮影 ©︎Paulo Shaul Fukuchi (OPEN JAPAN)

 

発生から1ヶ月が経過しましたが、浸水被害を受けた家屋の多くは、まだ乾燥しきっていません。床下を乾燥させるのには1〜3か月ほどの長い時間がかかります。家屋に水分が多く含んだ状態で放置してしまうと、カビが発生したり家屋の資材が傷んだり、カビや悪臭が健康被害や生活への支障をきたします。

 

浸水し剥がれかけてきた壁紙をめくってみると、カビが繁殖してしまっていた。(2021年9月23日撮影:PBV)

 

各拠点では、乾燥のスピードをあげるために送風機やサーキュレーターなど、資機材の貸し出しを行っています。現在はこの貸出しを希望する声がとても多く集まっています。

 

今回の公的支援金は、2年前の水害時と比べて受け取る金額が少なくなっている方も多く見受けられます。その理由の一つは、2年前は大雨の影響で地域の鉄工場から大量の油が流出してしまい、浸水被害に加えて油による汚染被害も重なったため、支援金額が上がったためです。もう一つの理由としては、浸水被害を受け、新築やリフォームを行った際に次の水害に備えようと考えて、床の高さをかさ上げしたお宅が多かったためです。しかしながら、前回よりもより高い水位を記録した今回の水害で、「今年のほうがもらえなかった」と、落ち込んでいる住民さんが多くいらっしゃいます。度重なる被災によって費用面の負担も大きく、「業者にどこまで依頼すればいいのか」と不安に感じている住民さんもいらっしゃいます。

新築やリフォームを行ったお宅に伺うことが少なくない。(2021年9月23日撮影:PBV)

 

不安を抱えている住民さんのお宅へ、技術系スタッフが訪問し、床下の様子や家屋の様子を一緒に確認します。これから何が必要なのか、どんな選択肢があるのか、どこまでボランティアに頼めるのか等を丁寧にお話していきます。

現在大町町には、家屋の応急処置をサポートする支援団体が複数関わり(下記敬称略)、町や社協、地元NPOなどと連携して、一世帯ひと世帯丁寧な支援を行っています。

風組関東  / 災害NGO結 / オープンジャパン / め組JAPAN レスキューアシスト / ピースボート災害支援センター

大町町への技術系支援は日々連携・調整しながら支援のもれが出ないように実施している
2021年9月22日撮影 ©︎Paulo Shaul Fukuchi (OPEN JAPAN)

 

技術系スタッフが訪問したお宅の住民さんは、なかなか業者に話せない困りごとから生活の不安まで、様々なことを少しずつ言葉にしてくれています。そのお話のおかげで、技術面だけではなく、生活面や精神面での支援を町の保健師さんや福祉課等に繋げていくケースも増えてきています。

長年暮らす家屋の復旧作業の様子を見守る住民さん。色んな話を聴く貴重な機会だ。

一軒一軒家屋や被災の状態が異なり、また住民さんを取り巻く環境や気持ち、考え方もそれぞれ。
丁寧にお話し、今後の生活再建の道筋を一緒に考えていく。(2021年9月12日撮影:PBV)

 

様々な視点から、住民さん一人ひとりに寄り添った支援とは何かを常に考え、できるだけ元気になって暮らしていけるように、技術スタッフと一緒に連携しながら今後も支援を続けていきます。