【2021年8月豪雨災害・佐賀】現地レポート:内閣府防災×JVOAD 避難所の環境改善アセスメント実施、改善のサポート

本年度から内閣府防災とJVOADが協働で実施している県域の「避難生活支援・防災人材育成エコシステム」事業の一環として、2021年8月豪雨で被災した佐賀県内の避難所の環境改善アセスメントが行われました。JVOAD避難生活改善専門委員として今回のアセスメントに参画した浦野愛氏(レスキューストックヤード)とPBV辛嶋友香里が、大町町、武雄市それぞれに対して、開設中の避難所の現状の評価やこれからの改善点の提言を含めた報告を行いました。

一昨日8/28は大町町に、昨日8/29は武雄市内に開設されている、発災から約2週間が経つ6ヵ所にて避難所のアセスメントを行いました。大町町に2か所設置された避難所には、計23世帯・42名、武雄市に4か所ある避難所には計12世帯・20名の地域住民の方々が避難生活を続けています(アセスメント実施時)。

 

 

 

全国的に初の試みとなる「中長期にわたる避難所運営」に関する調査チェックシートには、避難所内の衛生環境や、寝食の環境、現在特に懸念される新型コロナの感染対策に関する項目など、避難者の生活に関わる多様なポイント、全104項目におよぶ包括的なチェック項目からなっています。今回の調査の報告では、自治体や地元の支援団体、企業など多職種間の連携によって避難所の運営体制が組まれていること、避難者の健康ケアのための名簿や疾患やアレルギーといった要配慮者の把握などが適切になされていることなど、高く評価された項目がありました。2年前の水害の経験や教訓がノウハウとして地元に蓄積され、今回の災害対応に大いに活かされています。

 

   

 

一方で、これから改善が必要とされる項目も見受けられました。例えば、寝床回りでは、避難所の開設から2週間以上経過する中で、座布団等で対応し寝具の支給がなかったり、簡易用ベッド(段ボールベッド)のズレやたわみ、寝床を仕切るパーテーションの高さによって圧迫感や換気・冷房等の循環の妨げになってしまっているという課題がみられました。寝具の長期利用による衛生状態の悪化や、簡易ベッドのたわみ、カビ等が発生してしまう懸念があり、不眠や体の節々の痛みなどといった体調の悪化に繋がる恐れがあります。

 

また、避難所内の換気の頻度や、発災後2週間以上がたった現状での食事内容に非常食・保存食が多いという点も、今後着手する必要がある課題として報告されました。新型コロナの感染対策の中でも、特に空気の循環と換気が大切です。その上、避難所生活を継続する中で、とくに災害関連死や健康被害のリスクが高まるのが、発災後からおよそ10日~2週間と言われています。栄養バランスの観点からは勿論のこと、非常食が続くことで特に見られる糖質中心になりがちの食事は、体重増加や血圧上昇、便秘や下痢、虫歯、落ち込みなど、心身の健康被害につながりやすいことも懸念されます。

 

「コロナ対策をしつつ、避難所をどのように運営していけばよいか。」「コロナ禍で在宅避難者が多い今回の被災で、地域として被災者をどのようにサポ―トしていけばよいか。」など、アセスメントを実施する中で、避難所を運営する職員(その職員さんもまた被災された方が数いるなかで)の方々から、地域の避難生活を支える日々の中で抱える悩みや葛藤を沢山伺いました。

 

避難生活を継続される住民の方々の命・生活・尊厳を守り、安心・安全な生活を送るために、今回のアセスメント報告を受けて、役場職員の方々と協働し、さっそく環境改善のサポートを行っています。
先日は寝床の簡易ベッドの取り換えを行いました。

 

 

 

引き続き、地元の行政・支援団体等と協働し、被災者の方々の想いに寄り添いながら、これまでの災害対応の知見やノウハウを活かして、被災地の復旧活動に尽力していきます。

 


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