【モーリシャス重油流出被害】座礁から2か月

モーリシャス沖で発生した日本の貨物船「わかしお」の座礁事故から、9月25日で2か月が経ちました。

ピースボート災害支援センター(PBV)では、モーリシャス野生生物基金(MWF)をはじめとした、重油流出事故の被害に遭った地域で環境回復・保全やコミュニティ活動を行う現地NGOを支援するため、「モーリシャス重油流出被害緊急支援募金」を立ち上げました。

募金の受付を開始して約1か月の間に、Yahoo!ネット募金やPBVへの寄付を通じて、すでに7,000人を超える多くの方々からご支援をいただいております。皆さまの温かいご協力、本当にありがとうございます。

 

支援先のモーリシャス野生生物基金(MWF)は、30年以上にわたって自然保護や環境教育などの活動を行っているモーリシャスのNGOです。特に今回の事故が発生した場所のすぐ近く、モーリシャス島の850メートル沖に位置するエグレット島は、MWFが1985年以来、森林の回復プロジェクトを行ってきた場所で、これまで30万本以上の固有種や希少種の植林が行われてきました。

一時は森林伐採や開墾、外来動物により環境破壊が進んでいたエグレット島ですが、保護区に指定されて以来、環境保全活動が続けられてきました。植林・森林保全の努力により回復された森は、今では絶滅危惧種や固有種の鳥類を育む貴重な生息地として知られるようになりました。また、エグレット島や南東部の島々は、モーリシャス島では絶滅してしまった貴重な両生類の生息地としても重要です。
 

 
今回の重油流出事故は、MWFが長年取り組んできたこれらの活動にも影響を与えています。重油による土壌汚染の恐れがあるため、MWFではエグレット島で育てている希少種の苗木4,000株以上をモーリシャス島に避難させました。また、環境の変化に非常に敏感な両生類については、国内外の関係機関の協力を得ながらモーリシャス島の安全な場所に運び、保護しています。

今後は、保護した動物の健康状態を確認するための長期的な調査を行っていく予定です。MWFスタッフは日々エグレット島にわたり、動植物のモニタリングを実施しています。
 

 

 
 

通常MWFではエグレット島や南東部の島々へのエコツアーも実施していますが、今年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による観光客の激減により、エコツアーの実施ができなくなっていました。そこに今回の事故が発生したため、新型コロナが終息した後もツアーの再開のめどが立たなくなってしまっています。観光業が主要産業であるモーリシャスにとって、今回の事故は社会・経済的にも大きなダメージを与えています。観光業を支える美しい海と豊かな自然の回復は、人々の暮らしの立て直しに欠かせません。

 

事故から時間が経つとともに報道で取り上げられることも少なくなっていきますが、環境と人々の生活が元に戻るには、まだまだ長い時間が必要です。PBVでは、今後もMWFをはじめとした現地団体と連絡を取り合い、現地のニーズを反映した支援を行ってまいります。
一日も早くモーリシャスの美しい豊かな自然が取り戻せるよう、また、モーリシャスの人々の暮らしの再生に向けて、引き続き皆さまのご支援をお願いいたします。

 

◆モーリシャス重油流出被害 緊急支援募金

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