【2020年7月豪雨 熊本支援】球磨川とともに生きる人々

今回、避難所支援に入っている球磨村は球磨川のほとにりある集落です。球磨川は、熊本県南部の人吉盆地を貫流し、支流を併せながら八代平野にいたり、八代海に注ぐ第一級河川です。熊本県に流れる最大の河川であり、最上川、富士川と並ぶ日本三大急流の一つでもあります。人吉の雄大な自然を楽しむことができる球磨川くだりの歴史は100年以上と言われ、有名な西郷隆盛もこの河川を下ったと言われています。現在ではラフティングなど、急流を楽しむこともでき、観光客にも人気のスポットでした。

球磨村に住む住民さんはこの土地に古くから住み続け、先祖代々土地を守り生活を続けてきました。避難生活を送っている住民さんの多くは、幼いころ球磨川で遊んだりと、思い出深い場所です。そんな大切な球磨川が2020年7月豪雨で氾濫し、川に沿ってあった集落の家屋は次々と川に飲み込まれ、見るも無残な姿になってしまっています。

 

 

慣れ親しんだ球磨川が奪っていったものはあまりにも大きく、この傷を癒し、元の生活を取り戻すには長い時間がかかります。PBVは川とともに生きる球磨村の住民さんに寄り添い、彼らが生活を取り戻せるよう支援を続けていきます。今日は球磨川と共に生き、一緒に避難所生活を送る住民さんをご紹介します。

 

旧多良木高校避難所で避難生活を送っている小川一弥さんは、球磨川の支流まで歩いて数分のところに奥様と一緒に住んでいました。ある日、犬の散歩をしていた時にたまたま出くわした美しいカワセミに心を奪われ、以後、13年間ずっとカワセミの撮影をしています。警戒心の強いカワセミですが、小川さんが撮影した写真の中のカワセミは、とてもおだやかな表情をしており、小川さんとカワセミの絆を感じることができました。

猛烈な雨が吹き続けた7月4日の朝方、家の前には濁流が押し寄せ、その数時間後には屋根裏まで水位が到達していました。逃げ延びた屋根裏には窓もなく、「もうだめだ」と死を覚悟をしていたときに、鉄パイプが目に入りました。それを握りしめ、30分くらいかけて懸命に壁に穴をあけて、なんとか屋根の上に脱出。しばらくして、近くのラフティング会社のスタッフがボートで駆けつけてくれて救出されました。九死に一生の経験をした小川さん。それでもなお、カワセミのことを楽しそうに話す表情に、私たちも救われています。再び、球磨川でカワセミと出会い、撮影を続けてほしいと願っています。

 

 

 

 

旧多良木高校避難所では、食事配膳、環境衛生、物資管理など多くのチームに分かれて活動しています。その中にはさらに細かくいろいろな活動があります。例えば、細かい作業の一つとして、食事後の弁当のガラを回収する作業です。その作業をいつも手伝ってくれているのが、避難生活を送っている山口さん。1日3回毎食後に回収に行くのですが、毎回スタッフよりも早く集合場所で待っていてくれます。7か所くらいを回りながら回収作業を行っているのですが、その途中で山口さんが毎回おもしろい話をして下さるので、スタッフの心も和んでいます。住民さんの暖かい行動を見て、私たちも頑張ろうと思えています。

 

 

 

また、この避難所にはペットも一緒に避難をしています。おしりを撫でられるのがだいすきなベルちゃんと、元気いっぱいで甘えん坊のロックくんです。この避難所ではペットを連れ込めるスペースを用意し、他の住民さんに負担にならように、一緒に避難生活を送っています。日中、飼い主さんがお仕事のことも多いので、飼い主さんに頼まれてスタッフが毎日交代でお散歩に連れて行っています。住民さんももちろんですが、わんちゃんたちも避難生活に慣れてはいません。今までと違った環境の中での生活になるので、わんちゃんたちもストレスを感じていることもあるかもしれません。ですが、日々の自然いっぱいの散歩を通して、少しでも不安と運動不足が取り除けたらと思っています。スタッフも毎日癒されています。

 

 

 

住民さんとコミュニケーションを取りながら、支え合いながら日々の避難所での生活を送っています。

 

 

 

◆2020年7月豪雨災害 新型コロナウイルス×被災地 緊急支援募金

2020年7月豪雨災害 新型コロナウイルス×被災地 緊急支援募金