2020年3月11日。東日本大震災から9年。
お亡くなりになられた方々、そしてご家族の皆さまに心から深く哀悼の意を表します。
未だに行方が分からない方が2,529人、避難生活を送っている方が47,737人いらっしゃいます。数字では表せない一人ひとりの生活があり、9年の節目では語れない3288日の一日いちにちの積み重ねが、そこにはあります。
東日本大震災以降、ピースボート災害支援センター(PBV)では多くボランティアと共に、いくつもの被災地に関わってきました。水没した自宅を前に途方に暮れる一人暮らしのおじいちゃん、地域の繋がりを失ってふさぎ込んでいるおばあちゃん、誰しもが災害に遭う可能性がありますが、特に厳しい状況に置かれるのは社会的、経済的に立場の弱い方々です。そして、災害はその社会が抱える脆弱性を如実に現わしていきます。
現在、世界各地で新型コロナウイルスが広がり、国内外で社会的な不安が高まっています。目に見えない恐怖と言う点で、福島第一原発事故とその後の放射能被害を否が応でも思い出します。目に見えないものへの恐怖は時として非合理的で非科学的な行動に人々を導きます。こうした社会不安は、潜在的な差別や偏見を助長し、分断を生み出すことが往々にしてあります。もちろん感染拡大防止と感染予防、そして感染された方々への早期の治療は急務ですが、国籍や地域、感染の有無による分断には警戒する必要があります。
一方で、人々が集う場が自粛され、学校が休校になり、文化経済活動にも影響がでてきています。これも既存の社会システムが危機にさらされていると言う意味で災害の一形態だと言えます。学校に行けず居場所を失っている子どもはいないのか、パートやアルバイト、フリーランスの方達の仕事はどうなるのか、経営が苦しくなった中小企業の先行きは、などその影響を受けやすい方々の背景を想像し、寄り添っていくことを忘れてはならないと思います。
それでも、私たちは知っています。
災害に見舞われた地域で目にするのは、悲しい出来事ばかりではありません。「何か力になりたい」と全国各地から駆けつけるボランティアの姿を見る時、被災された方が温かいご飯を食べながら談笑している時、私たちも勇気づけられてきました。少し遠くの「あの人」を想像し支えることは、自分自身を守り、大切な人も守ることになります。
そして、また明日も一日が続いていきます。
ピースボート災害支援センター(PBV)