10月下旬に発生した台風21号は、全国各地に被害をもたらしました。浸水被害だけでも近畿、東海地区を中心に5府県(大阪、京都、三重、和歌山、埼玉)の広域で発生しました。今年、発生した災害では、九州北部豪雨、台風18号、に続き3度目の激甚災害に指定されました。
毎年、このような水害が発生するのですが、残念ながら社会的な注目が低い災害もあります。今回、PBVが支援に入った三重県玉城町も、人知れず甚大な浸水被害に遭いました。床上浸水287棟、床下浸水229棟もの被害が発生し、災害救助法が適応されています。
水害と聞くと、土砂が流入する印象を持っている方が多いかもしれません。今回、玉城町の水害は土砂の流入がほとんどなく、被害状況が見た目には分かりにくいものでした。
「水だけの浸水被害は大変」
この言葉は支援活動に携わる団体の中でよく耳にします。なぜなら、水が引いてしまうと被害状況が分かりにくく、目に見えない壁面や床の断熱材まできちんと確認しなければいけないためです。経験と知識があれば確認すべきポイントが分かるのですが、初めて被災する住民さんには難しいことがあります。
玉城町の住民さんも、「床下の見える所は確認して大丈夫そう」と、言われる方は多くいました。しかし、実際に床下にもぐり丁寧に確認していくと、断熱材が水をたっぷり含んでいるなども珍しくありませんでした。
水を含んだ断熱材をそのまま放置してしまうと、床下の湿度が上がりカビが繁殖したり、フローリングや柱が水を吸い腐敗していきます。この状況に気付くまでには、何ヶ月、何年とかかり気付いたときには大規模な修復が必要となり、経済的負担も大きくなります。
今回、PBVではこのような状況になる前に、住宅の被害状況にあった対処方法を住民さんにお伝えしていきました。住民さんからは、「断熱材はまったく意識していなかった」、「自分達では床下にもぐってまで確認出来ないから助かる」、「相談できる相手がいてほっとする」などの、言葉を頂きました。
住民さんの声にもあるように、災害に見舞われると戸惑うことがたくさん発生します。災害は、突然やってくるので、災害に遭ってから初めて当事者になったことに気づかされます。すべての災害に備えておく事は難しいですが、山や川の多い日本ではどこでも水害は発生する可能性があります。水害に遭った時に、どのように自宅を再建していくのか知っておくのも、一つの備えになります。
■水害にあったときに (震災がつなぐ全国ネットワーク)
■災害ボランティア チームリーダーの手引き 家屋清掃水害編 (ピースボート災害ボランティアセンター)
《PBV台風21号災害支援》
●実施期間 2017年11月9日~12月4日
●活動内容 床下確認ニーズ対応、災害ボランティアセンター運営サポート、清掃活動、支援のマッチング調整等
●床下確認依頼対応件数 111件(協力団体による活動件数も含む)
●訪問声かけ調査 94世帯
PBVとしての支援活動は一旦終了しますが、玉城町社会福祉協議会が中心となり生活再建支援は継続されていきます。台風21号災害支援へのご協力、ご寄付いただいた、個人や団体、企業のみなさんに感謝申し上げます。ありがとうございました。