祝・ノーベル平和賞! ~ 一人ひとりが積み重ねた受賞 ~

 

先週末に嬉しいニュースが飛び込んできました。

核兵器禁止国際キャンペーン(ICAN)が2017年のノーベル平和賞を受賞しました。

 

 

ICANは、核廃絶を目指す世界約101ヶ国468団体が加盟するネットワーク型の国際NGOです。

ICANの中核的な運営を担うのは、世界中から集まった10団体の国際運営団体。国際NGOピースボートは、唯一の戦争被爆国の日本の団体として国際運営団体を務め、中心的な役割を果たしてきました。特にピースボートでは、広島・長崎のヒバクシャに地球一周の船旅に参加してもらい、世界各地で核兵器の非人道性を訴えてきました。2008年から始めた「ヒバクシャ地球一周 証言の航海(おりづるプロジェクト)」を通じて行ってきた証言活動は世界59ヶ国84都市にのぼり、ご協力いただいた被爆者の方々は約170名を数えます。

 

 

 

ICAN国際運営委員を務めるピースボートスタッフ川崎哲は、ノーベル平和賞受賞にあたって、これまでに関わってきた被爆者や支援者を前に、「今回の受賞は、被爆者の皆さんをはじめ、核兵器のない世界をつくろうと活動するみんながもらったものだ」と伝えました。

 

 

 

被爆者たちは、原爆が投下されてから70年以上も、自身が経験された恐ろしい出来事を語り続け、被爆者がもう生まれないようにと、核兵器の非人道性と核兵器廃絶を訴え続けてきました。それが実現するのは果てしない道のりに感じられているかもしれません。しかし、当事者たちの訴えに動かされた人・団体・各政府の努力の結晶として、今年の7月には国連で核兵器禁止条約が採択されました。

 

今回のICANのノーベル平和賞は、ただ一つの国際団体に与えられた賞というよりは、

自らの体験を語り続けてきた被爆者たち
証言の機会を作り準備してきた人たち
一筆、一筆、署名を集めた高校生たち
クリエイティブな方法で伝えようとしてきた人たち
人々と活動を繋げネットワークを築いたきた人たち
各国に働きかけて、条文を作り上げた人たち
そして、被爆者の言葉に耳を傾けた人たち

このような小さくても具体的な行動を起こしてきた全ての人たちが、国際世論を動かし評価された意味合いが強いのです。

 

1人の100歩より、100人の1歩。

 

PBVがテーマとしている被災者への災害支援の現場でも、圧倒的な自然の威力を目の前にした時に、立ち尽くすことがあります。東日本大震災の発災当時は、復旧や復興が果てしなく遠いように感じました。それでも、被災者たちは避難所を運営し、地域や生活の再建を地道に続けていきます。

 

それに呼応して、数え切れないほどのボランティアが家の片付けを手伝い、食事を提供し、生活物資を配りました。その支援を繋げようと支援団体間のネットワークが形成され、各セクターの協働があって、初めて支援活動が復興に向けて繋がっていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分では大した貢献はしていないと思えるようなボランティア活動でも、小さくても具体的な行動が集まり繋がることで、とても大きな力になっていきます。大勢の人が、自分のやれる範囲で、やれることに取り組む先に、復興があるのかもしれません。
今回のノーベル平和賞は、そんな勇気をもらえる「みんなへの」受賞でした。