【九州北部豪雨】 現地レポート2 仮設住宅への支援

 

九州北部豪雨から、1ヶ月半が過ぎました。
PBVが支援活動に入っている福岡県東峰村では、応急仮設住宅の建設がほぼ完了し入居が始まっています。

 

被災された方に対する住環境整備に向けた、東峰村役場の動きは迅速でした。7月5日に発災してから、8日後には東峰村は福岡県に仮設住宅の建設を要請し、7月17日に着工しました。1ヶ月で仮設住宅が完成し、8月18日には入居者に鍵の引渡しが行われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮設団地は廃校になった小学校の校庭を利用して、木造建築で長屋風の家屋が17棟完成しました。これまでの被災地で仮設住宅の環境として、よく課題として挙げられてきた細かな箇所にも配慮がみられました。例えば、東北の仮設住宅では、結露によってカビ発生し健康被害も頻繁に話題にあがっていました。今回は、玄関の出入口に網戸が設置され、換気しやすい環境にしてありました。また、鉄の柱等がむき出しなっているプレハブ建てではなく、木造にすることで多少結露が緩和されます。孤立を予防するためには、日常の中でコミュニケーションが自然と生まれる場が必要です。気軽におしゃべりできる空間として、縁側も設けられていました。今後、集会所の建設も予定されています。この他にも、高齢者に向けては、滑りやすい階段には滑り止めの設置や移動しやすいように通路のアスファルト舗装、福祉型の希望世帯だけではなく段差に心配がある方などにはスロープを設置などの配慮もみられました。福岡県の材木を使用して地場産業に貢献しているのも良いですね。何より、木造の暖かみのある空間になっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

被災してから避難所での生活を経て、ただでさえストレスが多い被災者にとって、このような細かな配慮は、次の安定した生活をおくる上でとても重要です。東峰村の場合は、比較的小さな規模の仮設建設であったことが対応できる大きな要素ではありますが、村や県の職員のみなさんが他地域の災害から学び実践しようと取り組まれた結果でもあると感じました。東峰村は熊本地震の被災自治体との交流があり、福岡県も熊本に支援活動に関わったからか、これまでによく発生する仮設住宅の問題に対して、事前に配慮された作りになるように努められたのだと思います。
一方で、行政の制度的・予算的問題から対応が難しい課題もあります。
応急仮設住宅は、災害救助法に基づいて県が建設を行い、その管理は村が担います。住める家を失った人には、行政の方で家屋は準備されますが、その後の生活は入居者の負担で行います。しかし、今回の豪雨災害のように家屋の中まで雨水や土砂が流入する災害では、家財のほぼ全てを失ってしまいます。そのため、新しい生活を始めるにしても、電化製品から日用品まで全てをいちから揃える必要がでてきます。その負担は、重く被災者にのしかかります。これは災害救助法の適応範囲の課題ですが、被災地ではよく見受けられる問題の一つです。

 

PBVでは、東峰村役場と相談しながら対策に乗り出しました。まずは、8月頭に仮設住宅の入居予定者となる方達がいる避難所へ出向き、お話を伺うことから始めました。使えそうな生活備品がどのくらい残っているのか?地域の特性として、普段何が必要なのか?仮設住宅に入居するにあたって、生活備品の援助が必要なのか?などを伺っていきました。お話の中から、使える生活備品がほとんど無い世帯が多いことや車が流されて買出しに行けない方がいらっしゃることが分かってきました。また、地域の特性として福岡県内といってもお盆が過ぎると肌寒くなり、場所によっては零下となり暖房器具を使用していることなども教えてもらいました。

 

 

聞き取った内容から、支援する生活備品の選定を行いました。
備品の購入や手配は、福岡県や村役場はもちろん、地元のエフコープ生活協同組合をはじめとする団体・企業と調整を行いながら進めていきまいた。PBVでは、これまでに様々な災害支援現場で協力してきたパルシステム生活協同連合会から寄付金をお預かりして、炊飯器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジの電化製品5点と、その他台所用品を中心とした日用品を準備しました。購入先は、被災地域の事業者に協力していただきました。

 

 

 

 

 

 

事前に入居予定者に聞き取りを行えたおかげで、家族構成に合わせて提供品の色や子どもサイズの物などきめ細かい対応ができました。一世帯、一世帯内容物が少しずつ異なる台所用品は、ホームセンターGooday日田店に依頼したところ、社員総出で仕分けをお手伝いいただきました。また、搬入時には、北九州市立大学の学生ボランティアが大活躍しました。応急仮設住宅以外にも、公営住宅に入居された世帯やみなし仮設といわれる民間賃貸物件に入居された世帯にも同じ内容の備品を支援しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東峰村の仮設住宅に関しては、追加申込があった残り5世帯も9月中旬に家屋が完成予定で、そちらにも生活備品のサポートを行っていく予定です。また、東峰村と朝倉市では、仮設団地の憩いの場として集会所を設置する予定になっています。熊本地震の経験から、集会所が住民のみなさんにとって、より集いやすい場所となるよう、机、椅子、茶器類、テレビなどのコミュニティ形成に最低限必要な備品の手配も検討しています。

 

 

避難所生活が解消され、少しでも安心して過ごせる空間を提供したいと、県や村の職員さん、村民や支援者同士の協力があって、今回の仮設住宅への支援が行えました。仮設住宅は、あくまで期限付きの仮住まいですが、少しでも通常の生活に近くより快適な空間になるようPBVでもサポートしていきたいと思います。

 

改めて、今回の活動に協力していただいた皆さんと、寄付金をご提供いたただいたパルシステム生活協同連合会をはじめ、全国の支援者の皆さんに感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

 


 

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