雄勝で過ごしたお盆のこと。  ボランティアインタビュー No.9

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初盆を迎えるにあたり、8月13日~16日は石巻での通常のボランティア作業はお休みしましたが、漁業支援などを行う雄勝の方々から依頼を受けて、長期滞在メンバーの一部がイレギュラーでお手伝い。

4月からボランティアを続ける佐野和真くん(23)による、雄勝での4日間の日記をご紹介します。

 

 

▼8月13日 雄勝復興市

震災が起こってから初盆を迎える雄勝町。

ここも津波による壊滅的な被害を受けた地区で、炊き出しデリバリーや漁業支援などボランティアを行ってきた場所です。

お盆の間、通常のボランティア作業はお休みでしたが、雄勝町からお手伝いの依頼をいただき、長期滞在メンバーを中心に少数のグループでお手伝いに行ってきました。

この日は雄勝総合支所の駐車場で、「第三回雄勝復興市」が行われました。地元の商店の方々が出店し、お花、スイカ、

豆腐、そして雄勝でとれたワカメなどなど様々な販売ブースでにぎわいました。

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ピースボートでは、石巻川開き祭りでも販売した「雄勝石のアクセサリー」「オリジナルガラス玉」「木の屋の『希望の缶詰』」と、蒸し器を使って温めた 「肉まん・あんまん・ふかひれまん」の販売を行いました。震災以来、普段はなかなか地元の方とお会いすることのないこの雄勝で、販売を通して、多くの地元の方々と交流をすることができました。

またステージでは歌のライブなどあり、一番の注目は雄勝町伊達の黒船太鼓の演奏。威勢のいい掛け声とともにバチを振り上げる力強い姿とドンドンと轟く太鼓の音は、会場をグッと引きつけ、雄勝を復興させるという強い意思を表現しているようでした。

 

▼8月14日、15日 灯籠づくり

8月14日は雄勝灯籠流しの準備を行いました。被災した雄勝小学校一階の職員室だった部屋で、地元の方々と他団体の方々と一緒に手作業で灯籠作りを行いました。

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まず、30センチ程の長さの平らな板の両端に、工具を使って2カ所穴をあけます。そして、穴をあけた2枚の板を十字に重ねあわせ、釘を打って固定します。次に、細い竹の棒の先をカッターナイフでさらに細く削り、先端を板にあけた穴に打ち込み、固定します。最後に、フィルムを被せて、微調整をしたら完成です。

 

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この日は総勢約50名で600個を作りました。翌15日も引き続き、灯籠づくり。結果、1000個の灯篭が 無事に完成しました。

 

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片付けを終えた後、黒船太鼓の代表の方にお話をいただきました。

「いつもは地元のご夫妻を中心に、私たちでで約2,500個の灯篭作りをしていました。しかし、今回はみんなバラバラになってしまい、材料もいつもと違うモノで作るしかありません。流すのも、いつもは3隻ほどの船で沖に出て灯籠を流していたけれど、今年は船が流されてしまったので岸壁から流して、波で打ち上げられた灯籠をみんなで回収します。例年のようにはいかないけれど、中止にもしたくありませんでした。ボランティアの方と1,000個準備することができてよかったです。震災の影響で、参加できない雄勝の方もいらっしゃいますが、感謝していると思います。本当にありがとうございます。」

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「今年、参加できなかった雄勝の方」の中には、震災で犠牲になった方のことも含まれているのだと思います。信じられないと思いますが、このお話を聞いた直後、校舎の窓の外に山積みの瓦礫の中から、壊れたオルゴールが「リン」と小さな音を鳴らしました。

 

▼8月16日 雄勝灯籠流し

 

お盆最終日にあたる8月16日はいよいよ灯籠流し本番です。午後3時、雄勝小学校の校庭に集合。今回は、入江をはさんで両岸壁から灯篭を流す計画で、地元の雄勝硯協同組合の代表高橋さんと一緒に流す場所を確認しました。午後4時からは、地元のご住職による祈祷式が行われ、皆でお焼香をあげました。その後、車を使って灯籠を500個ずつ各ポイントに移動させました。

 

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休憩をとった後、午後6時30分にスタンバイ。あたりも暗くなり、地元の人も集まったところで、灯籠流しを始めました。ろうそくに火をつける地元の親子、火のついた灯籠を順番に海の方へ渡していくボランティア、渡ってきた灯籠を海へ流す地元の方々。地元の方とボランティアが協力して、鮮やかな灯籠を流しました。

 

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水面を静かに照らしながら、ゆらゆらと静かに流れていく灯籠。1つ1つの命と向き合う大切な時間となりました。

 

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1時間ほどかけて灯籠1000個 を流し終え、最後に地元の高橋さんが一回り大きな復興を願った灯籠を流しました。
1人ひとりが心を込めて準備し、関わらせていただいた「雄勝灯籠流し」。泥かきや清掃などの毎日から比べると、ちょっと変わったお手伝いでしたが、この4日間が地元の方々にとって、少しでも前を向いて歩いていけるきっかけになってくれればと強く思いました。

 

帰る頃にはあたりは真っ暗。灯篭流しのために設置された仮の街灯を見て、「雄勝に明かりが点いたぞー!」「あれ(震災)以来はじめてだぁ!」と地元のみなさんは拍手で喜んでました。

 

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佐野くんは、今年の3月埼玉大学を卒業したばかり。4月から就職の話もあったものの今年は石巻でのボランティアを選びました。長期で被災地での活動を続ける理由を尋ねると、

「いつでも就職できるわけじゃないですけど、ボランティアは今やらなきゃ後悔すると思って。これだけの震災が起こったのに、卒業したらそのまま就職して、という敷かれたレールを歩く気持ちにはなれませんでした。長く現場で活動する中で、いろいろな変化も目にしてきましたが、まだ知らないことも課題も山積みです。あえてレールを外れた人生、自分で納得できるまで、ここでの経験を積んでみようと思ってます。」

 

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佐野和真くん。クリーン作業を中心に、4月から長期で活動中。

 

photo: Kazuhiko Endo, Shoichi Suzuki