【ブログ】 PBVも参画!被災者支援の「漏れ・抜け・落ち・ムラ」を防ぐ、全国ネットワーク作りが進む

 

広域で災害対応を検討していこうと「行政機関と民間の連携」や「民間支援団体同士の連携」の機運が高まっています。全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)は、多くのセクターが集い、情報共有や連携した課題解決を実現するネットワークの場として期待を集めています。

 

 

1995年の阪神・淡路大震災では大勢のボランティアが被災地に関わり、後に「ボランティア元年」と呼ばれました。個々のボランティア達が、主体的に自分の出来る支援活動を実践した一方で、大勢のボランティアを受け止める社会的な仕組みはありませんでした。その後、中越地震などを経て、ボランティアの受け皿を作ろうと地域の社会福祉協議会(以下、社協)が災害ボランティアセンターを開設するようになりました。並行して、社会貢献活動に取り組む組織が法人格を得られるようにNPOに関する法整備が進められました。現在では、非営利団体が災害に限らずさまざまな分野で活躍しています。

 

未曾有の被害をもたらした東日本大震災では、沿岸地域を中心に災害対応の要となる地方自治体や地域の社協も被災してしまいました。これまでに非営利セクターが徐々に育ってきたことによって、多種多様な支援団体が被災者への支援活動に乗り出しました。また、企業も資金提供のみならず社員ボランティアの派遣や本業を活かした支援活動を展開しました。

 

多様な支援主体の登場によって被災者への支援活動の規模や幅が広がり、支援団体と行政機関との連携や支援団体間の連絡・調整など組織や分野を超えた協働の重要性が増してきました。幾つかの地域では、行政や自衛隊、社協、支援団体などの関係組織が集い連絡・調整を積み重ねたケースはあったものの、限定的でした。

 

全国域や都道府県域で、どのくらい団体がどのような支援を展開しているのかを把握するのは非常に難しいことも浮き彫りになりました。ある地域に支援の手が集中してしまったり、ある特徴を持った支援対象者(例えば、障がい者や乳幼児などの要配慮者)に支援が行き届かない地域が出てきました。全国的な調整や連携機能が弱かったために、広域で見た場合に、支援の「むら」や「もれ」が発生してしまいました。現場で活動を展開している支援団体にとっては、目の前の支援活動の注力するため、広域で支援全体を考える視点をもつことには限界もあります。

 

次の広域災害に備えるためには、このような課題を乗り越えていく必要ができてきました。

 

2013年に、多様な担い手と共に全国ネットワークを築くために「JVOAD準備会」が発足し、NPOや社協、内閣府、経済界との話し合いが積み重ねられてきました。2016年、災害時の被災者支援活動が効果的に行われるよう、地域、分野、セクターを超えた関係者同士の「連携の促進」および「支援環境の整備」を図ることを目的とした、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)がついに設立されることになります。

 

JVOADが、被災地で県域の情報把握とコーディネーションを担ったのが熊本地震でした。県域での課題を共有するため「熊本県」や「熊本県社協」、NPOの中間支援組織である「NPOくまもと」などとの会議を定期的に開催すると共に、現地で支援を実施する団体に呼びかけNPO間の連絡会議「熊本地震火の国会議」を行いました。これらの連絡会議では、NPOやNGOだけでなく、行政、社協、企業、学識者などと連携し、支援物資の調整や避難所の環境調査、支援者の不足している地域への団体のマッチングなどが行われました。このような実践を行いながら、首都直下地震や南海トラフ地震などの広域災害に備え、より相互の理解を深めようと5月には全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)主催の「第2回災害時の連携を考える全国フォーラム」が開催され、支援団体を始め、行政や企業、大学などから約500名の関係者が全国各地から一堂に会しました。

 
災害対応は平時からの取り組みの延長線上にあります。災害発生後からの連携では、対応が遅れてしまうことがあります。各セクターがお互いの得意分野や実践方法、考え方や文化などを日常から理解しておく必要があります。フォーラムでは、シンポジウムやテーマ毎の分科会で、問題意識の共有や具体的な方法をセクターを超えて検討しました。

 

 

 

PBVとしても、このような取り組みに積極的に関わりながら、被災者や被災地にとって支援活動が最大限活用されるように努めていきたいと考えています。