【防災・減災教育】 2016年度のご報告

 

「人こそが人を支援できる」をテーマに活動するPBVでは、災害時の対応や防災・減災に取り組む人材育成を続けてきました。2011年の11月に、宮城県石巻市で「災害ボランティア・リーダートレーニング」を始めたのがきっかけで、いまでは研修・教育メニューも増え、これまでに1万人を越える全国の皆さんに受講していただくことができました。

新しい年度に入ったこともあり、2016年度のハイライトをご報告させていただきます。

 

わが家の災害対応ワークショップ

各家庭に合わせた災害への備えを知るワークショップです。専用のワークブック(小冊子)を使いながら、災害時の困りごとや具体的な対策を検討する90分間の内容。2016年度は、全国各地で35回実施、900名以上の皆さんに受講していただきました。

2016年度には英語版が完成し、大使館の職員向けなどにも実施することができました。特に来日してまだ日が浅い外国人からは、「日本で初めて地震を経験した」「備えを知りたいけど、英語で学べる防災セミナーが見つからない」などの不安や困難の声をたくさん耳にします。2017年度にはもう少し実施回数を増やしていきたいと考えています。

 

災害ボランティア入門

災害に関する基本的な知識と被災地でのボランティア活動の種類や心構えを学ぶ研修です。2016年度は東京・大阪・名古屋で開催したほか、全国各地の社会福祉協議会が実施する「災害ボランティア養成講座」のひとつとして講師派遣の依頼をたくさんいただきました。33回実施、受講者数は660名以上でした。

先月、この研修の内容をまとめたブックレットが刊行され、今後は教材などにも活用していきたいと思っています。また、遠方にお住まいの皆さんにはパソコンで受講できる「災害ボランティア入門(Web検定)」がありますが、こちらもブックレット(公式テキスト)の刊行に伴い、問題や解説部分をリニューアルしました。

 

災害ボランティア・リーダートレーニング

半年以上に渡った熊本地震の支援活動にも、2011年以降のリーダートレーニング受講者が何人も駆けつけてくれました。PBVの活動だけでなく、他団体で活躍した受講者もたくさん目にしました。リーダートレーニングは「現場に行く」ことが前提のカリキュラムなので、とても頼もしく感じています。

受講者の対象をさらに広げるため、2016年度は公益財団法人日本財団の主催で、PBVも加盟する「震災がつなぐ全国ネットワーク」とも協力しながら研修を進めました。講師を担うスタッフも熊本地震の現場対応を優先させたこともあり、東京での開催が中心になってしまいましたが、2017年度は久しぶりに大阪でも開催したいと思っています。

 

●災害ボランティアセンター運営者向けの研修

災害ボランティアの募集・受付は、被災地の社会福祉協議会が運営を担うことが一般的です。いざという時のために全国の各市区町村の社会福祉協議会が、職員や登録ボランティアを対象に災害ボランティアセンターを設置するためのシュミレーション研修や訓練をしています。

PBVは、各地の被災地で被災者への直接的な支援とともに、災害ボランティアセンターの運営サポートを行ってきたこともあり、平時のシュミレーション研修や訓練のお手伝いをお願いされることが増えてきました。複数回・複数年度に渡る研修の依頼もあるので、2017年度には新しい研修メニューとなるカードゲームの開発も進めています。
※カードゲームの詳細は、また後日お知らせ予定です。

 

支援を活かす地域力

2014年11月から、主に町内会や自主防災組織などから依頼されたときには、冊子『石巻市民から学ぶ!! 支援を活かす地域力』を使ったワークショップを行っています。災害ボランティアなどの“支援者”の立場ではなく、被災しながらも地域の復旧・復興のために活動する地域住民目線で必要な視点や知識を身に付けることが目的です。「受援力」と呼ばれることもありますね。

冊子は、東日本大震災における石巻市民の経験を聞き取りまとめたものですが、2017年度は熊本地震での事例も聞きたいという希望が多かったように思います。希望に合わせて内容をアレンジし、東京、埼玉、香川などで6回実施、250名以上の方に受講していただきました。

 

講演・報告会など

最も多かったのは、「熊本の現場の話を聞きたい」という講演の依頼でした。そのほかスタッフの海外渡航に合わせて、米国やメキシコ、香港などでも講演する機会がありましたが、海外では6年経った東北の復興の様子、福島の現状やエネルギー問題などが関心が高かったように思います。「持続可能な開発目標(SDGs)」が発効されたことも影響しています。

パネルディスカッションへの登壇、海外やピースボートクルーズ洋上での講演、大学の授業、報告会の実施など、実施34回で2,500人以上にメッセージを届けました。

 

●まとめ

2016年度の防災・減災教育プログラムは、計126回の開催、受講者の合計は約2,500人でした。
※講演・報告会などの来場者は、シンポジウムでの事例提供や短いスピーチなどもあるので研修・教育メニューの「これまでに1万人以上」という実績数とは別でカウントしています。

実に3日に1回以上という計算ですが、土日に依頼をいただくことが多いので、実際は同じ日に複数の会場で同時に実施していることも多々あります。10人程度の東京事務局のスタッフが持ち回りで担当していますが、新しい事例や内容の研修希望をいただくことも多いので、きちんとそれに応えられるようスタッフ各自のレベルアップにも努めたいと思っています。引き続き、よろしくお願いします!

 

☆この3月に、PBVのホームページをリニューアルしました。企業・団体の皆様から研修や講師派遣をご検討いただきやすいよう専用ページも開設しました。ご関心のある方は、ぜひご覧ください。
http://pbv.or.jp/lecture_seminar