お昼前、ピースボートの石巻本部「廣山」。
炊き出しデリバリーのボランティアたちが、今日もせっせと車に積み込んでいます。
けれど、今日の炊き出しメニューは、いつもとちょっと違います。
とにかく食料が不足していた緊急の段階を越え、変わりつつある炊き出し事情を紹介します。
この日、向かったのは、石巻市立広渕小学校。
多くは仮設住宅などへ移ったものの、いまも20名以上の方が暮らす避難所のひとつです。
到着したボランティアたちは、泊り込みで避難所運営に当たる方々と合流、グラウンド脇の一角をお借りして、何やら準備を進めています。
実はこれ、調理が完成された食事を配るのではなく、食材や調理道具を持ち込んで行う新しい炊き出しのスタイル。現地での炊き出しニーズが徐々に変化する中、被災者の方々が自分の食べたいものを自分で作る、という自主性を盛り込んでみては?というアイデアから生まれました。
自分たちで調理するといっても、いきなり食材の詰まった段ボールだけ届けて、「じゃあ後は皆さんでよろしく!」とはいかないので、栄養バランスなども考え、調理しやすい状態にした食材と、調理器具などを一緒に持ち込むのがポイントです。
炭を焚き、準備を始めてると、早速お一人やってきました。
煙と臭いに誘われ、あれよあれよ、と次々に人が集まってきます。
「まだ、焼けてないですよ!もうちょっと待って下さい。。。」
「わし、そのソーセージ、キープで。。。」
なんて会話も飛び交います(笑)
配られるお弁当生活では、不足気味だった野菜もたっぷり。
大量に持ってきた食材もみるみる減っていきます。
焼けども焼けども、鉄板の上はすぐに空っぽになってしまいます。
皆さん、食べすぎにもご注意を!
地元の方々と一緒につくる炊き出し。
何か月も避難所で暮らし続ける方々の悩みは、ボランティアがそのすべて受け止められるわけではありませんが、こうやって自然と会話が生まれてくることで、少しずつ距離が近づきます。
このスタイルを受け入れていただくには、避難所の方々ともよく相談しながら、人数や生活環境の情報収集、調理器具の有無などを事前調査した上で進めていくことがポイント。こまめにコミュニケーションをとりながら、現在では約10ヶ所で展開。
ボランティアも試行錯誤を繰り返しながらの活動ですが、 それでも温かく迎えてくれる避難所の方々には、本当に感謝です。
普段の炊き出しやほかの作業にも、ちょっとしたひと工夫加えることで、地元の方々同士の新しいつながりを生んでいくきっかけにもなればと思います。
All Photo by kazushi kataoka