墓地の清掃ボランティア お彼岸に向けて

ここ最近、作業が増えてきたのがお墓の清掃。「なんとかお彼岸までに」という気持ちに応えるため、短期ボランティアを中心に、毎日多くの人手を割いてお墓清掃に当たっています。今日は、その中から、門脇町にある西光寺での活動をレポートします。

 

震災から約5ヵ月後、作業前の状態がこちら。


津波で流され、墓地にも入り込んでいた車などは取り除かれたものの、ヘドロや倒壊した家屋の破片などに埋もれ、どこからどこまでが墓地なのかも識別できない状態です。

西光寺から清掃の依頼を受けて、初めて作業に入ったのが8月上旬。1日約50名単位、お盆以降は毎日100名近い人数で活動を続けています。

 

清掃といっても、側溝清掃と同じ意識で取り組むわけにはいきません。むやみに墓石を動かしたりもできないので、体力的にもキツイ作業ですが慎重に進める必要があります。作業の指揮を取るリーダーの一條健司からも、「単なる清掃活動とは、意識を切り替えて清掃に当たって下さい」と説明を入れてからの作業スタートです。

この日は、ピースボートの短期ボランティアに加え、8月に入って継続的にコラボレートしている三菱商事CSRの企業ボランティア、NGO「ハビタットフォーヒューマニティ」(以下、ハビタット)の皆さんも参加。
足元に注意しながら一斉に作業場へと入っていきます。

まずは、道づくり。
本来、通路であったはずの場所を探し出し、スコップで人が通れるようにするところから。


炎天下、こまめに休憩を挟みながら、黙々と地道な作業を続けます。

「慎重に」という言葉を頭に置きながらの作業、石巻に来て初日、2日目の短期ボランティアには、判断し切れない場面もあります。そんな時は「報連相=報告・連絡・相談」。ボランティアが組織的に動くために、大事なことです。


作業を進めると、徐々に、元々のお墓の状態や位置が分かってきます。


3週間も続けると、目にするのは清掃による変化だけではありません。
翌朝、同じ場所に戻ってみると、すでに・・・。


掘り出した泥や木材は土嚢袋に入れ、皆でバケツリレー。これも、たくさんの人手がないとできません。三菱商事、ハビタット、ピースボート-それぞれが力を合わせます。

手前から土嚢袋、木材、鉄類。
清掃によって回収したものはちゃんと分類しておくことも大事です。

 

 

午前の作業を終え、お隣の西光寺の境内へ。といっても、参拝をしに行っているわけではなく…

 

みんなでお昼ご飯。実は、住職の樋口さんのご配慮により、いつもこのように昼食はお寺の中で食べることができているんです。


直射日光を浴び続けたボランティアさんたちにとってはとても嬉しいこと。冷えたゼリーや栄養ドリンクなどの差し入れも頂きました。 本当にありがとうございます!

 

樋口住職(左)と、リーダーの一条健司

 

最後に、西光寺の樋口住職にお話をお伺いしました。

「以前に全国から青年会の応援もあって境内だけはなんとか清掃できたんです。その後、100人もいれば3日ぐらいでお墓もなんとかなるだろう、と甘く見ていました。しかし、1日やってみてその途方もない作業量に行き詰まり、むしろちゃんと年を越せるのだろうか、と心配になったほどです」と樋口住職。

「有難いタイミングで、ピースボートや多くのボランティア団体と知り合うことができました。何よりビックリしたのは、そのマンパワーと組織力の凄さ。本当に助かっています!」とお言葉をいただきました。

 

 

お彼岸までに、と始めた西光寺の清掃活動。完了時期は、だいぶ前倒しできそうです。
1日も早く、お墓参りができるよう、明日も頑張ります!

 

photo:Kazushi Kataoka