今、世界とつながる意味 – 中東、アフリカ、中南米から大使が12人石巻を訪問

4月11日月曜日、イラク、エジプト、モロッコ、ジンバブエ、サウジアラビア、パレスチナ大使が宮城県石巻市を公式訪問しました。

パレスチナは在日アラブ外交使節団、ジンバブエは在日アフリカ外交使節団の代表的立場で石巻を訪問した形です。

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今回訪問したのは、東北関東大震災に対して、多大な支援をしている国ばかりです。大使の方々は本国への現状報告のため、また今後の支援策を考える上でも、 現地訪問を希望していました。そこで今回、ピースボートが現地視察および被災者支援のための訪問をコーディネートしました。

石巻市の現状とピースボートの支援活動の現場を視察した大使たちは、石巻市長を訪れました。

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市長は大使たちを歓迎し、国際的な協力の意義について語りました。

「チリでもスマトラでも非常に大きな地震と津波があり、多くの方が被災しました。今度は日本です。私はもともとエンジニアです。今こそ、自然災害から人間 社会への被害をいかに最小限に食い止めるか、という技術研究を国際的に協力して行っていくべきだと考えています」

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イラク大使はこう話しました。
「私たちも今まさに紛争の中にいます。多くのイラクの人々が傷ついています。
だからこそ皆さんの痛みがわかります。日本のこれまでの支援に応えるためにも皆さんを全力で応援していきたいです」

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パレスチナ大使の言葉も印象的です。
「私たちの多くの同胞は60年以上、難民として暮らしてきました。被災者の皆さんの状況に強く共感します。ともに前向きに頑張っていきましょう」

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また、エジプト大使はこう語りました。
「エジプトと日本は長年、親密な友好関係にあります。日本の皆さんからエジプトは何度も支援を受けてきました。今は私たちがお返しする番です。
私たちは日本が何度も想像を絶する困難から立ち上がってきたことを知っています。必ず皆さんは速やかな復興を遂げられると信じています」

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中東・アフリカ各国の大使が石巻を訪れた翌日、4月12日火曜日には、ニカラグア、ベネズエラ、エクアドル、キューバ、パラグアイ、コスタリカの大使が石巻を訪れ、ピースボートが支援活動を行う湊小学校ほか、現地を訪問しました。

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避難所となっている湊小学校で、コスタリカ大使が言いました。
「日本のために祈っています。私たちは皆、ひとつの地球に住む家族です」。
大使は持参した支援物資を届けると、日本語で俳句を詠みました。
「遠くより 願う笑顔と 日本晴れ」
「大好きな 日本を応援してるよ コスタリカ」

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エクアドル大使は大量のバナナ、ベネズエラ大使は数百人分の水とチョコレートを直接手渡ししました。大使たちに対する「ありがとう」を代表して伝えた湊小学校6年生の女の子は、想いを伝えるうちにこれまでの1ヶ月間を思いだし、泣き出してしまいました。大使たち一人ひとりが彼女の言葉を真剣に受け止め、順 に抱きしめることで訪問が終わりました。

「外国から大使たちが応援にきてくれて、どう?」と聞くと、「うん、けっこうよかった!」と笑顔を見せてくれた男の子
「外国から大使たちが応援にきてくれて、どう?」と聞くと
「うん、けっこうよかった!!」と笑顔を見せてくれた男の子

湊小学校をあとにしたラテンアメリカ大使一行は、石巻市中央町を訪れました。
ビルの泥かきだしと瓦礫撤去を行っていたチームに声をかけ、リーダーの中島さんに話を聞きました。

「波はどこまで届いたのか」「この町がきれいになったら、人々は何をしようとしているのか?」という大使たちの質問に、中島さんは答えました。

「復興後のことを決めるのは地元の人々です。たとえ清掃した後、この建物が使われなくなったとしても、僕たちはかまいません。震災前と同じ食堂を再開するのか、別の用途を見つけるのか、ここにいた人に選択肢を残したいと思って活動しています」

市長も訪問しました
市長も訪問しました

ラテンアメリカ各国の大使たちが最後に訪れたのは女川町。ここで大使たちが関心を持ったのは、案内人の佐藤さんの言葉でした。

佐藤さんは、チリ大地震のときに中学生でした。当時、チリ大地震の影響で湾から200メートルの場所にある神社まで津波が訪れたのだそうです。それをみた 中学生の佐藤さんは「津波とはこういうものなのか」と胸に刻んでいましたが、今回の津波はそれを遙かに超える規模で女川を襲いました。

「まさかここまでとは思っていなかった。ここに住んできた誰もの予想をはるかに上回る津波と、そのあとに残された被害。自分の家も飲み込まれ、妻もまだ行方不明です」

そう語った佐藤さんの一言に、ベネズエラ大使は強く心を動かされました。
今後のベネズエラからの継続支援として、同国の音楽の力で、女川や石巻の人々を勇気づけることを真剣に模索しはじめています。

被災者と日本語で言葉を交わすベネズエラ大使
被災者と日本語で言葉を交わすベネズエラ大使

ピースボート共同代表の吉岡達也は、いま世界とつながる意味について、こう話しています。

「メディアには頻繁に「東北がんばろう」「日本がんばろう」のメッセージが登場します。僕もこれに心から共感しています。それと同時に、「世界の人々が日本を応援している」ことも忘れてはならないですね。

同盟国の米国はもちろん、中国、韓国、ロシアなど、日本の隣国も被災者の方々の救援と復興を積極的に支援しています。私たちは、もっと世界に対して、今、被災地の現状と海外からの支援に対する感謝の気持ちを伝えていきたいと思います。

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ピースボートでは、被災地訪問を希望する大使館の方々の希望に応えるほか、日本語ができる人もそうでない人も、国際ボランティアの受け入れを積極的に行っています。こうした機会だからこそ、世界とつながり、希望を持って前に進む必要があると考えているからです。

たとえば1999年、トルコで大地震が起こったとき、対立関係にあったギリシャが国を挙げた支援を行って、その後、外交関係が大きく好転したという例もあ ります。自然災害に対して国境を越えて人々が協力し合うことで国際的な平和と友好が促進されることもあるのです。

数え切れない方々が犠牲となった今回の大震災。その犠牲を無駄にしないため、今後、私たちは全力で、このような大災害をいかに未然に防ぐか、いかに犠牲が 少なくてすむような社会を作らなければならないと思います。そして同時に、国際的な支援に感謝し、世界中の人々と平和で友好的な関係を結んでいく努力をし なければ、と思います。」

来週横浜港を出港するピースボート第73回地球一周の船旅では、訪れる世界19の寄港地で震災の状況を伝える写真展を行います。
20枚のパネルを携えて行う写真展のタイトルは、

Standing Together, Standing Stronger: Cooperation beyond borders and a thank you to the world – 2011 East Japan Earthquake & Tsunami
(和訳:「ともに歩むことで、より強くなる。国境を越える協力と世界への感謝 – 2011年東日本大震災」)

です。

写真展の内容や、寄港地の人々の反応も、今後このブログでも紹介していきます。

そして今日は、コロンビア、エルサルバドルの大使がピースボートのコーディネートで石巻を訪問する予定です。

ボランティアも日々、精一杯できる活動を続けています。
Photo: Shunya Mizumoto, Masumi Matsumura, Lee