震災後、初めてお店が再開!!守谷フルーツさん

震災から1カ月と2日たった4月13日。石巻市市役所大通り商店街に、復興に向けた希望の光が射しました。創業80年の老舗青果店、守谷フルーツが営業を再開したのです。震災後、この商店街では初の店舗開店でした。

商品の販売の他にサンマ1000匹やアジ、サバ、イカの炭火焼が無料で振る舞われ、地元の人たちにも活気が戻っていました。買い物をしに来たお客さん同士 が震災後、初めてお互いの無事を確認し抱き合うシーンもありました。毎日地道に泥かきと清掃をしていたボランティアにとっても、励みになる1日でした。

▼守谷フルーツ開店の様子<映像>
http://www.ustream.tv/recorded/13975805

※上記リンクから、岩上安身さんのUstreamチャンネルにて現地の動画をご覧いただけます。

「復興なんて無理だ」「まだまだ遠い未来の話だ」そう肩を落とす方が多い中、「店がひとつもない中で、1店舗でもはじめたら皆の励みになる。一日も早く営業を再開したい」そう語る店主さんに出会い、強く共感した石巻ボランティアのメンバー。

相談の末、なんとか「震災後1カ月」のこのタイミングで営業再開にこぎつけるべく、3班15人のボランティアメンバーで毎日通い、数日間にわたる泥出しと、そのあとの丁寧な清掃を行いました。

「ここは津波でひっちゃかめっちゃかでした。なかなか復興できないと思っていたけれど、ボランティアの人たちが頑張ってくれる背中に押されてね。みんなが片づけをする横で、仕入れの電話をしていたんですよ。とにかく、一日も早い再開をめざしました」とご主人。

隣町女川町に住む従業員の親戚から、奇跡的に被害を受けなかった冷凍庫の在庫サンマ1000匹、アジ500匹、イカ300杯の提供を受け、店頭で魚介類の 炊き出しを行いつつ、チンドン屋も宣伝しながらの営業再開。初日から、通常の8割近い商品を並べることができました。

バナナ、デコポン、グレープフルーツ、しいたけ、卵に豆腐…。仕入れることができるだけ仕入れました。しかし、店舗奥にはまだまだ泥や瓦礫が残っていま す。お店が完全再開したわけではありませんが、今回はできるところだけでも掃除して、一日も早いオープンを目指すことに意味がありました。

集まってくる方々がつくる長蛇の列。待ち時間の話もはずみます。

「魚が食べられるなんて思わなかった」
「うんめえなあ~」
「活気が戻って嬉しい。励まされます」

お金と商品のやりとりだけでは済まされない、気持ちの交換がありました。

朝から開店準備に立ち会い、一日中、店頭で魚やイカを焼いていたボランティアチームのメンバーはこう語りました。

「開店当日に立ち会うことができて光栄でした。お店に来た人はみんな笑顔で、再会を喜んでいました。震災以来初めて会って、感動して抱き合う同級生もいて、感動しました。
ピースボート第2陣のボランティアの方々がおおかた片づけてくれていたのを引き継いだからできたことです。自分たちの作業が復興に少しでもお役に立てたことを実感でき、本当に嬉しく思います」

震災後7日目から現地入りしているスタッフ、上野祥法も最高の笑顔です。

「これが人の暮らしです。これが生活です。被災後初めてお互いの無事を確認して、喜びあう人。手を取り合う人。思わず抱き合う同級生。守谷フルーツの開店が、地域の復興の大きな一歩になっていました。
お金と商品のやりとりは世界中どこの町でも当たり前に見ることができる風景です。それがこの1カ月間、この町にはありませんでした。これまで1カ月、作業 を続けても続けても先が見えないことが多く、希望と絶望のバランスでいえば絶望を感じる機会が多かったようにも思います。
今日、この石巻は必ず復興するという希望を確信しました」

先週末も、新しく200人のボランティアが現地に入りました。

現地では、石巻を拠点に他の被災地への支援活動も展開することを視野に入れ始めています。ボランティアにできることは、まだまだたくさんあるのです。

Photos: Yoshinori Ueno