2014年4月から新しく始めた防災・減災教育プログラム「わが家の災害対応ワークショップ」。この1年半ほどで、50件ほどの開催依頼があり、総受講者数は1,800人を越えました。特にこの半年は、東日本大震災で被災の大きかった地域の防災・減災に役立ててもらおうと、東北三県で集中的に実施してきました。
「わが家の災害対応ワークショップ」は、テキスト(ワークブック)を使った90分間の参加型講習。各家庭の防災に関する情報やグッズは様々な機関からも提供されていますが、一人暮らしやマンション生活などに特有の悩みについては網羅されていなかったり、防災マップやハザードマップの見方が分からなかったりと、十分にそれらの情報を活用できていない人もいらっしゃるのではないでしょうか?
ワークショップは、そういった個々の事情にも照らし合わせながら、災害が発生したときの自分の行動をイメージし、最終的には災害用の備蓄や家具の転倒防止、避難所の場所など、具体的に「わが家」で役に立つ災害対応や備えを考える構成になっています。実際にシートに記入したり、グループで話し合ったり、クイズがあったりと楽しく学べるように工夫して作りました。
東北でこのワークショップを提案するに当たり、特に被害の大きかった沿岸部などからは「まだ目の前の復興に手一杯で、防災や減災といった将来のことを考える余裕がない」という意見もいただきました。ずっと石巻や女川で活動する私たちにとっても、その気持ちはよく理解できるものです。
ただ、それでも次の災害の発生が復興が終わるまで待ってくれるとは限りません。少しでも受講希望者がいるのであればと、東北で活動する方々とお会いするときに少しずつ紹介するようにしていました。特に3月に仙台で行った「市民防災世界会議」ではたくさんの出会いに恵まれ、その後の6月、7月とワークショップを開催する流れができました。
仙台の国連防災世界会議でも、パブリック・フォーラムの一つとしてワークショップを実施。
仙台のお隣、多賀城市。2年前には「減災都市宣言」、今年はUNISDR(国連国際防災戦略事務局)の世界防災キャンペーン「災害に強い都市(レジリエント・シティ)の構築」にも参加。その過程でつながりが生まれました。
東北学院大学災害ボランティアステーションとの共催。災害ボランティアではたくさんの活動経験がある学生さんたちですが、防災・減災の視点から学ぶことも多かったようです。
岩手県大船渡市の津波伝承館との共催。4年前の経験も共有していただき、こちらが学ぶこともたくさんありました。「お互いに学べる」のがワークショップの良いところですね。
福島県教育庁の県中地域主催の防災イベントで実施。会場の郡山市はカカシも有名ということで、郡山駅にはこんなカカシまで。せっかく色々な場所を巡るので、その地域の見所なども楽しむようにしています。
「ピースボートセンターいしのまき」では、学校や団体からの視察の受け入れ調整も行なっていますが、
東北の被害と現状を見て、聞いて、歩いた後にワークショップの受講を提案しています。
写真でご紹介以外にも、たくさんの地域で開催させていただきました。このワークショップは「わが家の」と命名しているぐらいなので、「一軒家じゃなくてマンション暮らしだから…」や「ペットを飼っているんだけど…」など、受講者側からある種わがままなぐらいの質問や意見をもらいながら進めていくことで、より具体的な行動につながるんだろうと思っています。
中学生向けであれば使用する漢字の修正をしたり、マンションの住民向けであれば各家庭の備蓄とマンション全体の備蓄の考え方をお伝えしたりと、毎回その地域や属性に合わせて内容を少しアレンジするのですが、このひと手間も防災・減災を「自分ごと」として考えてもらう工夫だと感じています。
もっと全国各地でワークショップを実施できるよう、これからも検討・改善を重ねていきたいと思います。
●わが家の災害対応ワークショップの詳細・お問い合わせは コチラ
※「わが家の災害対応ワークショップ」の東北三県での開催は、AmeriCaresの助成協力により実施しています。