今春、3月21日に新女川駅が開業した宮城県女川町。震災後不通となっていた石巻線が開通し、石巻から電車で30分ほどで行けるようになりました。石巻市に隣接する女川町は、人口1万人ほどの港町。東日本大震災では、高いところで約15メートルもの津波が襲来し、甚大な被害を受けた町の一つです。
PBVも、震災後に仮設住宅への生活必需品提供や仮設商店街の整備、情報発信などを行ってきた繋がりの深い地域です。
女川町は、3月に行われる「復幸祭」や、9月の「おながわ秋刀魚収穫祭」、若者たちが中心となって震災後に始まった野外音楽イベント「我歴STOCK」など、年間を通して様々な催しが行われます。海の豊かさを感じ取れる昔ながらのお祭や震災後に生まれた新しいイベントといった、女川町の人達が楽しめ、そして県外からも集えるような独自の取り組みに力を入れています。
それでも、新しく開業した女川駅周辺は街づくりの真っ最中のため、電車で女川町を訪れた方々が立ち寄る場所が少ないのが現状です。県外から女川駅に降り立った方達が、広がる風景を見て少し戸惑ってしまう場面も見受けられました。
「今は何も無いように見える場所」には、実は多くのストーリーが詰まっています。実際にまちを歩きながら、そのストーリーを感じ取れるコンテンツとして「映像で女川を体感するまち歩き ~女川の記憶と今。そして未来~」の運用が始まりました。このコンテンツは宮城県と女川町の協力のもと、女川町観光協会とPBVとの共同プロジェクトとして実現しました。
女川駅前は、「何も無い場所」ではなく今年の12月にはプロムナードが造られ女川駅前商店街がオープンする予定です。まさに現在進行中の街づくりが行われている場所。そして、震災前にも人の営みがあった場所です。
女川駅を訪れた方に、女川の過去・現在・そして未来を想像してもらえるように町内5箇所にポスターを設置し、そのポスターにスマートフォンをかざすと映像が見れるようになっています。刻一刻と変化する女川の今を実際に歩きながら、これからの町を想像してもらう、そんなまち歩きのプログラムになっています。
映像には、女川の震災経験やその後の過程、震災前後で見られる魅力、そして震災後に町の未来のために前に進んでいる人たちを切り取った写真が集められています。
映像に使われている写真からは、女川町を想い、見つめ続けてきた人たちが切り取る町並みや風景、あるいは祭りの様子から、女川らしさが感じられます。
さらに、そんな写真に写っている人たちを知ることも魅力のひとつ。
復興や、街づくりは女川らしさを持ち続けながらも新たな女川として進化していくこと。
「女川を今より素敵で、訪れたくなる町にする!」
実際にまちを歩いてお店や仮設商店街で女川に住む人に会った時に、そんな彼らの想いが伝わってくるかもしれません。
それらの写真は女川町役場、女川町出身の方からご提供を頂きました。
みんなさん口を揃えて、「女川のためなら協力するよ」と言いって頂けました。しかし、津波によって町の中心部のほとんどが流されたため、写真を持っている方は少数でした。そのため、人伝えに写真を持っている人を探し出して、提供の依頼を地道にしていきました。
最終的に、この街歩きのプログラムを開始できたのは、女川町出身・在住の方で写真データをお持ちの方がいたこと、女川町出身で宮城県内に住んでいる方の協力が得られたこと、そして女川町の全面的な協力を得られたおかげでした。
仙台から石巻直通の仙石線も開通しさらにアクセスし易くなった女川駅に、ぜひ足を運んでみてください。
■女川町までの交通アクセス
http://www.town.onagawa.miyagi.jp/03_05_01.html
■『女川町が好きになる本。女川町ガイドブック』
http://www.onagawa.org/2014guide.pdf
■女川町イベント情報
http://www.town.onagawa.miyagi.jp/03_00_04.html