PBVでは8月20に発生した広島土砂災害の被災者支援として、「安佐南区災害ボランティアセンター(以下、災害VC)の運営支援」と「被災した住民のニーズ把握と支援を繋ぐ」活動を実施しました。約2ヶ月に渡るPBVとしての活動は10月30日は終了。今回は、安佐南区災害VCの活動をご報告します。
●被害状況
今回の土砂災害では、広島市の安佐南区、安佐北区を中心に8月20日午前3時20分から40分にかけて、局地的な短時間大雨によって170カ所にものぼる土砂崩れが発生しました。行方不明者の捜索は約1ヶ月間に及び、死者は74名、重軽傷者は44名に上りました。133軒が全壊したのをはじめ330棟の家屋が損壊し、4,100棟以上が浸水被害を受けました。
●現地の状況
大規模な被害を受けた広島市安佐南区、安佐北区では8月22日よりそれぞれに災害VCが設置され、一日500名を超えるボランティが日々活動を行なっていました。しかし災害発生直後は被害状況の把握が困難なことや、想定を上回る数のボランティアの来訪により災害VCの運営は困惑している状況でした。PBVでは支援の必要性を判断し、安佐南区災害VCの八木サテライト(被災した八木地区に設置した災害VCの拠点)の運営をサポートすることになりました。
●PBVとしての支援
今回の災害VCでは長期間運営に関われるスタッフの確保が難しく、日々現場で積み重ねる運営ノウハウが引き継がれにくいという課題を抱えていました。そういった面をサポートするため、PBVでは長期で関われるスタッフやボランティア計7名を派遣し活動を実施しました。この7名のなかにはPBVが全国各地で実施する「災害ボランティア・トレーニング」の受講者もいます。これまでに全国各地で開催したトレーニングには、2,000名を越える人に受講してもらっていますが、そした土台があったからこそできた現場の活動だったと思っています。
●外部からの支援
各家庭だけでは対応が難しい災害が発生すると、住民やボランティア希望者の窓口となる災害VCが設置されます。災害VCの運営は、各地域にある社会福祉法人である社会福祉協議会(以下社協)の職員が運営を担うことが多く、今回も安佐南区社協がその中心でした。被害が広域であったり大規模な際には、その運営支援を地域外・区外からの社協職員や「支援プロジェクト会議(以下:支援P)」メンバーも応援に駆けつける仕組みがあります。PBVのスタッフ・ボランティアも彼らと一緒の活動でしたが、中にはこの数年で行った国内災害支援現場で知り合った多くの方々もいました。
●ボランティアの活動
今回のボランティア活動の中心は、家屋内に入りこんだ土砂を取り除く作業。場所によっては住居の2階まで土砂が堆積してたりと、ボランティアの手作業で清掃できる場所とパワーショベルなどの重機による作業場所を棲み分ける必要がありました。また、長く降り続く雨にで、何度も作業を中断せざるをえなかったり、ボランティアやスタッフ自身の安全面も十分に考えながらの活動でした。この八木サテライトを通じて活動したボランティアは、多い日には1,200名を越えました。行った清掃作業は、のべ696ヶ所に上ります。
安佐南区災害VC・八木サテライトの機能は、主に以下の7つの作業に分かれ運営されていました。
1.ニーズ班
被災地域を周り被災者のニーズ(清掃依頼などの要望)を調査・受付
2.ボランティア受付
来訪したボランティアを受付し、ボランティア保険の加入登録など
3.マッチング班
ニーズを整理し、ニーズとボランティアをマッチング(組合わせ)し活動現場へ
4.送迎班
ボランティアの送り迎え業務
5.誘導班
サテライト内でのボランティアが乗車するバスの誘導
6.資機材班
現場に向かうボランティアに必要な資機材の提供・管理
7.救護班
ボランティア活動中に体調不良者が出た場合の対応
PBVは、この中の1.ニーズ班と、3.マッチング班の業務を担当しました。
また安佐南区では、災害VCとは別に、住民が主体的に直接ボランティアを募集・受入れ・清掃活動を行なっている場所も複数ありました。社協災害VCを通じたボランティア活動との重複や見落としを防ぐため、お互いの情報共有や役割分担を話し合う情報交換会も実施するようになりました。
●八木サテライトの閉鎖
9月30日までの1ヶ月で、安佐南区災害VCを通じて活動したボランティアはのべ2万5千人以上。うち9割近い2万2千人が、八木サテライトを通じたボランティアでした。10月に入り、安佐南区災害VCの体制が変わるタイミングで、北・南を統合した広島市の本部災害VCが活動を集約するようになり、八木サテライトも閉鎖しました。
●活動の振り返り
今回の災害では報道の大きさもあり、災害直後からたくさんの支援が全国各地から集まりました。しかし、それを受入れる被災地側の体制そのものを支える必要があった状況だったように思います。やはり災害発生直後の逼迫している状況では、新たな体制や仕組みを作る事はなかなか難しいものです。「自分の地域でも災害は起こるもの」と想定し、平時からの取り組んでおくことの必要性を改めて実感しました。
PBVでは平時からの備えとして個人や団体を対象に防災・減災のトレーニングをワークショップ形式で行なっています。詳細は下記のリンクから確認できます。平時の取組みとして是非参加してみてください。
◆個人の備え [ワークショップ:90分]
わが家の災害対応ワークショップ
◆災害ボランティアに参加する前に [座学+ワークショップ:3.5時間〜2日間]
災害ボランティア・トレーニング
◆地域のリーダーとして [冊子+ワークショップ:3.5時間]
石巻市民から学ぶ!!支援を活かす地域力
次回は、その後も約1ヶ月継続した「地域住民の声を聞き、必要となる支援へ繋ぐ」活動をレポートします。
この活動は、個人の皆様や、東京海上日動火災保険株式会社「Shere Happiness倶楽部」のご寄付と共に、「特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム」「公益財団法人 日本財団」からの助成にて実施しております。