4月24日、PBVも事務局の一員を務める「民間防災および被災地支援ネットワーク(以下、CVN)」が主催する『災害支援の手引き』発行記念イベントが開催されました。参加したのは、民間企業のCSR担当者ら約100名。会場は満員、盛況かつ具体的なヒントの詰まった内容でした。
CVNは、2012年10月、東日本大震災への社員派遣など復興支援に携わった企業、NPO、中間支援組織などを中心に立ち上がったネットワークで、現在までに100以上の企業・団体が定期会合に参加し、継続的な東北復興支援と来るべき災害に向けたネットワークづくりを行ってきました。(設立イベントの様子は コチラ)
東日本大震災では、多くの企業が前例も経験もない中、一から受け入れ先や支援先、支援方法を検討し実行してきました。発行した『災害支援の手引き』は、それらの実務を担っていたメンバーを中心に、民間企業11社・4団体の担当者がボランティアで執筆・編集にあたりました。「ヒト、モノ、カネ、情報」の分野別の事例、そして現場で困らないための事前準備や連携づくりのヒントがまとまっています。
●『災害支援の手引き』の詳細・購入は コチラ
編集委員が共通して感じていた東日本大震災における経験のひとつは、行政による災害対応だけでは担えない分野が数多くあるということ。そして、将来の大災害において、広く民間企業が得意分野で力を発揮できるプラットフォームが必要だという認識でした。今回のイベントは、『災害支援の手引き』を紹介するとともに、CVNプラットフォームへの参加を呼びかける目的でもありました。
イベント開会挨拶は、同じくCVN事務局の一員である日本財団の青柳光昌さんから。
パネルディスカッションのモデレーターを務めたPBV代表理事の山本隆。
発行記念イベントのゲストスピーチでは、復興庁統括官の岡本全勝氏による東日本大震災の経験や現状に関する基調講演、経団連の「防災に関する委員会」委員長で日本IBM会長の橋本孝之氏、日本財団会長の笹川陽平氏による被災地支援や今後の防災に向けた話題提供が行われました。
続いて登壇したのは、実際に手引き書の執筆・編集にあたった、パルシステム連合会の鈴江茂敏さん、サノフィ株式会社の本山聡平さん、オルビス株式会社の矢野薫さん、そしてPBV代表理事の山本隆の4名。手引き書のなかでは紹介し切れなかった各社にとってのメリットデメリット、これからの課題についてオープンにディスカッションしました。
イベントを通じて強く感じたのは、経験を伝承し、より良いものに見直していくための“仕掛け”が必要だということ。多くの企業が社員ボランティアを派遣した2011年は、日本の「企業ボランティア元年」「企業CSR元年」とも呼ばれています。ただ、人は時間とともに、その時のことを忘れていきます。経験していない世代も増えていきます。当然、担当部署からの人事異動もあります。
防災・減災を考える上で、被災体験の伝承が必要なのであれば、支援経験の伝承も必要です。それを、散在する情報としてではなく、複数の企業の経験を盛り込んだ手引き書としたのは、自社だけでなく、他社にもすぐ使える1冊にしたかったからです。『災害支援の手引き』が、「元年」で終わらず、2歩目、3歩目と歩みを進めるきっかけになればと思っています。
===============================================
※CVN(民間防災および被災地支援ネットワーク)へのお問い合わせ、参加希望は コチラ