3月29日、ピースボートが支援を行っている避難所の一つである湊小学校で、卒業式が行われました。今日はその卒業式の報告をさせてもらいます。この卒業 式は、本来なら3月18日に予定されていたものですが、その7日前の11日に発生した地震と津波によって全てが失われてしまいました。この学校の児童の中 にも、4年生の子で、お母さんと一緒に津波に飲み込まれて亡くなった子がいます。
卒業生(6年生)は36名。遠くに避難している子もいるので、全員が卒業式に来ることができたわけではありません。学校再開の目処も立ちません。それでも、小さくても卒業式を挙げたいという、地域の方、先生方、親御さんたちの思いで手作りの卒業式が実現しました。
通常卒業式が行われる体育館は、援助物資の倉庫や炊き出しを行う場として使用しているため、式は図工室で行いました。この図工室は、ピースボートだけでな く、他のNGO・NPOの人たちと共同で泥をかき出して、掃除をした場所です。部屋の装飾は、ボランティアが紙で輪っかを作って飾り付けました。
出席者は、卒業生の子どもたち、先生方、卒業生の親御さん、ボランティア、避難所の人たちなどです。6年生の担任の先生は、卒業生に向けてこう語りました。
「8年後、君たちが20歳になった年の3月11日午後2時46分(地震発生時刻)に、もう一度この場所で会おう。この災害にめげず前向きに人生を生き抜いたそれぞれの8年の報告を楽しみにしているから。」
渡された卒業証書は、津波で一度流されたものです。職員室にあった金庫に入ったまま流されていたのですが、自衛隊が見つけ出してくれました。開けると、中 は泥だらけ。これを証書として使うのか、新しいものをつくるのかかなり議論があったようですが、敢えてこの災害を忘れないために、泥のついた証書が渡され ました。式の終わりには、正門で避難所の人たち、ボランティアたち、自衛隊の人たちが、花道を作って送りました。
最後にピースボートのボランティアチームから、ささやかなプレゼントとして、暖かいオムライスを作りました。子どもたちは「わーい!」と歓声をあげて図工 室へ戻り、一気に平らげました。また中野でスペインレストランを営むシェフが、バナナチョコクレープのデザートを作ってくれました。これには子どもたちは 大喜びでした。
この子どもたちが元気に成長していけるように、私たちも微力ながらできることをしていきたいと思います。