5月9日、日本のNGO約20団体が集まり、「ポスト兵庫行動枠組への市民社会からの提言案策定ワークショップ」が開催されました。先日、オランダ・ハーグで行われたGNDR(地球市民社会の防災ネットワーク)会議に参加した国際協力NGOセンター(JANIC)、Church World Service Japan(CWS)、PBVが共催で、東日本大震災の教訓を世界の防災・減災の指針に反映させるための国内NGO準備会という位置づけのものです。
開催にあたり、まず阪神・淡路大震災から日本の災害ボランティアの普及に尽力されてきた村井雅清さん(被災地NGO協働センター)からのご挨拶。
現在、2015年までの世界的な防災・減災の指針とされる「兵庫行動枠組」は、2005年に神戸で行われた第2回国連防災世界会議で採択ましたが、阪神・淡路大震災やその後の国内災害の現場で活動したNPO/NGOは、この世界会議にほとんど参加することができなかった、ボランティアの教訓や経験を世界に伝えることができなかったと、当時の悔しい思いも紹介されました。
そもそも、NGO(Non Govenmental Organization)という言葉は、各国政府が加盟する国連で、政府レベルでは対応できない一つひとつのニーズにも応える市民団体の活動を促すべきと始まった歴史があります。日本では1995年の阪神・淡路大震災の後、ボランティアの活動を促すためにNPO法ができた流れですが、2005年当時はまだNGO/NPOの役割が国内で十分認知されていなかったというのが正直なところだと思います。
しかし、その後もNGO/NPOは増え続け、ボランティアを含める市民社会は、東日本大震災でも大きな役割を担いました。「兵庫行動枠組」の期限が切れる2015年、次の世界的な指針「ポスト兵庫行動枠組」を決める第3回国連防災世界会議は、再び日本で開催されます。今回こそ、日本の市民社会の経験をしっかりと世界と共有したい、そのためには今から積極的に準備していくべきと、今回のワークショップ開催の運びとなりました。
約20のNGOから30名ほどが参加
では、具体的にはどうすれば良いでしょう?
その一つが国連防災世界会議を主催する国連ISDR(国際連合国際防災戦略)事務局に提案を出すこと。防災・減災の関する国際市民社会ネットワーク=GNDRがその窓口となっています。
JANIC震災タスクフォースの田島さんからは、3月のGNDR会議の報告が。GNDRは、現在「ポスト行動枠組」に対して、各国の市民社会からの提案をまとめたいと呼びかけています。
今回のワークショップは、集まったNGOがグループに別れ、その提案の中に盛り込むべきと考える経験と教訓を出し合いました。
膨大な情報量とアイデアをまとめていく大変な作業。ワークショップの進行などを専門にする日本ファシリテーション協会の皆さんにもご協力いただきました。
写真は、共催団体のCWS Japanの伊藤さん。グループで出し合った経験と教訓の中から、国際的にも共通するテーマ、日本から世界に発信すべき提案を絞り込み、少しずつ文章案が固まってきます。
出来上がった提案を再度見直し、最終的な文章にまとめ、翻訳し、GNDRに提出することになります。
こうやって各国のNGO/NPOから提案が持ち寄られ、今月下旬にスイス・ジュネーブで国連ISDRの会議が行われます。PBVからも代表理事の山本らが出席しますが、第3回国連防災世界会議で話し合うべきテーマの方向性にも関わる準備会でもあるので、まずはこの場で今回話し合った日本の市民社会からの提案を発表し、各国の代表者らとしっかり意見交換してきたいと思います。