災害の規模や種類、場所にもよりますが、NGO/NPOや社会福祉協議会が災害ボランティアの募集を開始するのは、発災から3日後以降になるのが通常です。一つは、3日つまり72時間以内は、人命救助用の緊急車両などを優先させるため。また、ボランティアを募集するにも、団体関係者自体の安否確認や情報収集、最低限の受け入れ体制の整備も必要で時間を要します。
(2012年7月、九州北部豪雨災害で立ち上がった災害ボランティアセンターのテント)
東日本大震災以降、PBVが行った国内災害での支援は、外部団体が被災地に入り、現地パートナーと協力しながら活動を行っていくスタイル。まず先遣スタッフとセーフティーオフィサーが現地調査に向かい、その報告を受けた東京の本部がボランティアの募集を呼びかけるという流れです。
これら一連の動きには、それぞれの役割を担う人材ももちろんですが、先遣スタッフが持参すべき備蓄の資材、その後ボランティアを受け入れて活動するための資材も必要です。色々なプロジェクトを抱えながら合い間を見ての作業だったので、少し時間がかかってしまいましたが、先日埼玉県に災害ボランティア資材倉庫が整いました。
コンテナの中に揃えたのは、調理器具・備蓄食材・紙皿や割り箸といった炊き出し道具、水害で泥出しなどの作業ができる一輪車やスコップ、マスク類など一式などです。道具類は東日本大震災の緊急支援で使用し、また繰り返し使えそうな資材などを選びました。
その他、先遣スタッフは特に現地調達ができない厳しい環境下での生活も予想されるので、後続が届けてくれるまでの10日分の最低限の衣食住に関する資材も備えました。
もちろん公共交通機関で資材を運ぶわけにはいかないので、先遣スタッフの初動用、また荷物や道具運搬用の車両もあります。
これは、コンテナ内に作った換気扇。
真夏の災害だった場合、倉庫から道具を出す作業ですら熱中症の危険が。これも経験からのちょっとした工夫です。
受け入れ側の負担を減らすためにも、個人ボランティアはよく「自己完結」と荷物の準備などの持参が条件になりますが、「団体」も同じ心がけをすべきでしょう。
(2012年7月、九州北部豪雨災害の緊急支援。資材とともに合流した第一次ボランティア)
この倉庫内の資材ですべての国内災害の初動をカバーできるわけではありませんが、少しでも緊急時の動き出しが早まり、ボランティアの受け入れ体制の整備がスムーズになればと思っています。