イベントレポート『東日本大震災の長期的復興支援と来たるべき災害に向けたネットワークづくりフォーラム』

10月17日、企業とNGO/NPOが協力し、国内災害に対し迅速で効率的な支援を目指すネットワークを立ち上げるためのイベントが開催されました。

主催は「民間防災および被災地支援ネットワーク」。企業からは日本アイ・ビーエム、中間支援団体からはジャスト・ギビング・ジャパンと日本財団、NGO/NPOからはオンザロードとピースボート災害ボランティアセンターで事務局を担い、昨年11月から2ヶ月に1度の準備会を行ってきました。

 

立ち上げイベントともなったこの日は、東日本大震災での支援実績や将来の国内災害に支援を行う意志のある企業やNGO/NPOに向けて、ネットワークへの参加を呼びかけるものでもありました。会場には、企業CSRのご担当者やNGO/NPOの職員などを中心に約60名が参加。これまでの企業ボランティアの活動報告や、被災地の地元団体による企業とのタイアップの事例紹介など、実践的なヒントが詰まった2時間となりました。

 

まず初めにご登壇いただいたのは、阪神・淡路大震災での支援経験も豊富なダイバーシティ研究所の田村太郎さん。東日本大震災後は、官民の連携を図る目的で、民間の立場から「内閣官房・震災ボランティア連携室」に入り、現在は復興庁上席政策調査官も勤めています。

今後求められる東北への支援のあり方に加えてお話いただいたのは、将来の災害についての提言。特に、少子高齢化する中で、5年後10年後にいまの災害ボランティアを支える人口構成自体が大きく変わること、その時を見据えた大きなチャレンジが必要だというお話は、PBVとしても非常に考えさせられるものでした。

 

続いて、PBV代表理事の山本隆から、東日本大震災における企業ボランティアの活動実績などの概要を報告。そして、パネルディスカッションで企業側からご登壇いただいたのは、昨年4月という非常に早い時点から社員ボランティアを決めたブリヂストンの齋藤景介さん(ブランド推進部 社会活動課)、ゼネコンという本業で行う災害復旧に加えて、ボランティア活動を展開した大成建設の丹下誠司さん(環境本部 企画管理部長)、JustGiving Japanを通じた社員のチャレンジと寄附で、被災地に行くだけでない支援のカタチも探った新日鉄住金エンジニアリングの折笠光子さん(戦略企画センター 経営企画部CSR室長)の3名。社内決定までのプロセスや、被災地でのボランティア活動がもたらした効果など、それぞれ具体的な事例をご紹介いただきました。

 

そして、最後はこれからの東北被災地の支援に企業ができることを探るセッション。「ISHINOMAKI 2.0」代表理事の松村豪太さんからお話いただいたのは、地に足を着けながらも、アートやデザインを組み込んだ新しいプロジェクトの数々。

「被災した側の人間だから言えるのかもしれませんが、僕は今だから色々な実験ができると思っています。石巻は、震災前からシャッター街であったり、人口流出であったり、問題が山積みでした。目指すのは、震災前の石巻の姿ではありません。同情して欲しいからでもありません。震災が起こって間もない頃から、そんなことを言ってきました。そこで出会い、夢を共有できたデザイナーや企業の人たちとは、いま“未来をつくる”という同じ目標に向かって協力できていると思います」

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※「民間防災および被災地支援ネットワーク」へのお問い合わせは、

ピースボート災害ボランティアセンター内 (担当:田山)
TEL.03-3363-7967  FAX.03-3362-6073  MAIL.kyuen@pbv.or.jp