2018年に発災した西日本豪雨から5年が経過しました。「平成最悪の水害」とも言われたこの豪雨において、PBVは発災直後から、岡山県でも最も被害が大きかった倉敷市真備地区を中心に、地域住民の皆さんや地元団体、行政や社会福祉協議会などさまざまな方々と、緊急期から復興期にわたり長期的に支援活動に携わらせていただきました。
そして、現在も足しげく真備地区に通い、復興からさらなる災害に強いまちづくりを目指して、地域の方々と継続して防災・減災活動に取り組んでいます。
被災から5年目を迎えて
まちの一大イベントが復活!!
2023年7月15日(土)、真備地区の夏の恒例行事「真備・船穂総おどり」が4年ぶりに開催されました。新型コロナウイルスの影響で、2020年から中止されていましたが、西日本豪雨から5年目の今年、再開され、町内の学校や団体が21チームが参加し、さらに被災前と同じ規模の約1,000人にもおよぶ住民が参加し、踊りました。
会場は、倉敷市真備支所に面した真備通りで行われました。街の中心地であり、当時このあたりは水深5メートルにも達したエリアです。
当日は、たくさんの元気なかけ声とともに、参加者たちは、再会の喜びと復興に取り組んできた思いを語りあいながら街ににぎわいが戻ってきました。
PBVでは、地域コミュニティの復活に繋がる一助になることを願い、ご支援くださった支援者の皆さまや助成金を通じたご寄付を活用して、衣装を失った地元団体へはっぴを寄贈いたしました。
まちに戻ってきたけれど、参加をするか迷っているといわれた方も、このはっぴを見て「踊る!」とすぐに心に決めたと仰ってくださいました。
それぞれ地域の個性があふれたデザインと色鮮やかなはっぴを着て、今日まで振付の練習を頑張ってこられた住民さんたちの元気と笑顔あふれる踊りをみることができました。
写真提供:倉敷市住民・出口浩司さん
一人ひとりが “ 自分事 ” として防災にとりくむ
「お互いが助け合い、災害に強いまちづくり」を共にめざして
PBVでは、さまざまな関係機関や団体、全国から現地に駆けつけてくださった延べ6,436人ものボランティアの皆さんや、物資や寄付を通じて応援してくださった数々の企業・団体・個人の皆さまからの応援とご協力により、被災地支援を継続することができました。そして、PBVを受け入れ、現在もなお、共にあゆみ続けてくださっている地域の方々。すべての皆さまに心より感謝申し上げます。
発災直後からこれまで、
・災害ボランティアセンターの運営サポート
・避難所の運営サポート
・家屋の清掃や、技術を伴う応急対応
・被災者ニーズと支援シーズを繋ぐ支援調整
・物資支援
・炊き出し・食事支援
・写真洗浄
・地域住民や団体が集めれるシェアオフィスの開設
・仮設住宅支援
・地域の公民館・分館・集会所等への備品支援
・サロンの開催や備品提供によるコミュニティの形成サポート
など、多岐にわたる支援を実施しました。
そして、ここ数年、地元の方々と力を入れていることが、安心して暮らせるまちづくりのための防災・減災への取り組みです。
- 「まびお互いさま・BCP」研修
地域で連携してBCP(事業継続計画)を作成するという、全国でも先進的な動きが始まっています。
高齢者施設やデイサービス、病院、福祉・介護・医療関係の事業所、さらにまちづくり組織や学校など、20以上の団体が参加しています。
共催団体の一般社団法人お互いさま・まびラボでは、西日本豪雨の教訓として、利用者を無事に助け、誰一人取り残さないためには、事前の防災と、事業継続のためのBCPの両方が必要なことを痛感したと教えてくれました。各事業所でBCPを作成していても、災害時により円滑に事業を継続するには、「自分たちだけが良くても、絶対にうまくいかないし、助け合えない。もう二度と大切な命を失いたくない。」と、個々の施設だけでなく、地域全体で備えることが欠かせないことに気づいたといいます。
そのためには、同じ事業者同士の繋がりを作り、町の中で顔の見える関係や助けてと言い合えるような関係性を構築していくことが必要です。
「まびお互いさま・BCP研修」では、講義を受けるだけでなく、万が一のときにスムーズに連携をすることをねらって、参加している事業所がもち回りで、お互いを紹介し、近所の事業所の特徴や事業を把握するところから始めています。さらに、BCPを作成する上での、疑問点などについて意見交換も行っています。
この取り組みは、それぞれの地域に暮らす私たちにとってもより安心した生活ができることに繋がるのではないかと思います。今後も継続し、モデルケースとして全国にも伝えていきたいと思います。
- 「重機ワークショップ」
当時、小田川と支流合わせて18か所で堤防が決壊し、住宅や病院、飲食店など町は広範囲にわたって浸水しました。道の土砂撤去や家の片づけにはものすごい労力と時間を要します。様々な苦悩があったからこそ、今度また被災したら自らの手で少しでも早く復旧し、他の地域で被害が出たら助けに駆けつけつけられるよう、自分たちでも重機を使えるようになりたい。
そんな想いから、地元団体の一つである、箭田まちづくり推進協議会の皆さんと、重機講習やワークショップに取り組んでいます。
重機の安全管理を担う、上田さんに想いを伺いました。
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災害に負けないまちの実現を目指して 重機で備えを
5年前、七夕の日に2階まで水につかった我が家を見て、「あーあ どうなるのかな?」と、それ以上は何も考えられませんでした。
3日後に水が引いてから、無惨な我が家を見て解体、建て直しを決めました。
もちろん、いちばん手間がかからないようにと考えたからです。
被災した家の大半は浸水による被害でしたが、中には堤防の決壊時に流されたり、漂流物に埋まるなどした家もありました。
片付けは当面は人力で行うことになりますが、そこにボランティアが重機を持ち込み短時間のうちに片付けてくれたのを見て、どれほど有難いと思ったことか。
高齢化が進んだ地域では、人力で復旧作業をするには限度があり、復旧に適した重機があれば、資格があれば、どれだけ助かるかを身をもって知ることになりました。近くで重機が必要な事案があれば、これほど頼りになることはないと思います。
上田啓二郎(73)
箭田地区まちづくり推進協議会の安全管理責任者。
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<防災・減災教育を通じた地域のコミュニティ形成事業による講習@小田川河川敷にて>
2023年の年度末には、小田川の河川工事が終了しハード面における安心感も強まります。復興防災公園もできる予定です。
地域の方々は、被災の記憶や経験と向き合い、災害への備えを続けてこられました。いつ何時起こるかもしれない災害に対して取り組む皆さんと、PBVもこれからも共に歩んでいきたいと思います。