ロシア軍によるウクライナへの大規模攻撃の開始から1年となった2月。
PBVスタッフを隣国ルーマニアに派遣し、攻撃から1年の活動を振り返り、今後の支援内容を検討するための聞き取り調査を行ないました。
現地訪問①:ルーマニア・CNRRとの協働支援
現在、約11万人のウクライナ避難民がルーマニアで暮らしています。
PBVは攻撃開始直後から、様々な団体と協力しながらウクライナ国内と周辺国で支援活動を実施してきました。その中のひとつが、避難民の日々の困りごとに対応している、ルーマニアの難民支援団体 Romanian National Council for Refugees – CNRR です。
◆聞き取り調査
CNRRは、1998年に設立。ウクライナ危機にあたっては、すぐに避難民対応の部署を立ち上げて相談窓口を開設し、2022年末までに35,750件以上の問合せに対応してきました。その相談内容も、この数か月で大きく変わってきたそうです。
以前は、避難から数か月でウクライナに戻ることを前提とした、宿泊場所や現金給付の相談などが中心でした。しかし、ルーマニアでの暮らしの長期化により、2022年12月頃からは
「ルーマニアで起業するにはどうすれば良いのか?」
「ルーマニアでの滞在中に家族が他界した、ウクライナに埋葬するにはどうしたらよいか?」
「ルーマニアの学校に通ったら、将来ウクライナの学校に進学する際の入学要件は満たせる?」
など、複雑な困りごとが増えていると言います。
PBVは、このような生活のうえで欠かせない書類の翻訳や、病院や行政機関への同行通訳にかかる費用サポート、避難民向けの心理サポートセッションや交流会などの支援を行っています。
写真:首都ブカレストの避難民支援センターで相談業務にあたるCNRRスタッフ(2022年6月)
◆避難民向けグループ・セラピー
CNRRの開催するグループ・セラピーを見学。セラピストを招いて行われたセッションには、6名の参加者が集まりました。生後3週間の赤ちゃん連れのお母さんの姿もありました。
「戦争が終わったらすぐにでもウクライナに帰りたい」
という声の一方で
「少なくとも1年はルーマニアで生活する予定」
「攻撃により家が壊され、家族も失い、家の周囲に地雷が埋められているから戦争が終わっても帰れる場所はない」
と話す参加者も。
今回のセッションでは、チャートを使って『今の自分』と『なりたい自分』について考える約2時間のセッションでした。
PBVは皆さまから寄せられたご寄付を活用し、ウクライナ避難民がルーマニアで地域社会に溶け込みながら暮らせるよう、心理サポートや、交流会、相談員や通訳者の育成など、CNRRの実施する取組みを今後も支援していきます。
現地訪問②:ルーマニア・YCEとの協働支援
戦争により治療を受けられなくなってしまったウクライナのがん患者さんへのサポートを行っている、Youth Cancer Europe(YCE)。YCEスタッフと、支援しているがん患者さんにお話を伺いました。
YCEでは、ウクライナ避難民のがん患者のヨーロッパ各地での病院への転院手続きや、治療継続と生活支援などを行っています。支援した患者数は、1年で320人にのぼり、今も問い合わせや相談に日々対応しています。
YCE代表のケイティさんのお話では、いくつもの団体に支援を呼びかけた中で、海外の団体で最初に支援を申し出たのがPBVだったそうです。
お会いした患者さんたちは
「YCEのスタッフやボランティアに出会えて、ルーマニアに来て本当によかった」
と笑顔で仰っていました。
また、日本の支援者の皆さん宛てに
「継続的なご支援、ありがとうございます。戦争が終わったら是非ウクライナにも来てください」
との伝言をお預かりしました。
PBVは、故郷から離れた場所でがん治療を行なう患者さんとそのご家族に寄り添うYCEの活動を、今後も応援していきます。
パートナー企業との取組み
・ウクライナ侵攻における複数の現地パートナー企業との取組みを、こちらのブログにまとめました。
・パートナー団体のひとつ、ルーマニア平和研究所 Peace Action Training and Research Institute of Romania (PATRIR) では、2022年春より、PBVとの共同事業として、食料品や日用品、そして医薬品や衛生用品をウクライナ各地に届ける事業を行ってきました。
医薬品配布事業の様子は、こちらの動画から。
※ウクライナ国内の病院への医薬品配布事業は、 ジャパン・プラットフォーム(JPF) の助成事業です。
イベントなどの実施報告
この1年、ウクライナ侵攻や支援にかかわるさまざまなイベントを実施してきました。
・2023年2月21日(火)オンライン生配信
「ウクライナ危機 ~侵攻から1年。支援のいまとこれから~」
PBVを含むジャパンプラット・フォーム(JPF)加盟NGOより、オンライン・シンポジウムを開催。日本のNGOがどのような支援を行ってきたのかを知り、長期化する戦争により新たに生まれている支援ニーズなどを考える貴重な機会となりました。
⇒ アーカイブはこちら
・2023年2月23日 (木)17:00-19:30@オンライン or 東京・飯田橋
『侵攻から1年 ウクライナに持続可能な平和を!』フォーラム
ウクライナや周辺国で避難民支援や復興に携わるNGOや国連関係者などを招き、4名のスピーカーに現地の状況を伝えてもらいました。その成果として、国連事務総長宛の意見書を賛同団体とともに国連機関に提出しました。
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ウクライナへの人道支援事業は、パルシステム生活協同組合連合会様、全日本自治団体労働組合様、真如苑様、大塚商会ハートフル基金様をはじめとした、企業・団体や多くの個人の皆様のご寄付により支えられています。
PBVは、さまざまな現地NGOと協働し、ウクライナ戦争の被害を受けた人々の支援を行っています。皆様の引き続きのご支援、どうぞよろしくお願いいたします。
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