2020年7月豪雨災害から1年 ~熊本支援のいま、被災地から~

昨年、2020年7月3日から31日。

九州地方では、集中的に雨が降り続けました。

特に3日から8日にかけ記録的な大雨になり、熊本県の人吉球磨を流れる球磨川が7月4日に氾濫し、球磨川流域の7市町村で大きな被害を受けました。

あの日から1年が経ちました。

もう1年。まだ1年。早くも感じたり、遅くも感じたり、様々な感情が入り混じります。

PBVは昨年8月中旬から現地へ入り、避難所運営支援(2020年8月~10月)と、人吉災害ボランティアセンターの運営支援(2020年12月~2021年3月)を行ってきました。

 

現在も、災害NGO結をはじめ他の災害支援団体や、地元の学生団体、個人ボランティアの方々の力を借りながら、地域コミュニティの再生に向けた支援を継続しています。被災した公民館や集会所の清掃活動を地元の住民の方々と共におこない、集う場を再開するために必要な備品を提供しています。

 

 

豪雨災害から1年。

継続的に公民館の片付けや清掃を一緒に行ってきた会長さんからは、

「最初は『もうダメだ』と思った。どこから手を付けていいかも分からなかった。

大きな家財や泥出しは沢山のボランティアさんに手伝ってもらったけど、公民館を復旧するのには、町内に資金もないし住民たちが戻ってくるかも分からなく悩んでいた。

ここまできれいにしてくれて、本当に先が見えてきた」という前向きな言葉をもらいました。

被災地の住民の方々に寄り添い続けることで見えてくる地域の変化や、人の変化があります。

住民さんの中には、「今年の夏を過ぎないと(また同じ家で生活を再開するかどうかを)決め切れない」「戻りたいとは思うけれど、また同じような災害の被害にあったらと思うと、まだ不安がある」などのお声も多く聞きます。

一方で、「自宅の解体を考えていたけれど、庭に育てていた植物が育っているのを見て、『よし!ここに再び住むぞ!』と決めました」という方。

「悩んでいたけれど、先に地元に戻ってきている人から『戻っておいでよ』と声をかけてもらい、やっぱり戻ることに決めました。手持ちの資金はあまり無いので、できるだけ自分の手で直すつもりです。一年は掛かるかなぁ」という方など、悩みながらも前に進もうとするお声も耳にします。一人ひとりが少しずつ方向性を見つけ出し、変化が起きているように感じます。

 

地域も個人も、それぞれの被害状況や抱えている課題も復旧へのスピードも違います。今後も、地元行政の職員の方々や地域のリーダーである会長さんや班長さんへのヒアリングや話合いを通して、地域の状況や住民の方々の困りごとを支援に繋げ、地域コミュニティの再生のためのサポートを続けていきます。

 

今年、九州は例年より早く梅雨入りし、また、長く雨が続く季節になりました。作物などを育てるめぐみの雨でもありますが、例年風水害が多くなる時期です。

先日は、東海から関東地方で、大雨による土砂崩れ等の被害が発生しました。PBVではこれらの状況を受けて、静岡県、神奈川県、千葉県などを中心に関係機関や支援団体と連携しながら、情報収集を開始しています。

 

また、梅雨明け後は台風シーズンがやってきます。気が緩むことはありません。初めてのコロナ禍での災害支援となった、2020年7月豪雨災害の被災地支援の経験や現場での事例・工夫などを、コロナ禍の避難所運営の研修などを通じて積極的に全国の防災・減災に役立てていきます。コロナ禍を乗り越えるための地域の力がまさに求められている今だからこそ、今後発生するであろう災害に、共に備えていきたいと思います。

 

研修・講演のご依頼をお待ちしております。オンラインでの開催を強化中です!
皆さまの温かいご支援とご協力に支えられながら、これからの出水期を乗り越えていきたいと思います。