ここ数ヶ月、「コロナ禍で、地震や大雨などの災害に見舞われたら場合、私たちはどう避難し、対応したらよいのでしょうか」という質問や取材を多く受けています。
先日から地震速報や大雨のニュースも続き、PBVも日々話を合い重ねながら危惧しているのが、災害時の対応です。いつ、どこで発生するかわからない自然災害。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行する中、今この瞬間にも災害が起こる可能性はあります。
そんな中、まずできることの一歩として、「新型コロナウイルス 避難生活お役立ちサポートブック」を作成しました。この冊子は、NPO法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)の中で、主に災害時の避難所や避難生活における支援経験や知識・ノウハウを持つ「JVOAD避難生活改善に関する専門委員会」によって作られました。PBVスタッフ辛嶋友香里も現場経験を持つ専門委員のひとりです。冊子を通じて、災害が発生した時の感染予防方法やどのようなことに気をつけて避難生活を送ればいいのかという疑問に答えています。
専門委員会では、特に3つのことを心掛けて作成しました。
①知っていれば誰でもできる
②複数の対応方法の提案
③身近にあるもので対応できる
感染症対策をしながら避難生活を送るポイントや注意点などをイラストも使用して分かりやすくまとめています。既に、各施設や自治体職員の方々からも、「避難所への避難が必要になった場合、受け入れ態勢や判断、感染リスクの軽減方法、ゾーニングの仕方などどうすればよいかと悩んでいたので、とても参考になった」と嬉しい反響の声もいただいています。
施設や自治体に問わず、いつ誰が「被災者」・「避難者」になるか分かりません。一人一人が注意点を知り行動に移していくことが大切です。
ぜひ、みなさん自身のため、大切な方々のために冊子を広めてください。
以下よりダウンロードできます。
▼【最新版】「新型コロナウイルス 避難生活お役立ちサポートブック」(2020年7月15日修正版)
詳しくはぜひ冊子をご覧になっていただければと思いますが、少し内容を紹介していきたいと思います。
- どこに避難する?!
災害のリスクが高まった場合や災害が発生した場合、私たちは迷うことなく避難しなければなりません。まずは、危険が差し迫る状況においては躊躇なく避難できるよう準備をしておきましょう。しかし、現在の指定避難所等では、多くの避難者と共同生活を送らざるを得ない可能性があります。こうした3密状況をできるだけ避ける必要もでてきます。自宅や今いる場所に浸水や土砂災害の危険がなければ、避難所に行くことだけが避難ではありません。「在宅避難」や「車中泊避難」、親戚や知人の家などへ避難する「分散避難」も選択肢にあげることができます。災害の種類や状況に応じた想定と避難先の候補を事前に家族や親戚・知人らと話し合っておきましょう。
- 感染拡大の防止に重要なのが、「ゾーン分け」
ここでは、レイアウトのポイントや受付の手順、ゾーニングに関する健康チェックリストなどの参考例をあげています。初動の的確なゾーニングと、自治体や施設管理者、地域の運営者に限らず、避難者一人ひとりが共同生活における約束ごとを守り協力し合うことで感染拡大を防止します。避難者のみなさんでできる限り、入所時点できちんと取り決めを行うことが重要です。なお、学校などの教室を活用する場合は、事前に学校等とも連携し子どもたちの学業とウイルス対策の両面において対応策を検討しておきましょう。
その他にも、避難所に限らず、避難生活を送ることになったら気を付けるポイントや、消毒液など物がなくてもできる工夫例等をコラムで紹介しています。
- 病気を恐れる心が生み出す偏見や差別。心の健康維持を。
新型コロナウイルスの影響は、感染の有無に関わらず、ウイルス感染への不安や経済的不安を引き起こし、自己防衛的な心理状態になっていきます。例えば、災害が起こると発生しやすい買占めなども、その行動化のひとつです。不安や恐れにより心や体に様々な変化が起こりやすいといわれています。そして、不安や恐れからこころない偏見や差別が生まれる可能性もあります。お互いに思いやる気持ちを忘れずに、こころの疲れの「注意サイン」や、どのようなことが差別につながるのかを確認していきましょう。
こちらも参考になります。
日本赤十字社:「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」
「新型コロナウイルス 避難生活お役立ちサポートブック」の一部紹介をさせていただきました。今、新型コロナウイルスの流行によって、避難所の在り方が問われています。しかし、過去の災害においても避難所では共同生活による3密になりやすい環境から、インフルエンザやノロウイルスなど感染症が起こっています。実は、今学んでいることは、これまでの教訓を活かし、これからの防災にさらに役立てることでもあります。
時と場所を選ばない自然災害の猛威に対し、新型コロナウイルスの収束が不透明な今だからこそ、行政・自治体、そして私たち自身が、一人ひとりの命と健康、尊厳を守るために、できることを一歩ずつ確実に進めていきましょう。
サポートブックの内容は、最新情報に基づき随時更新していく予定です。また、第2弾は「在宅・車中泊の対応」についても作成していきたいと考えています。こちらもまた報告していきます。
これまでの教訓を活かし、これからの防災にさらに役立てること。
PBVでは、支援活動を通じて得た被災地での経験を、日頃の防災・減災教育に活かすために、「避難所の運営研修」も実施してきました。ご興味・ご関心ある方は研修内容をご覧ください。
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