【国連防災世界会議レポート】 本体会議編

3月18日、「第3回国連防災世界会議 in 仙台」が閉会しました。

PBVも104団体となった市民ネットワーク「2015防災世界会議日本CSOネットワーク(JCC2015)」の共同事務局として、また現場で災害支援を行う団体として1年以上に渡って活動を行ってきました。会議本番・前後の福島や仙台では、たくさんの運営メンバー・スタッフに支えられ、多くの成果を残すことができました。

今日は、2015年以降の新しい防災目標「仙台防災枠組」の交渉が行われた本体会議について。

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本体会議の会場となったのは、2月に新しく展示棟を併設した仙台国際センター。実に、187ヶ国から6,500人以上(首脳級25名以上を含む)が参加し、過去最大の会議となりました。

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本体会議に参加できるのは、事前に国連の認証をもらった参加者のみ。それでも所狭しと人が行き交っています。

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会議場内には、国際機関などのブースコーナーも。

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JCC2015共同代表の大橋正明さん(写真右)と、事務局長の堀内葵さん。

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PBVサイモン・ロジャース(写真右)と竹内海人さん(国際協力NGOセンター)。メジャーグループと呼ばれる本体会議のNGO公式開催パートナーの部屋にて。

 

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複数の会議室で、同時並行で各国の声明発表、閣僚級会議、マルチステークホルダーによる関係者会議(ワーキングセッション)などが進みます。

 

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JCC2015共同代表の堂本暁子さん(男女共同参画と災害・復興ネットワーク代表/元千葉県知事)。今回の会議では、防災における女性の役割が大きくクローズアップされました。

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福島原発事故の教訓を元に、原子力防災について多言語でまとめたブックレット『福島 10の教訓』を紹介する小美野剛さん(CWS Japan)。

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JCC2015参加団体「日本障害者リハビリテーション協会」の野村さん。障がい者の災害時の保護や防災における参画について話し合った会議に出席中の様子。

 

人通りの多いロビースペースには、臨時のミニステージが組まれ、15分間リレー形式の持込プレゼンテーション企画「イグナイトステージ」が行われました。

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イグナイトステージで発表するJCC2015参加団体「みやぎジョネット」の草野さん。テーマは「防災における女性のリーダーシップを広げるために」


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PBVからも代表理事の山本隆とロビン・ルイスが、UNISDR(国連国際防災戦略事務局)と共同で行う「レジリエントシティ・キャンペーン」について発表。

 

こうした毎日の本体会議の様子は、参加したJCC2015のメンバーが持ち回りで特設ブログにまとめています。
●JCC2015による本体会議速報は コチラ

 

また、 本体会議においてJCC2015が特に強く主張してきたのは、「研究者らが代弁するのではなく東北の被災当事者の発言の機会を作るべき」また「東日本大震災からの防災に対する教訓には当然ながら福島第一原発事故からの教訓もある」ということでした。

前者については、宮城の地元の市民団体や福島の若者が直接、海外からの会議参加者を前に、英語で自身の体験を直接語りかける場をつくることができました。

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イグナイトステージで自身の体験を、英語で発表した高橋恵子さん(福島大学)。

 

また、福島の教訓については日本政府(内閣府)担当者から、事故が起きないという安全神話から決別して事故を想定した対策を進めることが重要であるとの発言があったり、「技術的災害」について話し合うセッションの議長が、ブックレット『福島 10の教訓』を素晴らしい内容だと各国代表団に薦める場面もありました。

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さて、その本体会議ですが、最終交渉は難航し半日以上予定が延長したものの、2030年を期限とする無効15年間の目標となる「仙台防災枠組」が決まりました。

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最終交渉は何度も休憩を挟みながら、深夜まで続きました。今会議の責任者はタイとフィンランド議長国2ヶ国と、UNISDRワレストロム国連事務総長特別代表。


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交渉を見守っていたNGOのメンバーもようやく終了。中には30時間以上待機したメンバーも。

 

課題はあるにせよ、「仙台防災枠組」は、東日本大震災を経験した日本の市民社会からの主張も多く盛り込まれた内容です。
●仙台防災枠組の文案・骨子などは コチラ

 

国連会議ですから、当然「国」の目標が大前提の文書です。ただ、大きな特徴は、この枠組の達成には、市民社会、ボランティア、慈善組織、地域団体、女性、子どもと若者、障害者、高齢者の知識、先住民、学術界及び科学研究機関、企業・業界団体・民間金融機関、メディアなど、マルチセクターの連携が不可欠と強く訴えかけられていることにあるかもしれません。

目標は掲げるためではなく、現場で実行し、達成するためにあります。
「仙台防災枠組」は、この後、9月の国連総会で正式に採択され、運用が始まります。

 

(パブリック・フォーラム編につづく) コチラ

 

photo by Kazushi Kataoka