3月24日~30日、アメリカのNPO「WCC(World Cares Center)」代表リサ・オーロフさんが来日し、国際シンポジウムへの参加、石巻訪問、国際災害ボランティアに関する打ち合わせなど、東京・東北のPBVスタッフらとともに意見・情報交換を行いました。
WCCとの出会いは、ニューヨークなど米国東部を襲ったハリケーン・サンディに対する災害支援の場でした。PBVでは、2012年11月~12月の緊急支援、2013年1月~4月の復旧支援の2期に分けて、日本からボランティアを派遣しましたが、パートナーとして受け入れを行ってくれた団体です。
※PBVのハリケーン・サンディ災害救援の活動報告は コチラ (PDF/1.52MB)
WCCは、9・11の同時多発テロをきっかけに立ち上がったNPOです。この時、多くの市民が「被災者のために、何かしたい」とニューヨークに集いました。熱意を持ち、身体ひとつで集まってくるボランティアの姿は、被災した人々を勇気付けるものですが、一方できちんと組織できなければ、現場は混乱しボランティア自身のケガや病気なども発生しやすくなります。また、保険制度の違うアメリカには、日本のような安価な「ボランティア保険制度」はいまのところ存在しません。
当時は、特に専門家だったわけでもないリサさんらは、この現場での経験からボランティアへの研修や被災地でのコーディネートを行う団体が必要だと感じ、「WCC」を立ち上げたそうです。もともと教会などによる奉仕の文化はあったアメリカですが、その枠を越えたボランティアの活動が動きだした9・11は、日本でいう阪神・淡路大震災の「ボランティア元年」のような位置づけなのかもしれません。
PBVは、同じく災害ボランティアの研修や現場でのコーディネートを中心に活動する団体です。お互いに学ぶところも多いことから、2013年には国際パートナーとして今後も協力していくことに合意しました。
3/26に行ったピースボート勉強会では、米国での災害ボランティア研修やボランティアのメンタルケアについてお話していただきました。
またリサさんが滞在していた1週間は、ヨーロッパやアジアからも災害対応・防災減災の活動を行うNGOネットワークの代表らが来日していました。国際協力NGOセンター(JANIC)が行った東日本大震災国際シンポジウム「市民社会による災害支援活動」の海外ゲストで、この3年間の活動を国内外の視点で振り返るとともに、2015年の「第3回 国連防災世界会議」に向けた取り組みの一環です。
シンポジウムにはWCCリサさんも参加したほか、PBV代表理事の山本隆もモデレーターとして登壇しました。
その後、リサさんは宮城県石巻市を訪問。ボランティアの活動現場や仮設住宅の現状などを見学し、石巻のスタッフらとも意見交換を行いました。石巻市民として、ハリケーン・サンディの災害救援に駆けつけた萬代好伸さんとも再会できました。
今回の彼女の来日は、PBVスタッフにとって大きな刺激になったのは言うまでもありませんが、リサさんにとっても「災害ボランティアの仕組みについては参考になることがたくさんあり、PBVの活動や日本の経験を学んだり、話し合えたことが本当に有意義でした」と、充実した滞在になってくれたようです。実現までにクリアすべき壁はありますが、この先も検討を重ね、「国際災害ボランティア・トレーニング」にもチャレンジしたいと思っています。