国連防災世界会議に向けて [その3] 会議に向けた市民の動き

来年3月の「第3回国連防災世界会議」。大きくは「本体会議」と「関連事業」の2カテゴリーに分かれます。「本体会議」の主催は国連、事務局をUNISDR(国連国際防災世界戦略)が務めます。「関連事業」は開催都市である仙台市に準備室が設置され、政府機関、地方自治体、NPO、NGO、大学などの諸団体と協力して実施します。外務省や内閣府は、開催国としての動きです。

3回目の今回は、これからの盛り上がりへの期待も込めて、「市民の動き」をご紹介します。

●仙台実行委員のホームページは コチラ

 

前回、国際会議への参加などNGOが国連に市民の声を伝える方法について、少しご紹介しました。国連が主催する会議では、議決権を持つのは参加国なので、国連認定NGOもオブザーバーでの参加になります。防災世界会議でテーマとなる「HFA2(兵庫行動枠組2)」も含め、数日間の会議でゼロから文書を策定することはできないので、数年前から事前調査や準備が始まります。この事前プロセスでは、その分野に関わりのあるNGOからも広く意見を求めています。その意味では、市民団体である国際NGOが「本体会議」に声を届けるには、事前プロセスこそ参加する価値があると言えるかもしれません。

とはいえ、数々の海外での事前会議に参加するには、かなり大規模な国際NGOでなければ予算もマンパワーも大変です。話し合われるテーマが多くの市民が関心を持っていることであれば、団体規模の大小や国連認定資格に関わらず、「もっと市民に開かれた会議にしよう!」という動きが起こります。大きなきっかけとなったのが「地球サミット」。1992年に、ブラジル・リオデジャネイロで開催された「環境と開発に関する国連会議」です。日本からもたくさんの市民が参加し、この会議以降、環境系のNGO/NPOが増えるとともに、現場での人道支援だけでなく国際アピールの活動も重要視されるようになりました。


2012年、再びリオデジャネイロで開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20にて)
※ピースボートも1992年の地球サミットに参加しましたが写真の手持ちがなく、あしからず。

 

国連主催の「本体会議」とセットで開催される「関連事業」は、この市民参加を促すひとつの方法です。来年3月にも、防災・減災に関心ある多くの人に参加してもらいたいと思っています。ただ、物理的にも国連とは別の流れで準備が進むので、どう二つの内容を刷り合わせいくか、また海外ゲストとの交流を図っていくかなどの諸々は、これから本番までの頑張り次第です。仙台市にとっても、「市民活動」は今回のひとつの大きなテーマなので、市内の団体などが中心となって準備を始めています。もちろん「2015防災世界会議日本CSOネットワーク(JCC2015)」としても積極的に協力するつもりです。大変ですが、やりがいのあるところでもあります。


「市民活動」をテーマに様々な関連事業が企画される予定の「市民活動サポートセンター」

 

防災世界会議への市民参加を目指すのは、当たり前ですが、「防災・減災は市民に関係が深いから」です。もっと言えば、市民の方が主役なのかもしれません。このブログをご覧になってくださる方であれば、「自助・共助・公助」という日本の防災の原則をご存知と思います。この3つのうち2つ「自助・共助」は、自分や家族、地域コミュニティや所属する組織、ボランティアなど、行政ではなく民間や市民が担うもの。であるなら、市民が参加しない会議になってしまえば、「公助」しか議論できないことになります。せっかく世界からの知見がたくさん集まるのに、それはもったいないですよね。

だから、

セカイと学ぼう。市民のための防災会議へ。

 

 

「国連防災世界会議 in 仙台」まで、残り約300日。

3回に渡って解説とピースボートなりの取り組む姿勢をご紹介しました。何かしらの形で参加をご検討されている皆さん、国際協力NGOセンター(JANIC)、CWS Japanふくしま地球市民発伝所と事務局を担う「JCC2015」ととも、これからよろしくお願いします。