2011年12月に東京で公演したお芝居を、牡鹿半島の鹿立浜の漁師さんから「イシノマキにいた時間って、石巻って名前が付いてんのに、なんで石巻でやんねぇんだ？」と言われて、2012年6月29日に牧浜にある東浜小学校で、2日後の7月1日には石巻市中央公民館で公演させてもらいました。その１年半後の2013年12月、再び中央公民館でお芝居をやらせてもらった時は、僕自身の石巻との関わり方や、支援のカタチが変わっていた頃でした。

舞台を見てくださった石巻の人たちからいただいた「ありがとう。たくさんの人に見てもらいたいね」という言葉に背中を押してもらい、その後の全国30ヶ所、2万人以上の人たちに見てもらうキッカケになりました。あれから、みなさんは、どんな時間を過ごしていますか？

今回、これまでの石巻公演とは、少し違った意味があるような気がしています。

2013年に仙台で公演した時、開演前に花束を持って劇場まで足を運んで下さった方がいました。
被災され、ご両親を失われた方で、観たい気持ちもあるけれど、まだその気持ちにはなれないと仰って舞台は観ないで帰られました。あの頃、お芝居を観る気にはなれなかった人たちはたくさんいらっしゃったと思います。
時間が経って、決して傷が癒やされたとは思えませんが、少し気持ちが変わって、観に来ていただけたらいいなと思っています。初めての方も、二度目の方も、石巻の方も、石巻以外の方も、お待ちしています。

福島カツシゲ

気がつけば、石巻の友人がたくさん出来ました。石巻でのボランティア活動がキッカケで、石巻だけではなく、東北、そして、全国にたくさんの友人が出来ました。石巻での活動は「イシノマキにいた時間」という作品になり、その舞台を見てもらって、また縁が広がりました。

僕は役者なのですが、ちょっと『苔』の魅力にハマっていて、先日、苔役者として【マツコの知らない世界】という番組に出させてもらいました。

その時に一番ウレシかったのが、僕が女川―雄勝間の山道で発見し魅せられた苔の壁を番組で取り上げてもらった事です。苔って、長い年月をかけて自分たちの居場所を見つけ、そこに根をおろします。（と言っても根っこはないんですけどね。この話を詳しく書くと、舞台に関して書くスペースが無くなるので、またの機会にします。）あの頃、各地から訪れたボランティアの中には、時間をかけて石巻と関わり、居場所を見つけ、そこに根をおろした人たちがいます。僕には、時々ですが、会いに行ける石巻の友人がいます。石巻に『居場所』があります。辛くて悲しい災害である事は変えられないのですが、不思議で有難い縁だとも感じています。

今回、５年ぶりに石巻で上演出来る機会が出来ました。出演者は、ちょっと歳を取りましたが、あの頃子どもだった若い人たちや、僕たちと同じように、ちょっと歳を取ったおじさんおばさんたち、そして、歳を取るどころか若返っていくおじいちゃん、おばあちゃんたちにも観てもらえたら嬉しいです。

石倉良信

「今の時期は何が美味しいんだろう？」

そんなことを考えるようになったのは、ウマイモノを求めて石巻へ通うようになってからです。ウマイモノをウマイ時期に食べてもらいたいというのは、石巻の漁師さんや農家の方、料理人の方々の一番の想いでした。その想いと共にウマイモノをいただく。石巻という街で石巻の人たちから【食】とは何ぞやを教わりました。
初めて石巻を訪れたのは2011年10月。あれから８年。今でも石巻を訪れると、地元の人が笑顔で迎えてくれます。そしてウマイモノを食べさせてくれます。箸が止まりません。僕は石巻を「東北のまんぷく食堂」と呼んでいます。
この度、石巻に於いて「イシノマキにいた時間」を石巻の人に観てもらえる機会をいただき、嬉しさと緊張で胸がいっぱいです。あ、でもまだお腹はいっぱいではありません。公演が終わったら腹いっぱいにして帰りたいと思います。８月はウニかなぁ?

今回は、ピースボートの船の中での公演です。日頃から乗り物酔いしやすい僕ですが、停泊中の船内なので安心です、僕が。あ、いやいや、もちろん皆さんにも安心してご乗船、ご観劇できますので、この機会にぜひお越しくださいませ。ご予約お待ちしております！

田口智也