みんなの台所「セントラルキッチン」がついにオープン!

 これまで石巻専修大学のテントを拠点にしていたピースボートの石巻本部が、市の中心部に移転しました。それに伴い、これまで屋外の仮設キッチンで料理し ていた炊き出しも、より本格的なキッチンで行うことができるようになりました。名付けて「みんなの台所・セントラルキッチン」です。6月1日のセントラル キッチンのオープンまでをお伝えします。

居酒屋「廣山」
居酒屋「廣山」

新しい本部となる場所を提供していただいたのは、石巻市内中心部にある居酒屋「廣山こうざん」さん。本部は2階に、そしてセントラルキッチンは階になります。近くに旧北上川が流れている廣山は、津波によって泥が大量に入り込んでしまいました。ピースボートのボランティアがきれいにしたところ、お店のオーナーの方から「まだどうせ営業もできないし、使ってもらえたら嬉しい」と声をかけていただいたのをきっかけに、今回のプロジェクトが動き始めました。

キッチンを担当する森永ようこさん
キッチンを担当する森永ようこさん

これまでピースボートの炊き出しは、日々1,000食2,000食、トータルで42,000食以上を、主に石巻専修大学に作った屋外仮設キッチンで料理してきました。しかし、ゴールデンウィーク以降、災害ボランティアに来る人が減少をはじめます。そのため、ピースボート自体の炊き出しの量を維持するのが大変になってきました。また同時に、ピースボート以外にも各所でボランティアによる単発の炊き出しが行われていましたが、そういったサポートの数も減ってしまいました。

石巻では、民間の炊き出しがストップしてしまうと、配給されるおにぎりと菓子パン以外を口にできない方々がまだたくさん残っています。そういった事情から、今後ピースボートの炊き出し量は、これからもっと増やしていかなくてはいけません。さらに、本格的な梅雨に入り、暑くなってくると、食材の保管や衛生状態も気になります。

そこで、5月29日につくった「肉じゃが」を最後に、この使い慣れた屋外仮設キッチンからの引越しを始めることになりました。

無事「肉じゃが」をデリバリーチームに託し、キッチンの片付けを行っていると、「これ、どうぞ」と、一人の子どもが笑顔で近づいてきました。その手には、炊き出しを受けた方々からのたくさんのメッセージが書かれた画用紙が。今日来られなかった方からも感謝の気持ちを伝えてほしいと託されたそうです。

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もちろん石巻専修大学には、協力している石巻市社協(社会福祉協議会)災害ボランティアセンターや、ピースボートも加盟する「石巻災害復興支援協議会」(※後日紹介予定)などの本部事務所、そして支援物資倉庫も継続するため、そのままテントに残るチームもいます。石巻専修大学を拠点に活動される皆さんは、今後ともよろしくお願いします。

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5月30日にやってきた台風の前に、キッチンセットやテントの運び出しも終わり、なんとか「廣山」への大移動が完了。セントラルキッチン本格オープンに向け、必要な器具や食材の準備が進められました。

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そして、6月1日。いよいよセントラルキッチンがオープンを迎えました。さすが居酒屋だけあって、使い勝手の良さは抜群です。これから夏に向けて、大型の冷蔵庫が使えるようになったことも大きなプラスです。また機能面だけでなく、安全面や衛生面もかなり改善されたことで、ボランティアのメンバーがより力を出せる環境が整いました。長期的なサポートを見据えた今回の移転は、支援が新しい段階に入ったことを実感します。

牛肉と野菜の味噌煮込みです
牛肉と野菜の味噌煮込みです

初日のメニューは、牛肉と野菜の味噌煮込み、そして白菜と生揚げのあえものです。

とにかく量が多いので、段取りとスピードが重要ですが、そこは慣れたモノ。中心メンバーの中にはすでに数週間滞在している人もいるため、テキパキと調理をしたり指示を出しています。厨房では、当日のメニューを作っている人だけではありません。野菜の皮をむく人、調理器具を洗う人、ご飯を炊く人、それぞれの役割を黙々と続けます。

何しろ毎日数百食、多い時には千食以上も作るため、野菜の下準備が大量に必要になってくるわけです。こうした準備はその日の作業だけでは間に合わないので、じゃがいもや大根の皮剥きなどは、翌日の分もやっておきます。

ジャガイモの皮むきも1000人分となると大変です
ジャガイモの皮むきも1000人分となると大変です
ポリバケツ4つ分に山盛りになったキャベツのざく切りは、キッチンメンバーが数人がかりで作ったものです。いやあすごい
ポリバケツ4つ分に山盛りになったキャベツのざく切りは、キッチンメンバーが数人がかりで作ったものです。いやあすごい

また、このセントラルキッチンで働くのは、キッチンボランティアだけではありません。地元の調理師さんや栄養士さんなど料理関係者の方が、この厨房で仕事を得ることになります。セントラルキッチンは、単にたくさんの量の炊き出しをつくる屋内キッチンという役目だけでなく、外からの災害ボランティアと地元の労働がつながるモデルケースでもあります。

そして、このセントラルキッチンでつくられた大量の料理は、デリバリーチームへ受け渡され、市内各地の在宅避難者のもとへ届けられます。そうやって「廣山」は、地域の大事な大事なコミュニティキッチンとして動き始めました。

炊き出しは、廣山の近くのお寺でも行っています。6月1日は5060人ほどの人が列に並んでくれました。
炊き出しは、廣山の近くのお寺でも行っています。6月1日は5060人ほどの人が列に並んでくれました。
疲れていた方が、料理を食べるときには嬉しそうな表情に変わる様子を見て、改めて一回の食事の大切さを感じます。
疲れていた方が、料理を食べるときには嬉しそうな表情に変わる様子を見て、改めて一回の食事の大切さを感じます。

厨房にある大型冷蔵庫には、あの石巻専修大学でのキッチン最終日に、一人の男の子からもらったメッセージが貼ってありました。

「今までおいしくてあたたかいごはんをありがとうございました。ぼくたちはしんさいに負けないので他のところに行ってもがんばってください」という力強いメッセージです。

そのメッセージを見ながらキッチンのメンバーが言いました。

「一人でも多くのボランティアに石巻に来て頂くことで、復興に向かって力強く歩み続ける一人ひとりの大きなサポートになります。都合がつく方、ぜひ石巻で一緒に力を合わせましょう!」

今日も「廣山」のセントラルキッチンチームは大忙し。ボランティア、待ってます