「第3回国連防災世界会議 in 仙台」まで、あと14日。
会議のパブリック・フォーラム(市民向けイベント)ガイドブックは瞬く間に3万冊が配布終了、海外からは潘基文国連事務総長をはじめ各国の要人たちの来日も決定するなど、この会議に対する注目度の高さを実感してきました。
今日は、この会議を契機に始まった新プロジェクト「ふくしまから世界へ」をご紹介します。
●ふくしまから世界へ
http://fukushimalessons.jp/index.html
会議の仙台開催が内定したのは、2013年5月のこと。それ以降、ホスト国となった日本では、東日本大震災の経験を世界に伝えるべきという動きが始まります。ただ、その中で最も難航した議論は、福島の原発事故と原子力災害における防災分野での位置づけでした。
2015年以降の国際的な防災目標「HFA2(兵庫行動枠組2)」の中身を検討する会議でも、「自然災害と人災(人為災害)は別々の機関で扱うテーマではないか?」「フクシマは自然災害も産業災害も一緒に発災した。こういった複合災害の場合、各機関が縦割りで担当していると十分に対応できないのでは?」などの議論の場面を何度も見かけました。
PBVとしても石巻や女川での活動、福島子どもプロジェクトなどの活動を続けていますが、その議論に参加しながらずっと違和感があったのは、その議論に東日本大震災や福島第一原発事故の被災経験を持つ当事者の姿がなかったことでした。
防災・減災とは、過去の災害現場の失敗や教訓を学び、再び繰り返さないように努力することだと思っています。そして、その現状や教訓を一番よく知っているのは、被災当事者自身です。PBVが「石巻市民から学ぶ!!支援を活かす地域力」(3月に英語版冊子も完成予定!)や、フクシマ・アウェアネス・プロジェクトなどを通じて、全国各地、海外への防災・減災にも取り組んできたのも、被災を経験した石巻、福島の方々との出会いがあったからこそです。
また、昨年、市民ネットワークJCC2015のメンバーや福島のNPO、大学関係者らがバンコクで行われた国連防災世界会議の準備会合に参加した時のこと。福島の原発事故のことやその後の状況について話をすると、よく返ってくる言葉がありました。
「福島の大変さはよくわかった。じゃあ、これからどうしたらいいの?」
言葉の主には、原発をもつ国の人も、これから原発を導入する計画がある国の人もいました。
この声に応えるためには、福島の「事例」を伝えるだけでなく、海外の人たちが自分の国の事情と重ねあわせて考えるための「教訓」を何らかの形でまとめ、伝える必要がある──
そこから、10のテーマで福島の教訓をまとめるブックレットのインタビューや執筆・編集作業が始まりました。JCC2015の共同事務局をつとめる4団体(ふくしま地球市民発伝所、国際協力NGOセンター、ピースボート、CWS Japan)の有志による「ふくしまブックレット刊行委員会」ができ、たくさんの福島の人びとや福島に関わる人々の協力を得ながら、この3月に日本語・英語・中国語・韓国語・フランス語で『福島10の教訓 原発災害から人々を守るために』を発表することになりました。
また、国連防災世界会議に先立ち、このブックレットのお披露目を兼ねて、
3月12日には約20名の海外ゲストとともに飯館村や南相馬市を視察、
13日には『市民が伝える福島 世界会議』を福島県文化センターで開催します。
「ふくしまから世界へ」プロジェクトは、この3月がキックオフ。
チェルノブイリやスリーマイルでの原発事故の教訓が日本にもきちんと伝わっていれば、東日本大震災と福島第一原発事故での被害や混乱をもっと防ぐこと=防災・減災ができたはずです。今度こそは、フクシマの教訓をきちんと世界の防災・減災に位置づけていくため、来年度以降はこのブックレットをさらに多くの言葉に翻訳して普及していきたいと思っています。
●「ふくしまから世界へ」ウェブサイト
http://fukushimalessons.jp/index.html
●Fukushima Lessons (Englis WEB Site)
http://fukushimalessons.jp/en.html
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※3月17日の「市民防災世界会議メインイベント」(於:東京エレクトロンホール宮城)でも、ブックレット『福島 10の教訓』を無料配布します。希望される方は、下記イベント予約をお願いします。
●3.17 市民防災世界会議メインイベント(参加無料)のお申し込みは コチラ
photo by : Kristian Laemmle-Ruff